MMW-190
「ごめんね、我慢できなかった」
「いえ、仕方ないというか、私でもそうしたと思います」
ソフィアたちのもとに戻り、無線越しだけど彼女に謝った。
勝手に行動し、心配させたのだから。
思い返せば、自分はこんなことばかりしてるなと気が付く。
言葉にあまりしないけれど、ソフィアには心配かけてばかりだろう。
「次からはちゃんと口にしてから動くよ」
「それはその、ありがたいんですけどね?」
微妙そうなソフィアの返事。
俺、何か間違ったかもしれない。
助けを求めて、リングのほうを向くけど、彼は彼で落下したスターレイのほうを向いたままだ。
「光ってますね、あれ」
「うん。自分で光ってるように見える。エルデ、ジルに見せないようにして。うっかり見ると、まぶしくて泣くよ」
俺の視界も、切り替えるとまぶしくて仕方がない。
燃える何かを見続けているより、もっとまぶしい。
視界を普通のに戻しても、まるで照明のように光っているのだから不思議だ。
「若、ひとまずコロニーに連絡し、人海戦術……車両複数とMMWも動員し、運び出すほうが良いのでは」
「それに賛成だな。もしくはここに拠点を作るかだ」
そういうリングが見るのは、資源の山。
俺が手に入れたコアのように透明度はないが、明らかに有用な資源の山だ。
透明度のない宝石、そういうものもあるんだろうと直感する。
『量を考えると、防衛用の人員と拠点を用意し、運び出すのがいいんじゃないか』
プレストンのアイデアをそのままみんなに伝え、同意を得る。
じゃあどうするかというと……悩みどころ。
誰かが残っていたほうが良いけれど、何かに襲われても困る。
俺かリング、どちらが残るか……。
「セイヤ、どこまで飛べそうですか?」
「え? 上に? やってみる」
突然のソフィアの提案。
確かに、それは気になるところだ。
スターレイが落下し、地上までつながっている穴。
俺の目的が、そこを通過したら叶うとようやく悟った。
ドーンスカイを操作し、再び斜面を駆けあがり、飛翔。
一気に速度と高度を上げ、暗闇の穴へと飛び込む。
『きれいなもんだな……』
「うん。まるで切り取ったみたい」
不定期に、威力を落としきったエネルギー版のUGを放ちながら上昇する。
照明弾代わりのそれが照らす穴は、広い。
MMWが10機ぐらいは並べられそうな幅がある。
そんな中を飛んでいると、動いているのか止まっているのかもわからなくなる。
(何か見える。あれが、空? そして、星?)
そこまで考えて、それに気が付いた。
確かに、太陽は真上から移動した。
だから光は降り注いでこない。
穴の先は、薄暗い。
あまりにも距離があると、光がしっかり届かないのだろうか?
それはわからないが、何かを感じた。
(ん? 何か聞こえたような)
悩む中、周囲に異音が響き始めた。
穴が崩れるのかと思ったが、そんな様子はない。
ふと、気配を感じて改めて上を向く。
当然、そこには空に、地上につながる穴があって……光る何かを感じた。
見えたものは、星なんかじゃない!
『降下!』
「わかってるっ!」
機体を反転させ、飛翔に使っていたブースターの向きを変えて、急降下というか落下。
見えないけれど、後ろから何かが迫ってくる。
その恐怖と戦いながら、あっさりと地下世界に逆戻りした俺は機体を横滑り。
瞬間、轟音が響き渡り、それは現れた。
「……は?」
俺は、空を、太陽を見た。
それは間違いない。
なのに、今そこから新たなスターレイが顔を出していた。
上にスターレイが残っていたということはあり得ない。
さっき、間違いなく地上まで邪魔者は無かった。
なら、どうして?
理由は1つ、スターレイが産まれたのだ。
『スターレイは自然の物とも、そうじゃない物とも言われていた……まさかこんな』
プレストンの知るたくさんの未来でもそうだった、と伝わってくる。
この短期間で、少なくとも見える範囲の大きさのものが生えてきたのだ。
長さは、短いのかもしれないけれど……。
「どうしよっか」
慌てて無線を飛ばしてくるソフィアたちには、そう答えるのが精いっぱいだった。
「見張っててもしょうがなさそうですね。セイヤ、リング、一緒に戻りましょうか」
あまりの衝撃に、一周回って冷静になった様子のソフィア。
俺もその言葉に返事を返し、証拠にと映像を記録し、岩石をいくらか回収する。
そして、急いで移動を開始した。
この地下世界と地上に隠された秘密を、知る日が来るのだろうと思いながら……。




