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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-196


「もう少し聞きたかったけどっ」


「全員、こんなところで死ぬなよ!」


 車両は後退させ、MMWだけで前に立つ。

 こちらとしては当然の組み合わせだけど、相手は事情が異なる様子。


 車両まで、武装した状態で前にとどまっている。


(あんなの、こっちの攻撃を受けたら一発だろ!?)


『後が無い、どうしようもない状況? 経験はないが、推測できる。施設が動かなくなってきたんだ』


 散発的な攻撃を回避し、反撃を行おうとして、MMWの後ろにある車両に当たりそうになり狙いをずらす。

 近くに着弾したそれは、土煙を上げて相手の攻撃を邪魔したはずだ。


「こっちに避難の1つでもしたらいい!」


「そう簡単に!」


 なおもつながっている無線で呼びかけるも、返答は叫びと弾丸。

 さすがに、何もしないわけにはいかず、反撃で無力化を狙う。


 しかし、俺以外は遠慮せずに反撃することで、直撃弾が複数発生している。

 俺のしていることは、ただの自己満足、そう言われているようだった。


『撃て。流れ弾がソフィアたちに当たるぞ』


 冷たい声にハッとし、引き金を自分の意思で引いた。

 自分のほうが強いといううぬぼれが、出ていたように思う。


 迫る攻撃を、さばいていく。

 明らかに威力のないものは、フィールドアームで直接弾き、左手に構えさせたブレードで切る。

 カウンターとして攻撃を叩き込み、沈黙させる。


 やっていることは、試合と似たようなものだ。

 違うのは、明確に命を対象にしていること。


(うちのコロニーが昔から試合で対人が中心なのは、もしかして……)


 眠っている指導者は、こうなる可能性、逃げ込んできた人間のことをある程度知っているのかもしれない。

 ぶつかる日が確実に来ると、どこかで確信していたのだろうか。


「逃げない……なんで逃げないんだよ!」


 そう言いながらも、理由はわかっている。

 相手が言っていたではないか。


 コロニーが終わる、と。

 それは人口維持の観点からかもしれないし、MMW等の武装を維持できないのかもしれない。


 最後の1人まで、そういう覚悟だろうことはMMWがほとんど倒れてもなお攻撃を放つ車両がいることでわかる。

 そして、この状況でも以前出会ったようなタイプたちがいないことに気が付いた。


「リング、みんな。本命が他にいると思うんだけど」


「同意だ。あっさり過ぎる」


 ほかの戦士からも、ほぼ同じ回答。

 そう、以前出会ったような、ベテランともいえる技量の持ち主は今の相手にはいなかった。


(奇襲でもしてくるのか? だとして、どこから?)


 俺がドーンスカイで可能なように、上を飛んでくる?

 だとしても、この距離では例えばコロニーに直接ということもないだろう。

 何より、彼らは帰りたいのだ。


 さすがに戦力を感じているのか、相手車両からの攻撃が止む。

 あとは普通なら、降伏を誘うところだけど……受けるかな?


 そんな微妙な状況で、その気配のようなものを感じたのは偶然だ。


『いた! 前方高台上!』


 やはり、隠れていた。

 スターレイへの攻撃には参加しないことで、周囲の目から逃れていたのだ。

 相手の残っている戦士や車両から、情報が漏れるのを嫌ったのかもしれない。


 同時に、見覚えのある機械虫が相手のそばに浮き、そのまま突撃をして……来なかった。

 機械虫たちは、砕かれたスターレイのほうに向かってしまい、こちらには来ない。

 機械虫を操っていそうな技術には興味があるが、それはそれ。


 機械虫が予想外の動きをしてしまっているのか、相手に動揺が感じられた。


「今!」


 その隙を逃す手はない。

 持ったままの、エネルギー版UGともいえる攻撃を、明確に意思をもって放つ。

 ほかの戦士たちと同じように高台に直撃し、破壊の力を撒き散らかした。


 おそらくは、コロニーの人間同士の争いで過去最大級の物は、そうしてほぼ終結する。

 相手のコロニーを調査するかどうかは、俺たちではなく、ベルテクスたちが決めることになるだろう。


 結局、最後まで抵抗を止めずに、命を奪おうとしてきた集団。

 そんな相手を、俺はソフィアたちが襲われるぐらいなら、と撃破した。


 覚悟はしたつもりでも、重いものが胸にたまるような気がした。


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