MMW-096
扉の先では天井まで、MMWが2機は縦にできそうなトンネルが、広がっていた。
ずいぶんと地下に潜ってきたらしい。
そんな場所にあったプレートに、長々と書かれていた内容は……。
「ねえ……これ、冗談だよね?」
「にしちゃあ、手が凝りすぎてる。冗談でこれは掘れねえなあ」
力ないつぶやきに、リングが慰めるように答えてくれる。
俺の感情は、驚きと、困惑とに揺れていた。
たぶん、他の戦士やソフィアたちも同じだと思う。
「地上での交易路と並行しての、コロニー間地下輸送網……可能なのか? いや、現にこれだけのトンネルがある」
「可能性はあると思いますよ。コロニー間で、技術格差、ばらつきがひどいのは父から聞いたことがあります」
曰く、それでいくつもの分野で劣っているコロニーは以前、もう崩壊したと。
そう告げるソフィアの表情は暗かった。
プレート複数枚に書かれていた内容は、この場所のこと。
コロニー間をつなぐ地上ルートは維持が難しい、ゆえに地下。
「地上が襲われるなら、地下のルートも確保……か」
言いながら、再び疑問が浮かぶのがわかる。
そんなにこの世界、星……の地下はスカスカなのかということだ。
少なくとも、俺が行動した範囲では、地上まで伸びる壁にぶつかったことはない。
遠く遠くに、それらしきものは見えるが、実際に地上までつながっているかはわからない。
それだけの空間を、何も支えていない。
なのに、地上は、空は落ちてこないのだ。
『その辺はややこしいが、地上のあれは分厚くてな。ちょっとやそっとじゃ、落ちてこない。だからこそ、あのスターレイ、天上の光がすごいんだ』
プレストン曰く、あれの本体というか全長はものすごい長いらしい。
そんなものが、時々欠けて落ちてくるのだ。
(つまり、あれは成長している?)
そんな突拍子もないことが浮かんで、消えた。
ソフィアたちの話し合いが終わったようだからだ。
「セイヤ、3日進みます。それで戻ります」
「了解。一応は探索をして、だね」
話が決まれば行動も早い。
入り口と同じように、この場所の扉も閉める。
閉めたところで、気が付いた。
「待って。この扉、外の入り口と同じ素材だけど、ウニバース粒子が通らない。周りもそんな感じだよ」
「なんだと? センサーじゃよくわからねえな。だが、セイヤが言うならそうなんだろう。ここが荒らされてない理由がわかったな」
「何もないように見える場所に、わざわざ来ない、そういうことね? この子が起きなくてすみそうだわ」
寝かしつけていたらしいエルデも扉を見て、安心したようにつぶやいた。
どちらかというと、俺は落ち着かないが……うん。
少し、見えることに頼り切っていたのかもしれない。
もともと、そんな技術は持ってない時のことを思い出せ、俺。
『便利なのは使わないと損だからな。仕方ない。気を引き締めていこう』
慰めのような声を感じつつ、他の戦士たちと一緒にMMWを再起動。
武器を構えつつ、機体を進ませる。
(問題が解決したと思えば、次の問題だ)
みんなには言わないし、誰も口にしないけど……。
なんでここまで掘って、戻っていったのか、だ。
ソフィアの両親たちを招いて連れ帰るため?
それとも……。
「セイヤ、答えはきっとこの先にあります」
「そうだね、ソフィア」
小さく、俺にだけつながった通信。
彼女の声には、覚悟と、強がりが混ざっているように感じた。
妙にきれいな地面を、順調に進んでいく。




