憤怒
R15的な感じです。
嫌悪感を感じる方は飛ばすのが吉かもしれません。
前話が字数制限でひっかかったため分けております。
"起きよ!早く起きよ!ヨシオ!"
ユサユサと揺すられ僕は目を覚ました。
「どうしたんだ?まだ暗いじゃないか。」
"さきほど男が1人来ての、その男と一緒にエリカが外にでていったんじゃ。気にならぬか?"
「・・・。追跡するぞ。」
しばらくすると、立派な屋敷の立ち並ぶ住宅街に2人は入っていく。
(ふむ・・・貴族街か・・・)
(・・・。)
「よし、この屋敷だ。」
「ほ・・・本当に私が体を売れば孤児院の借金は帳消しにしてくれて、ミミル達にも会わせてくれるのね?」
「あぁ、約束するぜ。ほら、早く入れ。」
(身売りとはなんとむごい・・・)
(屋敷の中に入るぞエイシア。)
僕は周囲に擬態しながら2人にピタリとついていく。
一面に敷き詰められた赤い絨毯にシャンデリア。中央にある階段の手すりにもたれながら仮面をつけた男がこちらを見ていた。
僕はその男の顔を見て歯ギシリをする。
「ご苦労様、ギース。こんにちわ、お嬢さん。」
カツン、カツン、と音を響かせ階段から下りてくる。
(間違いない、あいつは・・・隆二だ。)
隆二はエリカの前に立つと、彼女の顎を持ち上げる。
「ふむ・・・中々の上玉だな・・・。よし浴室へと連れて行け!」
「ま・・・待って!その前に行方不明になってた、ミミル達にあわせてください。」
エリカの言葉に、隆二は楽しそうに微笑むと、指をパチンとならす。
ジャラ・・・ジャラ・・・
あられもない服に首輪をつけ上気した頬でリュウジを見つめる3人の女達が出てくる。
『お呼びでしょうかご主人様』
驚愕に目を見開くエリカ。
「な・・・なにしてるのよ・・・ミミル・・・クーリオ・・・メリル・・・。人攫いにさらわれた所を助けられてここで給仕をしてるんじゃ・・・。それにマリスはどこにいるの?」
「ええ・・・"給仕"よ? ふふ、貴方もご主人様のために私達と一緒に尽くしましょう?」
「とっても幸せなんだから・・・」
「でもあんまり粗相をしすぎると、マリスみたいにギースさん達専用の玩具になってしまうわよ?」
「ひ・・・ひぃ・・・・」
行方不明となったいた孤児院の友達の異様な変わりように怯え、あとずさるエリカを逃がすまいと羽交い絞めにするギース。
「君も僕のために尽くしてくれよ・・・ハハ・・・グェッ・・・」
僕は我慢できずに隆二を殴っていた。一応手加減して殴ったが気絶で済んでいる所はさすが能力値A+。
「貴様!いつの間に!」
剣を抜き放ち、僕に飛び掛ってくるギース。魔力で体を強化し拳でそのまま剣を殴りぬけて破壊し、そのまま上半身を粉々に殴り吹き飛ばす。
「<リュウジ>さん!」
エリカが涙を浮かべながら嬉しそうに僕を見る。
「エリカ、僕の手を握って!逃げるよ。」
「は・・・はい!でもミミル達が・・・。」
(・・・エイシャ。)
(安心せいヨシオ。本物のリュウジのほうは恐らく固有スキル魅了Sランクによる洗脳のようなものじゃ。これを解除すれば、元に戻るじゃろう。別にお主がおそれているような大幅に記憶や感情を改竄
するようなものではないから安心せい。)
そして僕は隆二によりそう3人を眠らせ、残りの一人も救出し、孤児院へとつながるよう空間に穴を空けた。
「こ・・・怖かったですぅ・・・ひぐっ・・・えぐっ・・・。」
孤児院に戻ると、エリカが僕に抱きついてきた。生まれて初めて感じた柔らかい感触に衝撃を覚える。
しかし、元の姿の僕であればエリカはきっと抱きつきはしないだろうし逆に嫌悪するだろう。
エリカを引き離し、さきほどのエリカの記憶を封印し、いい夢を見ながら眠るように念じた。
「くぅ・・・くぅ・・・・むにゃ・・・。えへへ・・・。」
僕にもたれかかるように寝るエリカを持ち上げ、ベッドに寝かせた後、ミミル達の洗脳の解除、一部の記憶を消し僕も自分のベッドに戻る。
「ふぅ・・・疲れた・・・。明日は隆二との決戦かぁ。」
(お疲れ様じゃ、ヨシオ。ゆっくり休むがいい。))
(今度こそおやすみ、エイシア)
そして夜が明ける。
そして次こそ決戦です!