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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-069


『警戒。何か出てくるかもしれない。見たことがないパターンだ』


「リング。武器は構えよう。何かいるかも」


「お、おう。そうだな……」


 俺たち以外も、明らかに目の前の光景に見惚れている。

 いくつもの残骸のようになっていても、美しい光景だ。


 ただ、確かに何かを感じる。


「ただ珍しい光景ってだけか?」


 と、他にもいる護衛からの独り言が聞こえ、注意を促そうとした時だ。


 視界で何かが動いた。


 プレストンが言うより早く、俺はその影に向かって発砲。

 念のために持ち込んだ、実体弾。

 乾いた音を複数たて、弾に込められた暴力が発揮される。


 前に見たものよりさらに小型の何かの機械のようなものに着弾、相手を突き抜けた。


「貫通した? いや、それより!」


 弾が当たる直前、ウニバース粒子の動きを感じた。

 相手は、メタルムコアを持っている!


 光るスターレイの残骸、それに照らされる地面にいくつもうごめく、謎の影。

 それ自体は、倒すだけだから良い。


 けれど、わからないことがある。


「なんで今になって! 落ちてきたのついさっきじゃないよね!?」


「ああ、そのはずだっ! くそっ、かてえ!」


 焦るリングの声に、思考が加速するのを感じる。

 発砲音が複数するから、他のMMWも発砲してるはず。

 スターレイに流れ弾も当たってるはずだけど、それ以上に何かに当たっている。


 当たっているはずなのに、この甲高い音はなんだ?


『有効弾無し、俺たち以外あまり効いてない!』


(どうして!?って、それは後!)


 スターレイの残骸が明るい分、相手の数がいまいちわからない。

 その怖さをどうにかするため、敢えて前に出て距離を詰める。


 とっさにモニターの輝度を調整し、動く何かを見ようとし……とっさにMMWを横に飛ばせる。

 相手が、何かを撃ってきたのだ。


「本当は鹵獲のほうがいいんだろうけど、無理っ!」


 弾代を考えず、連射。

 トラックにアームが複数生えたような姿に驚きつつ、全力を叩き込む。

 俺の放った弾はなぜかしっかりと、相手にダメージを与えているようだ。

 

 別の影、恐らくは敵がこちらを向く感じがあり、そこに周囲から弾丸が叩き込まれる。

 ダメージは与えていない様子だけど、牽制にはなった。

 さすがに護衛に選ばれるだけのことはあるのか、周囲の射撃も俺を援護するものに変わったのだ。


「次っ! ああ、もうっ!」


 ライフルを投げ捨て、接近戦のためにエネルギー剣を構えて突っ込む。

 ここまで連射する予定はなかったために、すぐ弾切れしてしまったのだ。


 相手からの攻撃を、無理やり左右に機体を揺らして回避し、至近距離。

 何かの参考になるはずだと、しっかりと記録はとりつつ、恐らくはコアがあるだろう反応に一撃。


 不気味な音が、周囲に鳴り響く。

 それは機械が壊れる音でもあり、まるで生き物が悲鳴をあげているかのようだった。


 都合、9機目の相手を貫き、沈黙させたところでよくない気配も消える。

 気配というか、メタルムコアの駆動がそう感じさせたのだろうか?


「……たぶん、終わったと思う」


「こっちでも動体反応が消えたのを確認。最初から遠慮せず叩き込んでおけばよかったぜ……」


 仕方ないよなんてリングと話しながら、被害状況を確認。

 幸い、相手の攻撃は当たり所がよく、移動に問題はない様子。

 コンテナ類も使える状態で、精神的な疲労のほうが激しい。


 謎の相手、恐らくは以前見た無人機の一種だと思うけど……と初めての命のやり取りだった。

 そう、相手の攻撃は威力は間違いなく、脅威だった。


『相手の攻撃自体は推測ができる。だがあれは……ひとまず、スターレイとあいつらをできるだけ持ち帰ろう』


(そうだね。間違いなく稼ぎになる)


 いつの間にか硬く操縦桿を握りしめていたことに気が付き、深呼吸をしながら手を動かす。

 プレストンの提案に応えることで、徐々にだが気持ちが落ち着いてきた。


「積み込むのは手伝えるよ。どっちを積むのを優先しよっか」


 問いかけの返事は、敵機優先とのこと。

 スターレイ自体は、最悪積みきれなくてもいいらしい。


「セイヤ、大丈夫か?」


「うん、今のところ。でも、本当になんだったんだろう」


 スターレイと謎の敵機。

 関係があるのかないのかはわからない。

 

 けれど……気になることがある。

 視線の先には、スターレイの鋭利な部分が、見事に突き刺さった、大きい敵機。

 地面に縫い付けられたかのような光景だ。


 それに気が付いた面々の、驚きの声が通信で聞こえる。

 これはそう……まるでスターレイが、敵機を倒すために落ちてきたかのようだった。



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