MMW-087
「というわけでさ。動きが結構変わりそうなんだよね」
「セイヤだけ呼ばれたのは、少しもやもやしますけど、それなら仕方ありませんね」
「あら、リングの時はなかったわよ」
わかったうえで、お嬢様をからかうようなエルデは、かなりお腹が大きくなった。
俺のような戦士とは違う、正しい人間の産まれ方。
正しいとは何かという問題もあるだろうけど、ね。
(俺は気が付けば、体がこうだったけど、本当は……)
教育でも、そのあたりは省略されている。
だというのに、それにつながる行為の説明自体は含まれているのだから、ちぐはぐだ。
最近は蹴ってくるのよなんていうエルデを、リングが優しい表情で見ている。
なるほど、これは戦いが変わってしまうわけだ。
前に言っていた内容につながるけど、リングは相手にも同じような相方がいたら、と考えてしまったのだ。
だから、単純には手を下せなくなってしまい、負け続けたのだろう。
「おいおい、あまりからかうなよ。ん、セイヤ、どうした?」
「なんでも。この時間、良いなと思っただけさ。で、武装だけどさ。あえて弾代のかかるやつを中心にするよ」
そう俺が告げて、3人が驚いた表情になるのは想定内。
今までは、消耗の少ない装備を好んでいたからね。
でも、なんだかんだと弾代がかかる分、強いのだ。
「威力と……そうか、見た目の問題もあるな。理想はアデルのやつのUGだが……」
「あれはさすがにね。それに、UG、ウニバースグレネードは彼の技って感じがする」
もちろん、UG自体は武装の1つでしかない。
運用には、相当な費用がかかるので選ばれにくいというだけで。
たまーに、変わり種として使われることはあるらしいけども。
「それはあるな。俺は問題ない。ソフィア、そっちは?」
「あ、はい! 私も……ええ、大丈夫です。消耗にも慣れておかないといけませんから」
なぜかうれしそうなお嬢様のいうように、俺も今の消耗に慣れておきたいと考えている。
被弾らしい被弾はしていないが、修理の費用もちゃんと考えないといけない。
いつまでも、一方的に勝てるとは考えにくい。
「多少は弾代にしても、問題ないぐらい稼げたもんね。これを機に、しっかりやっていこう」
話が決まれば、冷めないうちにということですぐに武器と弾の購入申請を。
データは取られるけど、訓練用のスペースで試射も行うように準備だ。
リングは基本的な動きとその延長を。
俺は……少し浮いて、あるいは飛翔しながらの射撃を磨く必要がある。
「で、どうせ選ぶなら、あまり選ばれていないのとか、目立つよね。これとかさ」
そう告げて、選んだ武装は……8門の細長い砲塔が重なった射撃武器。
名前には、ガトリングだとかバルカンだとかそんな名前が踊るジャンル。
これが、かなり不人気なのだ。
「驚いたわね。もう申請が通ったわ。セイヤ、リング。どうやら想像以上に期待されてるらしいわ」
「今回の武器が余ってるからじゃねえか? どちらにせよ、やるしかねえ。それが俺たちの人生だからな」
「まあね。ソフィアお嬢様、それでいいよね」
「! ええ、はい! どんどんやりましょう」
お嬢様も、わかりやすい。
リングや、他の人と話して最近気が付いたのだ。
お嬢様……ソフィアは、名前で呼んで欲しがっていると。
最近、名前で呼んでいないことがこっそり不満だったらしい。
考えてみれば、名前って大事なのかもしれない。
俺がセイヤではなく、ソフィアの戦士とか呼ばれてたら、気にしたかな? どうかな?
少なくとも、ソフィアにとっては名前で呼ばれるのが重要なようだった。
ちょっと恥ずかしいけど、できるだけ名前で呼ぼうと思う。
武器の受け取りと、そのまま練習に移るために4人で移動を開始した。




