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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-195


 考えてみると、コロニーでの防衛戦なんてのは、ほぼ経験が無い。

 時間をかけて、安全だろう場所にコロニーは作られたのだから当然かもしれない。


 ましてや、対人なんてのは想定外もいいところ。

 人間は皆、地下世界に逃げてきた前提。

 協力することはあっても、争いあう余裕なんてない。


 ない、はずだった。


「自分たちの管理できる場所で、あれをやらないのはなんでだろうね」


「わからん。向こうではダメだったのかもしれない。順番に試しているんじゃないか?」


 コロニーから打って出るには遠い距離。

 確かに、あの辺にスターレイがあったなという場所から響く音と光、そして力の波。


 遠征先だったら、襲撃に向かうところだけど今はコロニーから離れにくい。

 このままスターレイに何かあったら、という心配がある。

 けれども、俺はどこかでそれ自体は大丈夫だろうという気もしている。


『仮に砕いても、またふさがるって思ってるんだろう? 俺も同じだ』


 そう、実際に俺が目撃したように、スターレイはすぐに復活する。

 おそらく、正確には新しいスターレイが上から伸びてくるのだが。


(鉱物に見えるけど、スターレイたちはもしかしたら……)


 地下世界の謎の1つに考えを巡らせてる間にも、何回目かの衝撃。

 その強さから、スターレイを砕いたのだろうと感じられた。


 絶対の禁忌というわけではないが、やらないようにとなっているスターレイの破壊行為。

 一度やってしまえば二度も三度も同じということか。


「コロニーから味方が出てきたぜ。目的を聞いてこいだあ?」


 ベルテクス、コロニーからの依頼。

 それは、他の戦力も一緒に前に出て、目的を聞いてこいというもの。

 確かに、こちらを攻めるというのならスターレイに構ってる場合ではないだろう。


「あいつら、奇襲の有利を捨ててああやってるってことは……コロニーを攻めるつもりはないかもってことか」


「セイヤ、気を付けてください。相手が、そこまで考えられない状況の可能性があります」


 準備をする俺たちに、ソフィアの冷静な声が届く。

 言われてみれば、そうかもしれない。

 わざわざこっちに来てまでスターレイを破壊し、さらにはコロニーには来ない。


(向こうのコロニーにはいられない理由が? 機械虫にでも占領された? いや……)


 今はそのあたりは後回し。

 別方面から戻ってきたであろうMMW、戦士たちと一緒に前へ。

 半日も進めばたどり着く場所にあるスターレイが目的地だ。


 警戒は怠らず、進んだ先には見慣れないデザインのMMWと車両たち。

 まだ遠いけど、こちらを気にしている様子は感じられない。


 見えてくるようになると、わかることがある。

 ひたすらに、スターレイを攻撃しているのだ。


「この距離、届くかな? お前たち、目的はなんだ!」


 つぶやきながら、無線の周波数をいじりながら通信を試みる。

 暴力が返ってくる、そう思いながらの問いかけ。


「放っておいてくれ! 俺たちは、地上に帰りたいんだ!」


 だが、返ってきたのは予想外の返事だった。

 以前のような、傲慢で暴力的なものじゃない。


 どこか必死な、他を構う余裕のない声。


「近くでこんなことをされたら、警戒の1つもする。スターレイを砕いても、すぐに埋まって上にいけなかった、そうだろう?」


 俺はここでそんな話を振った。

 まるで、こちらも砕いて地上を目指したことがあるかのように話を作ったのだ。

 実際には、俺が落下したスターレイの穴から出ようとしただけだが。


「それでも! こっちのスターレイなら、違うかもしれない! 何より、俺たちの近くのはもう硬くて無理なんだ!」


 新しい情報に、思わず俺も、聞いていた他の面々も動揺するのがわかる。

 そうだ、そもそも最初に出会った時の場所自体がおかしい。

 スターレイを砕いて地上を目指すだけなら、あんなお互いに離れた場所でなくていいはずだった。


 空の岩盤を走る力の波、それはスターレイが攻撃を受けたときの副産物。

 あいつらはこれまでにも散々同じことをしてきたはずだが、ずっと感じられたわけじゃない。


 その理由は、スターレイが攻撃を受けても問題ない変化を遂げていたから?


「戦士セイヤ、どうする。話が聞けるならそのほうが良いように思うが」


「そう、だよね。どうしたものか」


 同行している戦士の1人から言われ、動きに悩む俺。

 そんな俺たちを見て、どう思ったのかは知らない。


 けれど、相手の1部がこちらに武器を構えた。


「邪魔をする気か!? 俺たちにはもう時間が無いんだ。指導者のいないコロニーは、滅びに向かう!」


 聞きたいことが増える中、殺意の乗った攻撃が迫ってくるのだった。



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