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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-094


「あれは……なんだろう」


「わかんねえな。人工物に見えるが、こんな場所に?」


 星の海。

 激戦区だったというその場所に、もうすぐという場所。


 ちょうど噴火の影響を受けない場所に、それはあった。

 荒地の中に、ちょっとした岩山と唐突な穴。

 どちらかというと、洞窟の出口という感じのものだ。


 自然の物ではないことが、周囲の地形でわかる。

 なにせ、穴のすぐが綺麗な扉状のものでふさがれているのだ。


「コロニーからの情報には無いぞ。警戒しろ」


 同行している戦士の言葉に、緊張感が走る。

 撤退してから、誰も来たことがないという場所。

 つまり、あれはその撤退後にできたということ?


 MMWでズームして眺めていると、刻印のようなものを見つけた。


「あれは!? まさか、そんな!」


「ソフィア?」


「あれは、グランデール家の紋章です!」


 叫ぶようなソフィアの声。

 その意味するところは……両親か、関係者の仕業ということ。


 にわかに騒がしくなるのを感じる。

 無理もない。


(残骸ばかりのはずなのに、こんなものがあるんじゃあなあ)


『初めての出来事だ。何があるかわからんぞ』


 ぽそっと出てきたプレストンの言葉に、俺の緊張が増すのを感じる。

 なんだかんだ、未来を知っている俺がいる安心感はすごかったようだ。


 ゆっくりと洞窟に近づき、様子をうかがう。

 何か警備のような、装置がある様子はない。

 いきなり開くということもなさそうだ。


「少なくとも、これをやるまでは生き残りがいたってことだよね……」


「ここが激戦地なのは、有名な話よ。であれば、何かある前に掘ったとは考えにくいわ」


 エルデの推測を聞きつつ、洞窟に近づいていく。

 生身でも、すぐ駆け込めるような距離でも、周りから何か出てくる様子はない。

 となると、だ。


(逆に、無事に中で生きているってこともなさそう?)


 ソフィアのことを考え、口には出さずにの推測。

 何らかの形で、ずっとここで過ごしていたとして、いつか救援がという希望は捨てていないはず。


 であれば、外で何かあったかを把握するための装置ぐらいあってもおかしくないのだ。


「中がどんな状況かもわからん。……ん、入り口近くに何かプレートがあるぞ」


 リングに言われ、俺もそれを見つけた。

 迷わず、フローレントにそれをつかませた。


 人が両手を広げたほどの、四角いプレート。

 MMWにとっては、爪先ぐらいのもんだ。


 そこには何やらびっしりと。

 最後にサインがある。


「……父のサインです。父は、この瞬間までは生きていた……」


 中身の詳細を確認する前に、ソフィアから絞り出したような声が漏れた。

 彼女が読めるように、プレートの向きを変える。


 幸い、暗号化されているということはなく、ごく普通の文章のようだ。

 モニターにも、それが拡大されて表示される。


 やや仰々しい言い回しだが、書いてある内容自体はある意味単純だった。


 この地で戦闘になり、拠点化しようとした洞窟ここのことだで、重要なものを見つけた。

 それは、他コロニーからの旅人、その物資と情報。

 ここからさらに離れ場所に、他コロニーが生き残っていることがわかったのだ。


「技術的には、コランダムコロニーよりも上らしく、相手側も他コロニーと連携を取ろうとこうして多方面に人と物資を送り出している。その中の1つがここにたどり着き、我らは招かれたと」


「招かれた、か。まあそりゃあ、いちいち伺いを立てに戻るのも難しいわな」


 正直、コランダムコロニーはすべてが順調な運営とは言い難い。

 アデル曰く、戦士とその試合は閉じた状態というか、ぬるま湯。

 事情を知る人間ほど、新しいきっかけが欲しいだろう。


 かといって、そのまま情報だけ持ち帰っても動けるかというと難しい。

 そのあたりの事情はわかるんだけど……。


「ソフィア、大丈夫?」


「ええ、大丈夫です。ふふ、自分を見捨てたと感じるか、ですよね? 大丈夫です。らしいな、と思いました。どちらかというと、私に未来を作りたかったんでしょう。さすがに、すぐに家がどうこうなるとは考えなかったんでしょうね」


 一息に言い放つソフィアは、落ち着いた様子だ。

 恨み……は無いように感じる。

 この辺は彼女しかわからない気持ちだから、彼女がいいというのならいい。


「再会したら、言ってやりますよ。苦労したけど乗り越えましたよ!って」


「ん、了解。さて、残ってるものがないか、探索しよっか? みんなもそれでいいよね?」


 さすがに選ばれた戦士とその同行者たち。

 ここで何かしようという考えを持つ人は、一人もいないようだ。


 もっとも、下手に動くより、ちゃんと成果を持ち帰ったほうが稼げると判断した人もいるだろうけども。


「プレートに、開け方が書いてありますね。そこの陰にスイッチがあるようで」


「これか。動いた……照明弾、撃ち込むよ」


「了解した。戦士セイヤ以外は周囲を警戒」


 誰がやるかの問題であるそれを、俺が買って出る。

 普段は、試合のにぎやかしに会場で放たれる、照明弾。

 それを洞窟に向けて打ち込む。


 体中を緊張が包み込むけど、無駄に終わりそうだった。


「反応なし。どうしよう。突入でいいかな?」


「何が出るかねえ……」


 リングのつぶやきが、みんなの気持ちを代弁していた。



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