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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-015


「お嬢様もよく知らないだろうけど、俺も詳しくはないよ。MMWのメタルムコアって、適当に中を開けちゃいけないからね」


「コアの内側には、特殊な鉱石を使用して基盤のようなものが配置されているとか。空気中のウニバース粒子を収集、圧縮して専用のコア内部で解放、それによりエネルギーを抽出、利用、でしたよね?」


 彼女も、俺が前に教えたことをしっかりと覚えているみたい。

 そういう俺も、プレストンが教えてくれたというか、注ぎ込まれたというか。

 記憶として伝わってきたが正しいんだけど。


 だから、うっかり他の人がいるところで、この会話をすると……たぶん、危ない。

 よくわからないけど使えるから使う、が一般的なレベルなのだ。


「らしいね。メタルムコア自体は、そんな大きくないよ。太った中年のお腹ぐらいの大きさ。で、そこに配管用の接続端子と、通称炉心と呼ばれるボールみたいなのを入れる場所が1つ」


「これ、中身はなんなんでしょうね。宝石の名前がついてますけど……」


 それはプレストンも教えてくれないし、読み取れない。

 けれど、大した問題じゃない。

 そう、今の俺達にはあまり意味のないことだ。


「勝てばわかるかもね。今はいいんじゃないかな。で、今回買ったのはそのコアと炉心のいい奴」


 もっとも、今よりは良いというレベルだけど。

 試算した限りではかなり違いがあるはず。


 前のような試合相手だとしたら、被弾せずに駆け抜けることができそうなぐらい。


(不思議だよなあ。これで大昔あったっていう化石燃料より効率がいいんだから)


『正確には、事実上無補給で長く使えるという部分で強いな。最大出力は別にして、気軽さではやはり、燃やすほうが早い』


 よくわからないけど、そんなもんだろうか?

 でも今は、生き残る術として使えるのが大事だ。


 MMWのコア換装はそう難しくない。

 機体を固定し、このガレージにもある機材にセット、あとはスイッチを押すだけ。

 下手に人力だと事故が起きるからと、みんなこうして半自動的に入れ替えるらしい。


「そういえば、セイヤのことを狙ってやってるのかって話題にしてる人がいましたよ」


「へぇ。作戦を見抜いたやつが何人もいたのかな。ま、直接見てた人もそこそこいたはずだしね」


 最下層ランクの戦いは、総じて地味というか、足を止めた殴り合いや、一方的に射撃で終わることが多い。

 そう教育されて、実際に半数以上はそんな感じの、いうなればつまらない戦いだ。

 たまに、俺がやったようにちょっと違う感じになるらしいが、それでも見せ場は少ない。


「実際、先日の被弾以外……そうです、あの時のダメージ以外はほぼ無傷です。セイヤ、すごいことですよ」


「修理代はないほうがいいからね」


 感心した様子のソフィアお嬢様に、ごまかすように答える俺。

 言われてみれば、少しばかり怪しいかもしれない。

 駆け出しのはずの俺が、経験者のような巧い戦い方をしているのだから。


『よっぽど大丈夫だろう。勉強して、考えたといえる範囲だ。あとは、センスがあったんだなとか言えば気にしないだろうさ』


(確かに、それもそうか)


 現に、こうしてお嬢様と一緒に日々勉強。

 それが実を結んだというのは間違いじゃない。


「セイヤにはそれだけではないものを感じ……あ、終わりましたね」


「俺が強い分にはちょうどいいでしょ? さて、どんな感じかなっと」


 コアの換装が終わり、機材の動きも止まる。

 早速コックピットに乗り込み、起動テストだ。


「オイル循環……問題なしっと。お嬢様、少し下がって。立ち上がらせる」


「わかりました。ふふっ、なんだかわくわくしますね」


 開けたままのコックピットに、そんなかわいらしい声が届く。

 そのことがなんだか嬉しくて、見えないのをいいことにきっと俺も笑顔だ。


『しばらくは、動きになれないとな』


(だね。起動時間も短縮されてるってことは、全体的に早くなってるな)


 狙い通り、出力だけでなく、全体的な動きがよくなっているのを感じる。

 一手一手が、これで少し早くなり、それは最終的に大きな違いを産むはずだ。


「勝つぞ……」


「ええ、勝ちましょう」


 独り言のつもりが、思ったより大きくなっていたようだ。

 ソフィアお嬢様のかわいらしくも気合いのこもった声に、頷くのだった。


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