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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-161



 コロニーが、騒がしい。

 普段、街中であれこれと過ごしている人々も、どこかに出かける様子だった。


 組まれた試合数が1部キャンセルされ、総数が結構少なくなった。

 そのことが気になり、確認に向かう途中の光景だ。

 あわただしい様子だけど……。


(いい感じの雰囲気……かな)


「暇をつぶしている、という方は減りましたね」


「うん。今日は俺たちに話しかけてくる人もいないし」


 自分でいうのも、最近の俺たちは人気者だ。

 稼ぐ種を見つけてくるという点で。


 そこまで考えて、ジオードの発見と調査が伝わっているのだろうと悟った。

 コロニーから1日程度の場所に、新たなに資源が見つかったのだ。

 地上のことでいえば、発電施設が増えた、増える見込みが立った、と言える。


『MMWに限らず、コアを使って動かすあれこれはいくらでもあるからな』


 プレストンの言うように、希望の穴と箱舟経由での技術、物品はコロニーを変えた。

 コランダム、ベリル、両コロニーの生活環境を大きく向上させたのだ。


 聞いた話では、あちらのコロニーも以前と比較するとかなり積極的に外に出ているという。

 発展、地下世界での人類生存という点では良いことしかない。


 問題は、そうなると先日のように襲撃に合う人が増えるかもしれないというところ。


「ジル君が大きくなるころには、地上にいられるでしょうか」


「地上のほうが、地下より過ごしやすいとは限らないのが難しいね」


 どうして人類が地下に逃げ込んだのか、その理由ははっきりしていない。

 獣たちが反乱を起こしたのかもしれないし、人類同士の争いかもしれない。

 あるいは、地上にいられなくなったからかもしれない。


 アデルとか、プレストンは地上に出たことがあるっぽい気がするんだけど……。

 こう考えてる時に何も言ってこないから、どちらもあくまで映像で見れただけかもしれないな。


(教えてくれないよね?)


『今が、俺の経験とは違うからな……』


 先入観はこれ以上ないほうが良い、そう伝わってくる。

 そのことに半分納得、半分不満を抱きつつ、試合会場近くへ。

 試合自体は行われるようだけど、どうも雰囲気が緩いというか軽いというか。


「観客が、少ないですね」


「確かに……みんなでかけてる?」


 コロニーが騒がしい理由は、みんなして外仕事をしているからなんだろうか。

 疑問を抱えつつ、試合会場にたどり着く。

 すっかり顔なじみとなった受付が、こっちを向くなり外に出てきた。


「戦士セイヤ、それにソフィア嬢。今日は午後からでは?」


「うん。午前のがなくなったっていうから、どうしてか直接確認しようかなって」


「試合自体は行われていますよね?」


 建物の中に入れば、試合会場からの歓声は聞こえてくる。

 ざわめきが減って、声自体が聞こえるようになったというべきか。


(お、1試合終わったかな?)


『MMWの倒れこんだ音まで聞こえたな』


「なるほど……今、試合を組んでいるのは、腕を上げたい方々ですね。貴方のように、外で戦えるようにと」


「そうなんだ。じゃあ、動ける人ばかりってことね」


 楽しみ、そう感じる自分がいた。

 もちろん、楽に勝てるに越したことはない。


 ただ……アデルがずっと不在なのが気になる。

 そろそろ、練習試合でもして力量差を確認したいのだけども。


「そうなります。盛り上がりを期待していますよ。あ、そうです。試合の時に伝える予定の伝言があります」


「? 誰から?」


 差し出されたメモ用紙には、アデルの名前。

 思わずソフィアと2人して覗き込むと、謎の襲撃者、機械虫へ向けてカウンターを仕掛ける誘いだった。


 どうやら、俺の知らないところで何度か襲撃は起きていた様子。

 それから、大体の方角を絞れたらしいのだ。


 不在がちの理由はこれか、と納得した俺は、誘いに乗ることにしたのだった。

 まずは、午後の試合からである。

 


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