表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【魔物が神聖視】されている世界に転生したら、ワタシは戦闘狂に目覚めました〜生贄から始まる狂戦士無双〜  作者: 冬哉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/6

2.初めての戦闘

「ニンゲンゴトキガ、チョウシニノルナ!」


 赤い目を爛々と光らせたゴブリンが、黒光りする金属製の棍棒を振り回し迫ってくる。


「いいねっ。戦闘らしくなってきた!」


 ザッ!


 ワタシは地面を滑って横薙ぎの棍棒攻撃をかわす。


「ギッ!?」


 ワタシの姿を見失いキョロキョロと周囲を見回すゴブリン。ワタシは立ち上がるよりも先に、ゴブリンの足を斬りつけた。


「ギイィァァアアァァァッ!」


 両足を失ったゴブリンは醜い悲鳴を上げ、上体は地面に落ちる。ワタシは立ち上がり、仰向けになった緑色の身体に剣を突き立てた。


「アッハハッ! これで二匹目!」


 泥のように黒く汚い魔物の血を浴びながら、ワタシは嗤う。


 楽しい!


 ヒュンヒュンッ!


 唐突に放たれた二本の矢。咄嗟にワタシは身を捩り回避を試みる。だが、矢はワタシの頬と太ももを掠め、出血を促す。


「ギイィィィイィィッ!」


 二刀の曲刀を持ったゴブリンが、体勢の崩れたワタシに畳みかける。


「いいよそうだよっ! 一方的じゃつまらない!」


 まず振るわれたのは左の曲刀。ワタシはそれを剣で受ける。


 だが次の瞬間、左の曲刀でワタシの剣を押さえたまま、ゴブリンはもう一本の曲刀を振り上げる──。


 防げない……ならっ!


 ズバンッ!


 一瞬の攻防。その直後。撒き散らされたのは黒く濁った魔物の血液だった。


 ゴブリンの曲刀がワタシの命に届くより早く、ワタシは力ずくでゴブリンの左の曲刀を押し込み、首を刎ね跳ばしたのだ。


「これで……三匹目」


 楽しい! 気持ちいい!


「スキル『狂戦士化Lv1』を獲得しました」


 頭の中に無機質な声が響く。けれど今、興奮状態のワタシにその声が届くはずもなかった。


 ワタシは肩に食い込んだ曲刀を無造作に引き抜き、残りのゴブリンたちに向き直る。


「ギッ……」


 金属製の小手を両手にはめたゴブリンが、冷や汗を流して後退る。


「へぇ……魔物にも怖いって気持ちはあるんだ」


「バケモノメ……」


 弓を持ったゴブリンもそう言って後退る。そこでようやく、ずっと岩に座っていた槍持ちのゴブリンがゆっくりと腰を上げた。


「オマエたち。ニンゲンごときに脅えているのか?」


「ソンナ、コトハ──」


 スッ…………。


 他のゴブリンよりも背丈が小さい小柄──といってもワタシより大きいが──なゴブリンが、その身長の倍以上の長さがある槍で完璧な弧を描く。それだけで二匹のゴブリンは、首から上がなくなった。


「ニンゲン! オマエは、オレが殺す」


「ふぅん、仲間殺しか……いいね。歯ごたえありそう!」


「後悔してももう遅いぞニンゲン!」


 比較的流暢に人間の言葉を話すゴブリン。彼はその小柄な肉体からは想像できない脚力で地面を抉る。その瞬間、ワタシとゴブリンの間に合った十メートル近い距離が消えた。


 ザクッ!


「ゲホッ……!」


 槍先がワタシの横腹を貫く。攻撃を防ごうと振るった剣は根本から砕かれた。勘で横に跳んでいなければ、貫かれていたのは間違いなくワタシの心臓だった。


「や……るね……でもっ!」


 ワタシは横腹に刺さった槍の柄を掴み、槍に貫かれたまま前進する。折れた剣を捨て、ワタシは黒かった瞳を真紅に染め上げ叫んだ。


「甘いんじゃないっ!」


 獲物を見つけた肉食動物を、彷彿とさせる目をゴブリンに向け、ワタシは横腹から血を撒き散らしながら前進した。


「なんなんだオマエは!? 本当にニンゲンなのか!?」


 ゴブリンの目から余裕が消えていく。目を見開いて槍を引き戻そうとするが、ワタシの握力がそれを許さない。


「カハッ……届いたよっ!」


 血反吐を吐きながら咆哮するワタシの左手が、槍を握るゴブリンの右手首を捕らえた。


「ぐっ……」


 何故かは分からないが、ワタシが全力で左手に握力を込めると、ゴブリンの手首は簡単に潰れた。


「なんだその力は!?」


 いける!


 ワタシはゴブリンに飛び掛かり馬乗りになる。そして全体重を乗せて両手で首を絞めつける。ゴブリンも抵抗してワタシの首を鷲掴みにするが、ほとんど力はこもっていなかった。


「アッハハッ! 勝負はついたみたいだねっ!」


 ゴブリンの赤い瞳に映るワタシは、体裁も何も気にしない満面の笑みを浮かべていた。


「……! そ……うか。その、赤い……目。オマエは、狂戦士化のスキルを……」


 そこで、ゴブリンの命は尽きた。それと同時にワタシの目も黒色に戻り、身体中の傷が熱を持ち始める。けれどそんなことは気にせず、ワタシは槍を横腹から引き抜いて立ち上がった。


「これが殺し合い……これが戦闘?」


 血まみれになった自分の手を見つめていると、身体中に歓喜の震えが巻き起こった。


「楽しい! 面白いっ! 何これ? こんなに気持ちいいものがあるなら最初から教えてよっ!」


 始めて夢中になれた! それに戦闘中は感情をさらけ出せた。何の我慢もせずに思うがままに笑って叫んで……。


「もう愛想笑いなんてしない。もう我慢なんかしない。誰に迷惑をかけようと、ワタシはこの気持ちを偽らない!」


「スキル『剣術Lv1』を獲得しました」


「スキル『見切りLv1』を獲得しました」


 そのとき、頭の中にまたもや無機質な声が響いた。


「スキル……か。やっぱりここは異世界なんだね」


 初戦闘の興奮から覚めたワタシは、自分の身体を見て現実的な問題に直面する。


「この怪我、どうやって治そう? それとボロボロの服もどうにか──」


 ゴンッ!


 突如、首に衝撃が走る。ふいの衝撃に、ワタシは意識を保てず地面に崩れ落ちた。


「ハァ……禁呪の召喚魔術が使われた疑惑があると調査に来てみれば、まさか魔物殺しの大罪を犯す場面に直面するとは」


「いいじゃないっすか。こっちの方が騎士らしくて」


 薄れゆく意識の中、ワタシは全身に鎧を纏った騎士の姿を見た。


「おまえなぁ……魔物殺し──大罪人はみな、果ての牢獄に連行しなくちゃならないだろうに。帰りはかなりの遠回りになるぞ」


***


 スキル『狂戦士化』──アクティブスキル。発動時は使用者の瞳が真紅に染まり、ダメージを負うごとに全ステータスが向上する。レベルが上昇すると、ステータスの上昇量が増える。


 スキル『剣術』──パッシブスキル。レベルに応じて剣の腕が上がる。また、剣を手にしている間はステータスが上昇する。


 スキル『見切り』──パッシブスキル。レベルに応じて動体視力が上がる。

この話を読んでいただきありがとうございます!


「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけたら、


ブックマーク登録や、

↓の「☆☆☆☆☆」をタップして、応援していただけるとうれしいです!


星はいくつでも構いません。評価をいただけるだけで作者は幸せです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ