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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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146/205

MMW-145


 コロニーから出てすぐの荒地。

 何もなかった岩盤のような岩場に、今は防壁が築かれている。


「ここに地下道が?」


「そのようですね……」


 将来的には、コロニーの中に出入口が含まれるような立地だ。

 そんな場所へ、ほかの参加者と一緒に向かった俺たち。

 武装は持ってこなくてよい、と言われたけれど……?


 がれきを運び出すぐらいはやりたいと、運転手としてついてきたソフィア。

 俺とリングは、MMWに乗ったままだ。


 なお、爺とエルデは赤ちゃんと一緒に留守番である。


「お、あれだあれだ。行くぞ」


 リングに言われ、何やらコンテナがいくつも積みあがってる場所へ。

 何か受付をしているようで、どんどんとMMWと車両がそこから移動していくのがわかる。


 皆がそうしているように、MMWから降りて受付へ。

 そこで名乗ったところで、相手が俺と手元を何度も見る。


「戦士セイヤ? わざわざ外作業へ?」


「MMWの慣らしも兼ねてね。いいでしょ?」


「はぁ、なるほど。ではあちらをもって潜ってください。作業自体は現場に聞いてください」


 そうおどけて言えば、相手は納得したようで、コンテナの一角を指さした。

 そこにあるのは、銃のような形状の、妙に太い筒状のものだった。


 サイズはMMWだけど、なんだろうね?

 リングに聞いても、俺も知らないと言われてしまった。


「ここでやるってことは、掘るための道具なんだけど……」


 つぶやきながらも、MMWにそれを持たせ、地下へ。

 潜っていくと、MMWの2倍ほどはある高さのある通路がもうある程度できていた。


 中央を、車両が往復しているようで、左右をMMWが歩いている。

 それだけの幅があるのを見ると、思い出す光景がある。

 一番わかりやすいのは、掘ったという割に滑らかな壁と床。


 ふと、奥のほうから断続的に何かの音が聞こえることに気が付く。


(この音……それに見た目は、あっちにあったのとほぼ同じ。技術を教えてもらったのかな?)


 その疑問は正解だったようで、行き止まりとなる通路の先に着いたときに見覚えのある人がいた。

 ベリルコロニーで少し話したことのある相手だ。


「そちらはピッケル替わりのものですね。エネルギー系の弾を放つように、力を込めてください。偏りのないよう、全体的に。砕けたものを定期的に回収し、運び出します。疲れて撃てなくなったら下がってください」


「じゃあ、撃てる限り続けててもいいってこと?」


「あなたは……ええ、時給、やれた時間分だけ報酬なので。ああ、特定の距離まで掘れたら、設置するものがあるので止めてください」


 相手も俺のことが分かったようで、明るい返事が返ってきた。

 現場に行き、構えながら先ほどの言葉を考える。

 設置するもの?……ああ、なんだっけ、換気用?


『確か、灯り兼用のだったな』


 プレストンの言うように、以前のあの通路で見た灯りが、ウニバース粒子を吸う形で周囲の空気を浄化しているらしい。

 結果として、完成した通路内はウニバース粒子があまりない場所になるのだとか。


(なんだろうな。ウニバース粒子の影響がない場所を作りたい理由が昔はあったんだろうか?)


 機械虫、獣に探知されないため、とは少し違うように思う。

 扉に、その秘密はあったのだから。

 昔のことは、もうわからないけれどそんなことが気になった。


「さ、やるか。俺は適当なところで休む。セイヤは好きにしたらいいだろう」


「ん、了解」


 すでに周りでは他のMMWも、的当てでもするかのように採掘用に打ち出している。

 鉱山でこれがあれば楽な気がするけど、素材にしたい石も砕けちゃうんだろうな。


 そんなことを思いながら、道具……ピッケル砲とかいうあだ名のそれを構え、引き金を引く。

 とたん、エネルギー系の銃を放つように力が動き、放たれる。

 見事に力の弾丸となり、人が両手を広げたぐらいの範囲に着弾、岩盤を砕いた。


「なるほどなー。これは楽しい」


「変な方向に飛ばさないでくださいね」


 後ろで待機しているソフィアに注意されつつ、ひたすらに撃ち込むことにした。

 入り口付近から聞こえていたのは、この音だったのだ。


(偏らないように……全体的に……)


 集中しながら、テンポよく撃ち込んでいくと、すぐにソフィアの運転する車両もいっぱいになったようだ。

 戻るソフィアにリングが付きそうのを見送りつつ、続けて掘り続けるのだった。



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