表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/205

MMW-034


「バブルゴールド、ですか。なんとも微妙なあだ名ですね」


「仕方ないよ。実際その通りな部分もあるし」


「それはそうなんですが……」


 それを知ってから、お嬢様はずっとすねたように怒っている。

 ランク2に上がり、初戦を終えて俺についたあだ名が原因だ。


──バブルゴールド


 由来は単純だ。

 俺がそれだけ順調に勝ち上がってきたように見えるのだ。


 問題は、これまでに何人もこのあだ名を持っていたということ。

 そう、持っていた、だ。


「このあだ名の持ち主が迎える結末。やはり、あまりい気分では……」


「お嬢様が気にしてもしょうがないよ。そんな運命が決まったような話なんてね」


 さっきとは違う感じで、勝手に怒ってくれるお嬢様。

 そのことがうれしくもあり、心配でもある。

 俺たちの戦いは、ショーなのだから。


『あだ名をつけられた戦士は、大体がすぐに立ち消えていく、と。泡のような稼ぐ姿ってな』


(そういうことだよね。住む場所も、あからさまだしなあ)


 気に入らないかといえば、どちらかというと好きだ。

 むしろ、このあだ名で俺を見ている連中がどういう顔になるかが楽しみだ。


 だって、ここから先も勝つのだから。


『その意気だ。ま、環境は悪くない。目立つ分、泥棒だとかには縁がない立地だからな』


 そうなのだ。この建物のある場所は、なかなかにとんでもない。

 まだ怒った様子のお嬢様をなだめつつ、明るい窓の外に目を向ける。


 行きかう人々が少し離れた場所に見え、けばけばしい灯りが壁をはい回り光っている。

 なんと、すぐそこに闘技場のある区画への扉があるのだ。


 この建物とは車が2台すれ違えるぐらいの距離しか離れていない。

 どの区画にも、こういう場所があるらしいのだけど、ランク2が多いこの区画は少し特殊。


 さっき考えたように、あだ名のついたやつが住むらしい場所なのだ。

 家賃的なものはあからさまに安く、補給だって遅延なく行われる。


「出入口が裏なのはいいですけど、あちらから見えないとわかっていても窓が気になります」


「それはね。ぴったり貼りつけばうっすら見えるらしいけど、こっちからするとただの不審者だもんね」


 外の喧騒が見える窓は、不思議な造りだ。

 こちらからはしっかり見えるが、外からはただの鏡面な壁なのだとか。


 幸い、普通の窓の大きさだから、何かあって丸見えになっても大きな問題はないだろうけど。


「MMWを出し入れするときとか、外のランプが光るんだもんな。ま、すぐ慣れると思う。で、機体が搬入されたって?」


「ええ、そうです。ついさっき。確認してください」


 おもちゃを与えられて喜ぶ子供ではないが、新しいMMWが気になるのは間違いない。

 お嬢様についていく形で、新しいガレージに。


 つい先日、新しくなったばかりの設備はちゃんと引っ越しされていた。

 その一角にたたずむ、メタルムコアの抜かれた愛機としてのMMWタルクス。

 今度、汎用品としてのコアは注文しておかないといけない。


 そんな隣に置かれた見覚えのないMMW、これが新しい機体。

 汎用MMWの1つ、プラストーン。

 単純にタルクスの上位互換機ということだけど、どこまでが限界かはまだわからない。


(目の前の機体には、メタルムコアが移設されている形のはず……)


「乗り込み方は変わらず、か」


 人間でいうお腹の横から、コックピットへ。

 広さは俺が手足を伸ばして余裕で横になれるぐらいはある。

 タルクスより、拳3つ分ぐらい広い気がする。


『少し、腹回りが太くなった分、中は広いはずだ』


(そんなもんか……あ、でも高さは少しあるね)


 全高がタルクスより頭2つ分は高い。

 その分、足元に注意しないといけないと感じた。


 機体に意思を伝えるための操縦桿。

 ほかにも計器やスイッチ的なものはあるけれど、重要なのはこれ。

 シートに座り、それを握りこむ。


 初めてなのに、どこか慣れ親しんだ感覚。

 それはおそらく、プレストンの記憶にある経験がそうさせるのだと思う。

 未来の俺(勝手にそう考えることにした)は、色々なMMWに乗り、戦ったのだろう。


 けれど……納得いく結末は迎えていない。


『……どうしてそう思った?』


(簡単。じゃなきゃこうやって口出ししないでしょ)


 そう考えたら、プレストンは押し黙った。

 やっぱり、こういうところは俺だなと感じつつ、お嬢様にテストは良好だと告げる。

 外に向けて発声するスピーカーも、ちゃんと動いているのが確認できた。


 もう少し確認をしたら、リングのおっちゃんたちと今後の相談をする時間だ。

 どんな戦いが待っているか、今から楽しみである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ