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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-143



 メタルムコアの二重化、その理屈はある意味単純だった。

 1つのコアが10だとして、その素材を1の状態で10個用意。

 それらを互いに共鳴しあうように配置、コアをさらにコアで覆う。


 すると、足し算だけでなく、掛け算的に力を高めあうのだという。


「つまり、制御が大変ってことだよね?」


「そうなりますね。ですが……戦士セイヤの動きなら、大丈夫かと」


 作業員の1人と話してる間にも、他の人がてきぱきとコアを組み立てている。

 透明なスターレイの部分と、金属部分とが模様のように絡み合い、コアとなるようだった。

 1か所組みあがるたびに、なぜか感じる。


 新しい、力の産声を。


(みんな、二重化ってだけで興奮してるけど、なんだろう……)


 砕けた破片の数、そして形。

 妙に、心がざわつく。


 そういえば、変なことを言っていたよね。

 昔から、必要に応じたサイズで砕けてくれる、と。


 誰の、あるいは何のために必要なんだ?


「セイヤ、大丈夫ですよ。きっと」


「うん……」


 不安が顔に出ていたのか、そばにいるソフィアが俺の手をつかみながらそんなことを言ってくる。

 彼女にそんな思いをさせて、いいはずがない。

 顔を上げて、作業風景を見て……瞬間、気が付いた。


「えっと、1つ聞いていい?」


「ええ、もちろん。何かご希望のことが?」


 笑顔の作業員に頷きつつ、作業現場を指さす。

 興奮した様子でコア作りを進める姿は、とても元気に見える。


「どうやってスターレイとそうじゃないのを決めてるの?」


「カンです。職人の」


「そっかぁ……じゃあしょうがないね」


 あっさりとした返事だったが、俺自身は……ドキドキしていた。

 半分ぐらい組みあがったコアの姿、そのスターレイの破片の配置に、見覚えがあった。


 それは、地上の大陸と海、その形。

 光の海で見た、地上であろう光景にあったそれら。

 大量というしかない水による海、そして大地たる大陸。


 スターレイとそうじゃない部分の組み合わせが、地上の模型にしか見えない。

 これは偶然か? それとも……。


『偶然ではないだろうが、なぜかは俺にもわからない』


 最近は、プレストンの未来知識も当たらないことが増えてきた。

 正確には、過去に経験していないルートを進んでいるからだという。

 それでも、たくさんの未来を経験している彼が、わからないという。


「コアを閉じる前に、力を注いでください」


「了解。じゃあやろっか」


 考えている間にも、コアがどんどん組み立てられ、いよいよ俺の出番。

 いつかのように、ウニバース粒子を意識してコアに力を注ぐのだ。


 球体である星の頂点だけがぽっかりと開き、その前に立つ。

 最初に力を注いだ時、手ごたえを感じた。

 それは驚く間にもどんどん広がり、コア全体にしみわたっていく。


「これは……すごいですね、私でも強さを感じます」


「MMWに未搭載でこれですからね。戦士セイヤ、期待していますよ」


 そう言いながら、作業員は他と協力しつつ、蓋をするようにコアの最後の破片をはめ込んだ。

 なぜか、それで外れてくることはないと感じる光景だった。


 機体、クォーツァリアは明日以降に届くということで、今日はここに保管。

 俺たちは、少々興奮しつつもガレージに帰ることに。


 リングたちとも話をし、はやる気持ちを抑えながら翌日を迎えた。


 まずは、未改造の状態のクォーツァリアに搭載するとのことで、リッポフ商会経由で機体を受け取る。

 ガレージに、機体も、コアも届くという贅沢な話だ。


 俺たちが見守る中、作業員たちにより新しいスカイブルーのコアがクォーツァリアにはまる。

 その瞬間、機体に命が宿ったかのような錯覚を覚えた。


「セイヤ、名前、付けましょう」


「名前? うん……そうだね。ドーンスカイ……夜明けの空……これでいこう」


 俺がそう口にした時、MMW……ドーンスカイの目が光った気がした。





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