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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-079


「いや、まあ……そうなるか」


『強すぎたな、うん』


 俺とプレストンは、ついさっき上から提示された特別ルールに唖然としていた。

 一度につき、5秒以上の飛翔は禁止、だ。

 さすがに、数度も空からの射撃で圧倒したのはまずかったらしい。


 一方的で、しかも撃ち合うだけ。

 確かに、盛り上がりに欠ける形だからな、うん。


「ま、飛ぶのは禁止ってならなかっただけ、いいだろう」


「まーねー……」


 上は、俺がスカイブルー、新しいメタルムコアを持て余すと思っていた気がする。

 実際、ランク8相当だと聞いているからねえ。


 制御も簡単ではなく、武装が多いと手が回らないぐらい。

 武装を絞り、制御に注力できるからなんとかなっているのだ。


(とはいえ、今更通常のコアに戻れない強さなんだよねえ)


 同じブースターでも、その出力が全然違う。

 こう考えると、多くのMMWのパーツ、武器は真の力を発揮せずに使われているのだ。

 今、ガレージにある武装たちも、実は真の力があったりするのかな?


「さて、これ以上考えててもしょうがない、始まるぞ」


「了解。そろそろ対策もされるだろうしねえ……」


 言いながら、どんな対策がされても、やることは変わらないなと思う俺。

 第一、この制限が試合当日に言われるあたり、上もだいぶ悩んだと思う。


 実際に戦う試合相手からしたら、もっと悩ましいだろう。

 俺がもし、自分と戦うなら……とにかく数かな。

 試合会場の空を、弾丸で埋め尽くすような、そんな力業。


「多少不利になったといっても、負けるのはもったいねえ。自由に行け」


「そうだね。左右どっちかを刈るよ。このまま、連戦記録を伸ばしたいし」


 制限が言い渡される前に、俺たちも話し合っている。

 そんな中で考えた動きを選択するだけだ。


 合図の音を聞きながらMMWを会場へと向け、明るさに目を細める。

 何度味わっても、緊張感というか、世界が変わる感じがする瞬間だ。


──相手は、5機


(おいおい……でも、それだけの実力差があるとみなされているのかな)


『だろうな。あるいは、そうじゃなきゃ盛り上がらないぞと相手が交渉したか』


 なるほど、確かにそれはある。

 戦えと言われれば試合はするが、いつものだと盛り上がらないぞ、と。


「セイヤ」


「大丈夫だよ。儲けが増えた、そうだよね?」


「あー……だな。地上は任せろ」


 もちろん、信頼しているし、信用もしている。

 出会ったときは、運が悪いが腕のいいランク2という評価だったリング。

 でも今は、違う。


 一言では言い表せないけど、他は考えられない。

 たとえ、アデルだったとしてもだ。


「……出るっ!」


 試合開始の合図。

 俺は飛ばず、まっすぐに突っ込んだ。


 ほんのわずかに浮いた形での、真横への飛翔。

 モニターに写るカウントを気にしつつ、一気に加速。

 テンポよく一瞬着地、そしてまた浮くのを繰り返しながら。


『撃ってくるぞ!』


(見えて……るっ!)


 ウニバース粒子に乗った、相手の殺気めいた感情。

 その気持ちの乗った攻撃を、左右に勢いよく移動しつつ回避。

 ただ回避するだけじゃなく、斜め前に向かうことで距離を詰める。


 そうしてだいぶ近づいたところで、真上に飛翔。

 相手の幾人かが、ついついという感じで誘われるのがわかる。

 そうして、これまでなら急降下を正面に仕掛けるしかないところだが……右っ!


「リングのほうを警戒、それは正しいけどねっ!」


 もちろん、俺のほうも気にはしていただろうけど、機体は向けていない。

 そんな相手に、左側のブースターだけを吹かすことで、ほぼ直角、斜め下に急降下。

 突風に吹き飛ばされたかのような軌道で、その右端の一機に迫り、至近距離で発砲。


 実体弾を短時間に叩き込み、沈黙。

 と、相手の視線が俺、つまるところリングから外れ……誘いになる。


 正面を移動してきたリングからの射撃が、意識をそらした相手の横っ面を叩いたのだ。


「さあ、まだ終わりじゃないぞ!」


 勝ちを確信しながらも、油断せず残りの敵機を戦闘不能に追い込むべく、戦いを続けるのだった。




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