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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-037


 踊る機体、飛び交う弾丸。

 今となっては、全部がお金に見えてしまう。


 あの機体たちには、人が乗っているというのに。


 そんな空間を彩るのは、ランク1よりは上品、上品か?

 ともあれ、ほんのりと違いを感じる試合会場とその観戦席。


「くくっ、わかるぜ。あんな撃ってもったいないとか思ってるだろ」


「え、なんで? 口に出してた?」


「なあに、俺もそうだった。昔、エルデに泣かれて……ようやく金勘定で見てるとダメだってわかったのさ」


 試合会場を見ながら、一人苦笑いのリング。

 疲れた雰囲気を感じるから、相当苦労したんだろうな。


 ちなみに、エルデとソフィアお嬢様はそばにいない。

 一度合流した後、それぞれに試合の見学をすることになったのだ。


 本当は4人一緒でもいいかなと思ったのだけど、それをリングが止めた。

 戦士には戦士向けの場所があると言われ、やってきたのは戦士たちの待機室。

 戦士なら出入り自体は自由らしく、試合のない俺たちのような人も結構いる。


 試合会場はばっちり見え、観戦席もある程度見える。

 何かの参考にしろということか、戦士を脅すためか。

 窓以外にも試合会場を映したモニターが複数あるのが、気になるといえば気になるところ。


『人間観察にはいいかもな。見るからに色々いる』


(そりゃあそうだけど、俺のほうが目立つ……でもないか?)


 余裕のありそうな人、なさそうで落ち着いてない人。

 今にも倒れそうなぐらい顔色のやつもいる。


 あ、余裕そうなやつが声をかけにいった。

 なんとなくだまされそうな……俺が止める必要もないか。


「俺もああなるところだった。助かったぜ」


 リングも同じ考えなのか、特に止める様子はない。

 どうしても自分で手が届く範囲を、となるのだ。


 それに、自分で変えられない状況なら、たとえ悪い誘いでも他から変えてもらうしかない。

 そこからどうなるかは、本人次第なんだけどさ。


「そういえば、結構負け続けてたんだっけ。そんな弱くないように見えるけど……なんで?」


「正直に来たなあ。きっかけは普通の負けだった。焦って次をってやってくうちに、だんだんと武器の幅がな。それだけじゃないが、主な理由はそんなもんだ」


「あー……ハマっちゃったわけね」


 いつの間にか試合は次のが始まっていた。

 今度も、似たような装備で撃ち合い、組み合い、そして決着。


 試合が終わると、喜ぶ側と沈黙する側。

 片方の組は1人死に、1人生き残った……これが日常。


「俺たちも、あっさりとああなることだって覚悟しなきゃなんねえ」


「わかってる……つもりだけどね」


『心配するなって。もしそうなったら、違う自分にお前が教えるだけさ』


 それは、安心できることなのだろうか?

 プレストンは、何度もこれを繰り返していると?

 そんなはずはない、と言い切れないのが何とも言えない。


「大丈夫か? 気にしすぎるなよ」


「あ、うん。大丈夫」


 変なことを考えたからか、押し黙っていたらしい。

 ちょっと元気がない返事だったのか、リングの表情もすぐれない。 

 しまったな……こうなったら。


「強くなろう。それでイイトコ連れてってよ。お嬢様じゃわかんないようなさ」


「は? ふはっ、任せろ。エルデがいない時によ、結構遊んだもんさ」


 その遊び方はどうかと思うけれど、気の抜き方は彼のほうがうまいように思う。

 俺もソフィアお嬢様も、あまり遊ばないからね。

 そんな余裕がないともいうけれど。


 笑顔のリングにつられて、俺も心が軽くなった気がした。

 その分、周囲で聞き耳を立てていたやつらからの視線が鋭くなった気がする。


「おっと、連絡だ。あっちももう戻るらしい」


「いい時間だもんね。次の試合のこと、決めてから行く?」


 親子とは違うと感じるリングとの関係。

 友達、とも違う。

 なんというか、不思議な関係だ。


(できることなら失いたくはないな)


『なら、さっきの話じゃないが強くならないとな。気持ちじゃ銃弾は止まらない』


 願望の混じった気持ちに、プレストンの言葉が突き刺さる。

 一人頷き、前を行くリングについていく。




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