表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1.開始日-1

特に言いたいことはないんですけどwwww

わざわざクリックしてくれてありがとうございます。そして、私の作品が皆さんを失望させないことを願っています。

それでは、始めましょうか。



「おい——おい——」

「ちゃんと俺の話を聞いてるか?」

「う…」

神崎陽斗の意識はどうやらまだ、春の土の匂いが漂うあの円柱形の空間から抜け出せていなかった。仲間の手が彼の顔を強くつかんだとき、ようやく自分がいる場所が、コンクリートとアスファルトが交じり合った都市の風景に変わっていることに気づいた。ちょうどそのとき、ぼんやりとした視線が偶然にも仲間の目に映る無力感と疑念と交わった。

「最近、お前なんか調子が悪い気がするんだよな。授業中にぼーっとしてるのはいいとしても、俺が話してる時もこんな感じじゃないか。疲れてるなら、ちゃんと休んだほうがいいぞ…いいか、もう一度言うぞ、三日後の起動式のことだ。あれにはたくさんの人が来るだろうな、みんな結構興味津々だし…あの発見されたHMMs、遥か昔に作られたものなのに、現代のテクノロジーと似た特徴を持ってるんだ。」

智也は首を振り、再び話を続けた。

佐倉智也は、入学年齢で言えば陽斗の後輩だが、その大雑把な性格のせいで、後輩らしい自覚を持たなかった。しかし、それが逆に陽斗にとっては珍しく親しみを感じさせ、二人は意外にも、同郷や同級生という関係を超えて、お互いが気づかないうちに良い相性を持っていたのだろう。

そしてそのことを知っていた智也は、友人が何を言っているのかを理解していた。彼の興奮から、先ほどの話が「X-67」の秘密に関することであることが分かる——遥か昔と今が交錯する瞬間の起動式。確かにそれは人々を興奮させるべき熱い話題であったはずだ。しかし——

少年にとっては、あまりにもそれに見合う熱意が感じられない。彼の目の輝きと比べると、楽しそうな表情が見受けられなかった。彼はただ真剣に返事をし、顔を上げて、天気予報が映し出されている無数のキャスターの映像が流れるスクリーンを見上げた。

【S-16地区、局部的に小雨——】

アナウンサーの声は変わらず、まるで機械のように元気よく響き渡った。まるで夏の蝉の鳴き声のように、耳障りでうるさかった。

時代は予想もしない方向に進んでいっている。

それは一見、良いことのように聞こえるが、進歩があまりにも速すぎて、懐かしさを感じさせるものがほとんど残っていない。

この街も、千年前には別の名前で呼ばれていたが、今では冷徹なコード「S-16」のみがこの世に残されている。どこを見ても、過去の面影を見つけることはできない。何であれ、時が経てばすべてが変わり果ててしまう。そう考えると、もし変化が突然自分の身に降りかかるのであれば、元々の意味は何だったのかという疑問が湧いてくる。

なぜか、彼はそんなことを無駄に考え始めていた。

正直なところ、彼は変化を嫌っているわけではなかった。変化がなければ、人類は未来にたどり着けないことは、幼稚園児でも理解できる知識だ。しかし、なぜか彼は本能的にそれに対して抵抗を感じていた。

「行くつもりか?」

どれくらい時間が経ったのか、智也の声がまたはっきりと聞こえてきた。

「うん。」

どうして承諾してしまったのか、彼はよく分からなかった。おそらく、ただ最近ずっと張り詰めていた神経を少しでも解放したいという気持ちがあったからだろう。それだけのことだった。

智也の足元でサッカーボールが上下に跳ねた後、それは陽斗のところに渡った。しかし、その運命は変わらず、ただ別の人物に蹴られることになっただけだった。

「……」

しばらくの間、智也は何かを悩んでいたようだったが、ようやく口を開いた。

「最近どうだ…家のこと、って意味だ。」

「なんでそんなこと聞くんだ?」

陽斗の体が少し固まり、それから気だるげに顔を背けた。

「いや、別に。ただ…自分一人で背負い込むなよ。ずっとそうしてたら、いずれは崩れるんじゃないかと思う。もし手伝えることがあったら、言ってくれ。真面目に言ってるからな!」

智也の真剣な表情に、陽斗は少し驚き、そしてそのギャップに思わず笑ってしまった。そして、智也はその笑顔を見て、最後の一言を付け加えた。

「なんか変な感じだな。でも大丈夫だよ、何も問題ない。こんなに年月が経って、たぶん俺も慣れたんだろうな。」

本当にそうか?

もちろん、違う。

あの日の光景を、

どうして簡単に忘れられるだろうか。

少年の目に映ったその寂しさは、拙い嘘の共犯者にはならなかった。

過去の記憶の断片が再び繋がり、耳元で被害者たちの悲鳴が響き、その後に続いて歪んでいく彼らの姿が、砕け散る光景が再び目の前に現れる。

だが、神崎陽斗はこの話題にさらに深く関わるつもりはなかった。そこで彼は、無理に話題を変えることにした。

「パス!」

右足を少しずらして、可哀想なボールはまた彼のところに転がってきたが、偶然にも、それは智也の腕をかすめて、頭に直撃した。

「くそ、お前…殺すつもりか!?」

智也は頭を押さえて、歯を食いしばりながら言った。

「すまんすまん…俺が悪いけど、これでお前が突っ込んできたら、バカな智也が頭ぶつけるだろ?」

陽斗は、目の前にある、智也の顔に近づいている自動販売機を指さしながら言った。

「まあまあ、先輩からの謝罪だと思ってさ。」

陽斗はウーロン茶のペットボトルを拾って、彼に渡した。

「許すよ。」

——————————————————————————————————————————————


空。

空は青い。

海。

海も青い。

一目見ただけで、そこには繋がった一面の青い世界しかない。

それ以外には、何もないようだ。

では、今、私はどこに立っているのだろうか?

周囲を見渡してみた。

いや、この広大な世界の中で、立っているのはほんの小さな裸の土地だけ、何もない。

土地の上には、ひとりぼっちで立っている眼鏡をかけた少年と、ひとつの白い塔がある。

塔は大きくない。この青で満たされた世界の中では、むしろその小ささが目立つ。

しかし、少年の目には、それが触れることのできる唯一のものだった。

「入るのか?」

少年は両手を門にぴったりと付けた。

門は予想していたほど重くはなかったが、それを開けるのは意外と力が要った。

中は薄暗く、光源は何もない。中に入って近づいて初めて、その様子が見えてくるようだ。

入るべきか?

「なんでだ?」

少年はそう言って、足を踏み入れた。

……

中はとても暗かった。

何も見えない。

視界の明かりは、もう片方の足が踏み入れた瞬間に奪われ、見えるのはただ真っ直ぐに前に延びる道だけだった。

「パチン。」

門が閉じられた。

仕方なく、少年は歯を食いしばって、歩き続けた。

どれくらい歩いたのかわからないが、少年はすぐにひとつのことに気づいた。それは、この暗闇に覆われた細長い廊下は本当に長いようで、先がまったく見えないということだった。

「あとどれくらい歩かなきゃいけないんだ。」

それは不平か?いや、むしろ疑問のようだ。

未来に対する疑問、現在に対する疑問、過去に対する疑問。

自分はどこに向かっているのか?

なぜ歩いているのか?

自分は一体何者なのか?

わからない。ただ、ふと気づくと、少年の足は勝手に動き始めていた。

右手はズボンのポケットに深く入れられ、しっかりと装填された銃を握り締めて、その動作で少年は再び安心感を取り戻した。

いつの間にか、目の前の明かりが戻り、少年は自分の目的地に到達したことに気づいた。

それは塔の中にある、広場のような場所だった。広場には無数の太さや長さがバラバラな螺旋状の石柱が立ち並び、密集しており、まるで森のようだった。その石柱が道を塞いでおり、しかし、柱と柱の間には一人が通れる隙間が残されていた。

石柱の頂上は塔の頂に続いており、柱には模様が刻まれていた。遠くから見ると、視力が良くてもその模様はかろうじて浮き彫りであることがわかる程度で、はっきりとは見えなかった。

その「森」の端、つまり広場の少年に近い部分に、ひとりの人物が立っていた。

その人物は背が高く、肩までの長髪を持つ女性で、身に着けている服はすべて黒だった。その姿は非常に精悍な印象を与え、まるでカラスのようだった。

その瞳は妖艶な赤い光を放ち、まるで「カラス」のようだった。

「ようやく来たわね。」

最初に沈黙を破ったのはその女性だった。彼女は手をこすりながら、少し不満そうに見えた。どうやら長いことそこで待っていたらしい。それから右手の人差し指で胸の辺りを軽く円を描きながら、にっこりと笑った。

「あなたがすべきことを、もう始めたらどう?」

「私を殺せば、全てが終わるんでしょう?」

その言葉が終わるや否や、少年は銃を上げ、「カラス」へ向けて引き金を引こうとした。

ただ、向こうは笑っているだけだ。

しかし、その笑い声が少年の心に触れるたびに、抑えていた怒りと欲望が引き起こされる。

「殺せ、殺せ、殺せ!」

心の中でその声が響く。

その意識の波が続く中、少年の人差し指は引き金に触れたが、しばらく待っても彼は引き金を引かなかった。二人の間の距離はどんどん狭まっていき、最終的に銃口が女性の胸にぴったりと当たった。

「殺せ、殺せ、殺せ!」

その考えはますます強くなり、少年の体はその動きを保ったままだった。

「あら、撃たないの?」

彼女は興味深そうにその銃を見つめながら、少年を観察した。

「……その前に、聞きたいことがある。」

彼女の赤い瞳に映ったのは、何の表情もない顔だった。

「そのものは、なぜこの世界に存在するのだろう?」

再び、少年は笑い声を聞いた。

「なぜかって?」

その女性の目には明らかな嘲笑が浮かんでいた。彼女は少年の問いが、そしてその問いを投げかけた人物の幼稚さに笑っているかのように、少年の言葉を真似るような、作り笑いで答えた。

「何かが存在する限り、それには「用途」があるのよ。つまり、他の誰かによって使われる方法がね。もちろん、それが人間の手によって作られたものであれば、理解しやすいわ。だって、それはある目的を持って作られたから。自然界にあるものとは違うのよ。例えば、メモ帳やメモみたいなものは、忘れたくないことを記録するためにあるものだし。あるいは、ボールボーイという職業は、試合の後片付けを担当する人たちで、ボールを拾う仕事をしているわよね。そのものも、完全に人工物とは言えないけれど、考え方は同じよ。」

「なぜなら……」

彼女の笑顔が少しずつ収まっていく。

そして、短い混乱の後、少年はその理由に気づいた。

バン!

後頭部に何かが激しくぶつかった。

体は制御が効かず、後ろに倒れ、重い衝撃とともに地面に落ちた。視覚も聴覚も、だんだん遠くなっていく。

時間が、気づかないうちに突然、ポーズボタンが押されたかのように止まった。

意識が完全に切り離される前に、その途切れた言葉の続きが少年の耳にしっかりと届いた。

「それは人々の切実な期待の中で生まれた、純粋なものだから。」

その言葉が、まるで古いレコードから流れてきたように少年の耳に届いた後、少年は金色の髪の束を見た。

そして、少年は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ