表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物が神聖視される世界に転生したら、ワタシは【戦闘狂】に目覚めました〜生贄から始まる狂戦士無双〜  作者: 早野冬哉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/39

34.不死鳥のザレク戦②

 よかった……サクラは無事か。


 サクラが無事地面に着地したのを横目に、俺は聖剣グレイシアで炎の鳥を根こそぎ斬り落とす。そして近場にあった氷の足場を利用し、ザレクの元へと跳躍した。


「小賢しい……」


 苛立つザレクが再び放った炎の鳥。その内の十数羽が矢のように俺に向かってくる。


 ピシピシッ……。


 俺は自分に向かってくる炎の鳥を聖剣で撫でる。すると炎の鳥は氷の彫像へと変わり、落下した。


 ガキィィィン!


 ザレクの鉤爪が、音速で振り抜いた聖剣を弾く。


「ならばこれはどうだ?」


 ザレクの元に三度、炎に囲まれた黒い穴が開く。


 なんだ? 次は何が出てくる?


 氷の足場に着地し、俺は黒い穴に警戒を向ける。


「う……うぅぅぁっ……」


「……っ!? デモン……なのか?」


 黒い穴から出てきた人影。その顔は紛れもなく、俺が殺したはずの復讐相手──デモン・パーチだった。しかし、本来眼球があるはずの場所は空洞で、腕は獣のように毛むくじゃらだった。なにより、腹部にポッカリと穴が開いていて、とても生きていられるようには見えない。


「どうなっている? これも……貴様の仕業なのか?」


 あまりにも惨い、冒涜的なまでに変わり果てたデモンの姿に、自然と声が掠れる。ザレクはただ嘲笑するだけで何も答えない。


「ウィリ……アム……」


 見えるはずのないデモンの双眸が俺を見つめ、獣の物に置き換えられた両腕でロングソードを構える。


「ウィリアムウィリアムウィリアムウィリアムッ!」


 怨嗟を吐き散らすデモンの亡霊が、型も何もない滅茶苦茶な所作で繰り出す振り下ろし。俺は別の足場に移動することでかわしたが、俺がさっきまで立っていた氷の足場は砕け散る。


 どうする? 今のデモンの実力は生前には遠く及ばない。だが、ザレクと同時に相手するには分が悪い──。


「アッハハッ! 炎の鳥攻撃もう慣れちゃったよっ! もっといろんな技を見せてっ!」


 炎の鳥を斬り、その爆炎の中を潜り抜けザレクの元へと突き進むサクラ。その横顔はいつになく楽しげで……。


「サクラ! 俺は一時ザレクとの戦闘から離脱する。その間は任せるぞ!」


 俺の声はサクラに届かなかったのか。俺を振り向くこともなく、一心不乱にザレクを見つめるサクラの真紅の瞳に、一瞬俺も表情が緩む。


 頼んだぞ、サクラ。


 俺は表情を引き締め、デモンに向き直る。少し下にある足場に背中から落ちたデモンは、残った歯をギシギシと削り、俺に憎悪を向けてくる。


「憐れだな……デモン」


 気が狂い、身体ももう人間のそれではなくなっているデモンを俺は、心からの冷笑をたたえて見下す。エレナと俺を裏切ったデモンが、死してなお尊厳を踏みつぶされている光景に、胸の奥がスカッとした。


「おまえおまえおまえだけはッ……殺す殺す殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺すッ!」


「前回とは、立場が逆になったな……」


 憎しみを剝き出しにしたデモンの攻撃を、俺は無心で受け流した。


「うぅううぅぅぅっ……!」


 体勢を崩したデモンが、空中で身動きが取れずにうめく。


「デモン、貴様への復讐は終えた……もう、俺の前から消えてくれ」


 俺はデモンの憐れな姿を見て静かに微笑み、聖剣グレイシアを振り下ろした。


***


 ウィリアムがデモンを倒す、少し前──デモンと対峙するウィリアムとすれ違った直後。


「もっといろんな技を見せてよっ!」


「調子に乗るなよ人間……!」


 ワタシが接近するとザレクは翼を羽ばたき、一段と高度を上げる。さらに、その時舞い落ちた赤い羽は炎を纏い、砲撃となってワタシに襲い来る。


 ヒュドドドドンッ!


 赤い羽が直撃した足場では爆炎が上がるが、ワタシはすでにザレクへ向かって跳躍していた。


「それも最初に見たよ……もっと他に技はないの?」


「だが、これで貴様は宙空──足場のない貴様はこれをかわせるか?」


「うんっ! かわせるよ!」


 ザレクがもう一度翼を羽ばたき、赤い羽を射出する。ワタシはそこで初めて、実戦で『空歩』スキルを発動した。


 タタンッ……。


 軽やかに宙を蹴り、赤い羽をかわす。対してザレクは翼を丸め、炎の障壁を張った。この動きは、ライラの結界すら破りかけた、すべてを焼き尽くす炎の攻撃の予備動作。


「いいねいいよ! それも攻略してみたかったっ!」


 正直この技を突破する手段は見当たらない。だからただ、ワタシは全力で剣を振る。そう決めた直後、ザレクの頭上に、大柄の男の影が現れた。


「オレ様のことも忘れんじゃねぇよ!」


「なっ……貴様いつの間に!?」


 空が剥がれるように、黄緑色の光を纏ったロクの姿が露わになっていく。


「くたばりやがれ鳥野郎っ!」


 ロクのフルスイングした拳が、ザレクの脳天に突き刺さる。


「グガアァァァアアァァッ!」


 ザレクすらをも驚愕させるミスリル砕きの一撃。それはロクの『怪力』スキルと、ライラの支援魔術が合わさって初めて生まれたものだ。


 ザレクの障壁は突き破られ、その巨躯は無様に落下する。そして、落下地点に先回りしていたワタシは、ザレクの首に狙いをつけて剣を振るった。


 パキイィィィンッ!


「えっ……!?」


 だが、ザレクの首は斬れなかった。逆に、ワタシの剣が折れる。


「カハッ……」


 剣が折れ、隙が生まれたワタシに、ザレクの翼が直撃。ワタシの身体はミシミシと悲鳴を上げ、地面に叩きつけられた。


 ライラが咄嗟に風魔術で落下の衝撃を抑えてくれたが、それでも肺から空気が勢いよく抜け、喉を焼く。


 なにが起きたのっ……?


「サクラ、生きてるかい?」


「は……い……ゲホッ……」


 ライラに返事をしようとしたらむせてしまった。


「喉とアバラをやられてるね。おめぇ、なんでこんな大怪我してい笑ってられるんだい……」


 白い目を向けられながらも、ライラが治癒魔術をかけてくれたおかげで喉の痛みが引く。


「久しいな。この姿を見せるのは」


 どこまでも人をバカにするような声。その声の主であるザレクは、全身が水色に変容し、周囲には目に見えるほどの冷気を纏っていた。そして、ワタシが斬ろうとした首は分厚い氷で覆われていた。

この話を読んでいただきありがとうございます!


「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけたら、


ブックマーク登録や、

↓の「☆☆☆☆☆」をタップして、応援していただけるとうれしいです!


星はいくつでも構いません。評価をいただけるだけで作者は幸せです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ