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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-038


「今のところ、がっつりと撃ち合うような戦いをしていない自覚はあるか?」


「当然。正面から戦えないわけじゃないけれど、命は大事だから」


 次の試合が決まってすぐ、話し合いの場でリングから言われた言葉。

 それは、俺が正面から戦った経験は少ないのではないかということだ。


 この場合、格下相手にそれをやっても大した経験にはならなかったはずという意味もある。


「あら、そうなの? ソフィア、貴族ならそういうのは嫌いそうだけど」


「今の私には、そんな余力はありませんから……生き延びてこそ、です」


(なんだか、仲良くなってるな。いいことだけど)


 ソフィアお嬢様も、年上というか、単純に相談できる相手ができたからだろうか?

 緊張した表情が多かった最近と比べ、やわらかくなったというか、子供っぽい表情が出てきたというか。


『いいこと、だな。焦ると視野が狭くなりがちだ』


 内心でプレストンに同意しつつ、リングたちの持っている端末を操作する。

 大きさは小さなテーブルほどだけど、立体映像でMMWを組むシミュレートができる代物だ。

 結構いい値段がするはずだけど、先日の儲けで買いなおしたらしい。


 噂じゃ、実際に乗れるようなすごいのがあるとかないとか。


「これがあるとないとじゃ、バランスがだいぶ違うんだ。組んでみないとわかりませんでしたってことがあってな」


「そういうことね。確かに、今の俺の組み方だと……見た目まではわからないからなあ」


 バランス自体は、実は悪くなることはなかったりする。

 ズルしてるみたいであれだけど、プレストンの記憶だとかがもう染みついてきてるから。


 よく考えずに選んだつもりでも、それは彼の経験からよさそうな物、となっているわけだ。


「セイヤはセンスがあると思うぜ。悩み方が他とは違う。どれならどんな戦い方ができるかを想像できている」


「ありがと。リングは……さすがに全部エネルギー系はやめたんだね」


「武装が偏ると、動きが読まれやすいのよ」


 ぎりぎりから脱することができたからか、エルデも少し表情が柔らかくなったように思う。

 確かに、余裕がない人というのはすぐにわかるんだなと勝手に感じてしまった。


 口にするのは失礼だろうなという自覚はあるので、タブレットの映像に視線を戻す。


「基本はこれまで同様、セイヤが前、俺が支援でいいと思う。勢いがあるのは間違いじゃないからな。その代わり、次はうまく被弾してもらう」


「被弾……避けちゃダメ、とは違うのか。あー……なんとなくわかった」


「修理費用の単価も上がってますからね。今のうちに経験を、ですか」


 伊達に被弾しまくっちゃいねえぜ、なんて偉ぶるリングをエルデがひっぱたいた。

 そんな姿に笑いながらも、感心する。


(確かに、彼の言う通りだ。余力のあるうちに、だ)


『もっとランクが上がれば、手が届く武器の威力も跳ね上がる。当たれば負け、そんな武装もあるぐらいだ』


 そんな相手は嫌だなあとは思いつつ、自分の機体も映像をいじって調整を試す。

 すぐ放棄できるようにそれぞれ手に持つタイプの銃を1丁ずつ。

 ウォーピックは丸見えだけど、手首の外側から延びるタイプにした。


 他もバランスよく組み、自分のこだわりは持つことに。

 こだわり、機動力だけはとにかく優先的に仕上げることにした。

 そしてもう1つ。


「セイヤ、それでいいんですか? 逆に動きづらくは……」


「覚えちゃえば平気。この前の試合でこれがあればもっと楽だったかなあ」


「接近戦はロマンらしいからな、ウケはいいぞ」


「なかなか思い切りがいいというか、リングにはまねしてほしくはないというか……」


 わいわいと、4人で見つめる先の俺のMMW。

 その両足には爪がある。

 ウォーピックより長く、銃より短いかなといった取り付け爪。


 素材はよくわからないけど、硬さが売りだったから丈夫でしょう、たぶん。


「多少の被弾は盛り込み済みで、近づいてダメージを与える。一気に加速してどっちかの近接武器で部位破壊狙い。誤射は気にしないで。そうでないと、勝ち続けられない」


「お前さんが良いならそうするが……いやいや、当てるつもりはないぞ。練習できないのは難点だが、どうにかするさ」


 やっぱり、リングはお人よし。

 そう思いながら、タブレットの映像通りに発注をし、ガレージに戻って整備の準備をするのだった。



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