MMW-194
いつぞやの再現のように、空の岩盤が揺れる。
明らかに、誰かによる人為的な現象だ。
多くの戦士や人員が、例のスターレイを使った開発に出払っている現状。
コロニーの防衛用戦力以外、動ける人員は少ない。
「どうしよっか。俺たちは休んでろって言われてるけどさ」
「緊急事態だからな。エルデはジルと避難してもらうとして、だ。ベルテクスの野郎から何か来てないか?」
言われ、端末を確認するとメッセージ。
騒がしさに気が付かなかったけど、異常があってすぐに送られているようだった。
「きてる。人手が集まるまでは、外で警戒にとどめておいてほしいってさ」
「上は、戦争もあり得ると思っているのでしょうな。あれは、誘いでしょう」
爺の、年齢を感じる冷静な指摘が飛んできた。
振り返れば、俺とリングのためのお茶を持ってきてくれたようだ。
後ろから、ソフィアも駆け寄ってくる。
「この前、私たちは正面からあれの邪魔をしましたからね。全く同じことはしないと思いますよ。でも、こちらの情報はつかめていないはず」
ソフィアの顔には、覚悟の色。
殺し合いは回避したいのは彼女も一緒だけど、ここは妥協するところではないとも思っているのだろう。
俺も、躊躇してみんなや自分自身を危険にさらすつもりはない。
「コロニー全体が過激な思想に染まってると思う?」
「実行力のある人間、それらがある程度同じ方向を向けば、その他大勢はそちらを向かざるを得ないでしょうな」
つまりは、そういうことだ。
コランダム、ベリル、両コロニーがそうだったように、方向性は大体決まる。
でも、変わっていく、変えられる。
過激な行動をとる連中がいなくなれば、変わる可能性はあるんだと思う。
「ひとまず、外の警戒をやりにいくか」
リングの言葉を合図に、俺たちは仕事としてコロニーの外に出る。
コロニーが見える距離で、周りを確認するようにゆっくりと移動。
これなら、最悪の場合でもコロニーに連絡をしてから動けるはずだ。
『MMW以外にも気をつけろ。いつかの未来で、あいつらは虫を引き連れていた』
(機械虫を? まさか、あいつらは……)
そんなことはしてないと思いたい。
けど、けれども。
あの巨人のような遺体が、機械虫のしたことじゃないとしたら?
『わからん。問いかけても答えてはくれないだろうな』
プレストンの迷いが伝わってくる。
実際、その通りなのだから俺もそれ以上は何も言わない。
(もし、そうだとしたらあまりにも……)
そんな考えがよぎったとき、再び粒子の波が空を揺らす。
同時に、空から降ってくる岩石であろう何か。
「!? 上に機械虫がくっついてる!」
落ちていくと思った岩石の一部が、向きを変えた。
まだ、飛ぶタイプの機械虫が近くにいたのだ。
「遠いか? でも!」
放っておくわけにもいかず、遠距離から狙撃。
どうにかエネルギーの光が当たり、撃墜できたようだった。
幸い、機械虫はほとんどいなかったようで、向きを変えたものはごく少数。
それでも、こんな近くにいたという事実は、結構衝撃的だ。
「これからは、上もしっかり見ていかないとコロニーにいる時に危ないですね」
「うん。ゆっくり近づかれて、真上からとかなったら回避できないよ」
想像するだけで、恐ろしい。
MMWに乗っていない生身の状態で、アレに襲われたらどうしようもない。
そう考えると、あいつらが機械虫を従えているというのも、必要に迫られてということだろうか。
いや、地上では裏切られた形になるのに、また利用するだろうか?
どうしても戦力が必要となれば、そうするのかな?
『答えは近いな。あっちをズームしてみろ。隠すつもりが無いのか? まだだいぶ遠いが、人工的な光が見える』
プレストンが顔を操作し、そちらを向かせる。
戸惑いながらもズームすると、そこには明らかに人工的な光が多数。
状況的に……MMWと車両の集団だ。
かなり遠く、すぐにってことはないだろう。
「コロニーに連絡。避難してきたか、攻撃のために集団が近づいていると」
さて、どういう騒動になるだろうか?




