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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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182/205

MMW-181



 巨大な機械虫が、他の機械虫と共に奥に潜んでいた場所。

 放置していたら、どれだけ増えたかわからない生産拠点。

 

 さすがにこの短期間では、様子に変化はない。

 戦いの跡はそのままで……。


「少し、明るい? あっ……アデル」


「こちらでも見えている。透明度が戻っているか?」


 施設はそのまま、でも少し明るい。

 その原因は、スターレイだ。


 機械虫に力を吸われ、周囲の岩塊と区別がつかないほどだったソレ。

 ほんのわずかだけど、結晶の感じが戻っている。

 照明ではなく、地下世界にほんのり満ちる光を反射し始めたといったところだ。


(ウニバース粒子が動くときにわずかに発光して、それが空間に広がるって言うんだから不思議だな)


 考えてみれば、この世界は真っ暗になることがない。

 1日中、スターレイによる光を除けば、うすぼんやりと明るいのだ。


 つい先日知った、世界の秘密の1つ。

 今更ながら、その不思議さに心が奪われる。


 わずかとはいえ、輝きを取り戻したスターレイに、視線は釘付けだ。

 なぜなら、この前は感じなかった何かの力を、感じるようになっていたからだ。


「戦士セイヤ、観光ではない」


「うん、ごめん。地上が気になってさ」


 嘘でも本当でもない答えを口にし、MMWに乗り換えたアデルについていく形で中へ。

 さすがに、施設の中に車両を入れるのは難しかったからだ。


 一応、機械虫などがいないかを警戒しつつ、素早く巨人が眠っていた場所へ。

 幸い、誰も来ていないようで、ここを去ったときと全く同じだった。


「アデル、こっちのタンクは中身かな?」


「コアの内部を満たす溶液のようだな……一応持っていくとしよう」


 コロニーの代表者が眠る専用のポッド。

 話からすると、メタルムコアと同じような構成のようだし、何かに使えるかも。


 そんなことを考えつつ、まずは巨大なコアのほうを運び出す。

 電源は先日の時に抜いたし、台座から外せるのも確認済み。


 MMW2機で、ようやく運べる大きさのメタルムコア。

 もともと人間が運び込んだものなのか、機械虫が作り出したのか。

 その答えはわからないけど、使える物は使わせてもらおう。


「よし、固定は私がやろう。戦士セイヤはタンクを運んでくれるか」


「了解。一応武器は構えたまま行くよ」


 1匹も動いている機械虫は見ていない。

 けれど、アデルが警戒しているのは機械虫ではなく、人間だ。


 襲撃のタイミングを待っている可能性もゼロじゃないのだ。


『試してみるか。ウニバース粒子に、うすーく力を注いで飛ばしてみろ。揺れや声が遠くに届くような感じだ』


(ふうん? こう、かな?)


 プレストンの助言に従い、それをやってみる。

 もちろん、視界は粒子が見えるようにして、だ。


 すると、見えない場所へも、粒子の波が広がり、俺に情報を伝えてくる。

 これは便利……そう感じながらタンクを外へ。

 移動が想定されているのか、持ち手のような部分もあって結構楽だった。


 外へ出ると、アデルは周囲を警戒して武器を構えたまま見回っているところだった。


「戻ったよ。どう?」


「先ほどのは戦士セイヤだな? 連絡もなしにやられると、少し驚く」


「ごめん。こう……何かいたらわかるかなって」


 謝りつつ事情を説明すれば、アデルは許してくれた。

 お詫びも兼ねて、今度は俺が警戒を担当するとしよう。

 なぜなら……。


「アデル、もう一個ぐらい持って帰ったほうが良いよね?」


「そうだな。予備や研究材料として申し分ない」


 巨人の入っていたメタルムコア、そのそばには未稼働のコアがあったのだ。

 それからしばらく後、俺たちは都合2機のコアと、タンクを積めるだけ積むことに成功。

 できるだけ急ぎつつ、コロニーに向かうのだった。


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