表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/205

MMW-072



「チームの利点か……単純にお互いに戦わなくて済むのがわかりやすい利点だな」


「そりゃあ、そうだよね。気分的にも、勝率的にもそうじゃないと困る」


 わからないことは、知っている人に聞くのが一番早い。

 それに、後は彼に聞けばいい、と追い出されたのだ。


 だったら最初から通信か何かでよかったんじゃないか?と思った俺は悪くないと思う。

 そんな気持ちを抱きながら、帰り道。


 ガレージに戻る前に話そうとなり、リングが連れてきたのは軽食が取れる店だった。

 アルコールは提供していないようで、周囲の客もどちらかというとおとなしい様子。


 それでも結構な喧騒で、会話も何を言ってるんだかわからないぐらいだ。


「まあな。今の組み方でも同じようなもんだが、さらに一歩踏み込んだ感じだ。ランクが共通になる」


「上がるときも下がるときも一緒ってことか……」


 これは思ったより大きいと思う。

 例えば、怪我をして誰かが戦えなくても、残りのメンバーで試合をこなせばいいわけだ。

 俺たちの場合、エルデのお見舞いにリングが行く時も、俺1人で試合ができる。


(いや、しないといけない状況になる、か?)


『ああ。誰かが外仕事を受けている場合もあるってことだ』


 やはり、そういうことらしい。

 逆に考えると、俺たちに有利と言えば有利とも考えられる。


 さすがに2人して外仕事を受けていれば、試合の対象にならない。

 それに、連携訓練も3人4人と比べればしっかりできる。


「ま、俺たちの場合は、下手に人が増やせないともいえる。何せ、新人詐欺なやつと、ランク2まで落ちたやつだからな。その上……」


「トップランカーとなぜか仲がいい。うーん、確かに喜んで組みたいって思えないね」


 我ながら、無理というか無茶を通してきたというか。

 空を目指す、この感覚は確かに普通じゃない。


 できれば、プレストンのせいとは思いたくはない感覚だけど……わからないね。


『俺は俺だからなあ。他人に影響を受けない人間が世の中にいるか?といった話になる』


 うん、そういうことだ。

 考えても答えの出ない問題でもあるとは思う。


「そういうこったな。これからだが、試合の後は外仕事、そして休息、んでまた試合、といった感じにする。もちろん、体調なんかを考えて、調整はするが……」


「了解。その辺は任せるよ。俺じゃわかんないし。あ、でも……お嬢様の両親のことがわかったら、それ優先で」


「わかってる。俺とエルデにとっても……他人事じゃねえ。俺はよ、普通の相手を殺せなくなっちまったんだ」


 突然の告白。

 リングが、ランクを落とし続けた理由がそれなのだろう。

 普通の相手、つまりは……。


「理由が無いとダメになったんだ?」


「……ああ。幻滅したか?」


「ううん、全然。むしろ、そのほうがいいんじゃない? 俺にはよくわからないけどさ。その、子供のためには、そのほうが」


 俺自身には、よくわからない。

 けれどプレストン、未来の俺だろう男の記憶は、そのほうがいいと告げてくる。


 理由があれば殺していいわけじゃあない。

 けれど、理由なく手を下せるのは正しくはない。


 自分に納得できる何かが無いと、そう俺は伝えてくる。

 言葉じゃなく、気持ち、感情で。


「ありがとよ。セイヤ、お前も自分の中で理由を作れ。他人を理由にするな。例えばそう、ソフィアのために殺す、そういうのはやめておけ」


「わかってる。自分にために、誰かの未来を奪う、それが覚悟だと思う」


 2人の会話は、小声とは言わないけど、小さめだ。

 だからこそ、周囲の喧騒に溶けていく。


「そうしとけ。注文したコーヒーが冷めちまったなあ」


「ぬるいほうが一気に飲めて好きだよ、俺」


 言いながら、その苦みのある液体を流し込む。

 俺たちの未来は、こんな苦くないほうがいいなと思いつつ。


「じゃ、帰るぞ」


「待って。お土産の1つぐらい買ってかないと、怒るんじゃない?」


「おおっといけねえ」


 男2人、笑いながらガレージへ。

 リングとは、前より仲良くなれた気がした。


 そして、出迎えてくれた相手を前に仲良く震える俺たち。

 彼女らの表情を見て、お土産を買っておいてよかった、そう心の底から思ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ