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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-030



 試合当日。いつものような人工の朝。

 目覚めた場所は、簡易なベッドの上。


 いちいちガレージに帰るのも時間がもったいなく感じ、夜遅くまで作戦会議だった。

 もちろん、今日に影響が出るほどではないけれど……おそらく相手はここまで真剣ではないだろう。


「起きたか、坊主。ほれよ」


「ありがと。コンビ戦は慣れてるの?」


「最近は微妙だな。特定の相手を選んでない限り、勝手にあまりもんで組むことになる。で、俺は負けが込んでた。となると?」


「組んでくれる相手がいない、か」


 同じく簡易ベッドに寝ていたリングのおっちゃんは、気だるそうながら、緊張した様子はない。

 一緒に戦う身としては、とてもやりやすいところだ。


「わかった。作戦は変わらず行くよ。俺が前、おじさんが後ろ。突出した俺を、おじさんがフォローしに前に出てきた……というのを装う」


「だめでも近づくのは大事だからな。けどよ、恐らく最初が大変だぜ? 坊主は知らないだろうが、このランクから最初はロケットとミサイルの撃ち合いが多いんだ」


 それは昨日も、理由からしっかりと聞いた。

 多少費用がかかっても、一方的にダメージを与えられるならそのほうがという考えだ。


 そのこと自体はわかるし、脅威なのもわかる。

 けれど……俺は、自重をある程度止めることにしたのだ。


『俺の経験を使う、自分じゃないみたいで嫌だったんじゃないのか?』


(最初はね。でもさ、いい機体、いい武器、それらを使って強くなるのと違いがないなって思った)


 かなり手加減していたアデルと模擬戦をして、それがよくわかった。

 アイツはとてもという言葉で言っていいのかわからないぐらい、強い。

 追いつき追い抜くには、俺1人じゃ、足りない。


 ならば、勝つために使うのだ。

 使えるものは何でも使い、俺とお嬢様と、今回はリングたちの未来を手にする。


「わかってるよ。でもね、俺も自信がある。ロケットはまあ避けるけど。ミサイルは任せてよ」


「頼むぜ、坊主」


 心配そうなリング。そりゃそうだ。

 実際、俺1人なら頭を抱えてたと思う。


 頭の中のもう1人の俺、プレストンがいるからやれることだ。


 無数の経験にある、1つの力。

 それはMMWの核心技術である、メタルムコアとの同調、連携だ。

 普段の操作自体が、すでにそこに触れているのだけど……。


 人の体には、メタルムコアに似た力があるらしい。

 だからこそ、MMWの細かい操縦が可能なのだとか。

 今の俺は、それをより深いところまで扱える。


(なんか変な感じ。今でも視界を切り替えると、普段からウニバース粒子って当たり前にあるんだなってわかる)


 そう。そこらにある仕組みも、MMWと似たような仕組みなのだ。

 どこかにあるメタルムコアで力を生み出し、電気に変換している。

 そのため、空気中のウニバース粒子の輝きが見えてしまうのだ。


 少しだけ、埃みたいで気になるけど。


『うむ。この地下空間に特に多いらしい。だからこそ、人類は地下に逃げ込んだんだろうな。もっとも、それを活かすための力……適した宝石も地下のほうがあるのは当たり前なんだが』


 いまだによくわからないのが、この部分。

 宝石がメタルムコアの中で、ウニバース粒子を収集するのに大きく影響するということ。

 ただの石ころたちなのに、その性能まで違うらしいのだから。


 ちなみに、低ランクのMMWで使うのはやはりというか、安いそこらのクズ石らしい。

 高ランクMMWや重要施設にある宝石は、どんな値段になることか。


「大丈夫大丈夫。その代わり、隙は逃さないでね」


「そこは任せておけ。伊達に負けても生き残っちゃいない。そういうのは得意なんだ」


 それは自慢していいのかわからないけれど、生き残るのは大事。

 頷いて、別室にいるお嬢様たちのことを考える。


 今回の試合では、2人ともオペレーターのように、会話が可能らしい。

 正確には、ギブアップできるのは飼い主だけだから、ということかな。

 そう、ランク2からはギブアップがあるのだ。


 当然、負けは負けで、金銭的に大きくへこむし、借金なんてのもあるらしいけど。

 そう考えると、リングたちはまだ借金になってないのはすごいことかもね?


「よし、時間だ。行くぞ」


「了解。さあて、狩人のつもりの横っ面、ひっぱたいてやりますかね」


 戦士の顔に切り替わったリング。

 俺も見習い、気合いを入れるべくそんなことを言いながら機体のある部屋へと移動するのだった。



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