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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-140


 ぶつかる、走る、そしてぶつかる。


 最初から全力のぶつかり合いは、主に近接戦闘となった。

 射撃武器と比べて、ブレードは粒子による力を調整することができるから……かな?


「いつの間にこんな練習したのさ?」


「ずっとだ。ただまあ、この距離だと被害が出る可能性が高くなるからな」


 彼の言うように、近接戦闘は結構危ない。

 こちらのブレードが当てられるということは、相手も間合いにいるということだ。

 そして、ブレードは大体が高威力。


(調整してるとはいえ、まともに当たるわけにはいかない!)


 リングの動きに驚きつつも、別の部分では納得する。

 俺のことをずっと見てきてくれたのは、彼だ。

 プレストンはもちろん、例外だよ例外。


 ともあれ、俺の考え、動きを見てきて、一緒に戦っていたのは彼なのだ。

 だからこそ、俺の動きも読めるということだ。


「癖と言えるほどじゃないが、セイヤの良い部分は、悪い部分でもある。的確過ぎるのさ。慣れた、腕のいい戦士ならこう戦うだろうという正解を選ぶ、選んでしまう」


「なるほど、そういうことか」


 何度目かの光る刃同士の衝突で周囲に光がはじける。

 とっさに間合いを取ったところで、リングに言われたそんな言葉。


 ある意味正解をいい当てていることに、俺もプレストンも驚きを隠せない。

 長くMMWで戦ってきたらしい、未来の俺であるプレストン。

 そんな記憶と技術は、いつしか俺自身と一緒になってきている。


『つまり、もう何十年も激戦を生き残ってきたような経験が体に宿っているわけだ』


 そりゃあ、とっさの動きもそうなってくるよねって言うやつだ。

 無駄弾は撃たず、適切な移動をし、いざというときの動きも躊躇しない。


 俺がMMWに乗り始めてから、戦いの連続で、事件も多い。

 経験という点では多く積んでいるのは確かだけど、今の腕には見合わないだろう。

 周囲は才能と思っていそうだけど、リングが少し違うと感じているようだった。


「戦士にふさわしいかどうか、作られた戦士たちは誰も知らずに生み出される。だから、細かいことはどうでもいい。セイヤがいて、俺もいる、それで十分だ」


 真実を知ることを選ばず、戦っている今を選択したリング。

 俺も、そんな彼の気持ちに応えるべく再度ぶつかりに行く。


 再びの衝突、今度は結果が少し違う。

 肩に装備した2丁のライフルを至近距離で発砲。


 片方は一発ずつの威力重視、もう片方は散弾だ。

 一発側で回避させ、散弾で当てる。

 その考えは成功はしたが、致命的な一撃とはならなかった。


 思わず目を見開くぐらいの動きで、片腕を犠牲に距離を取って見せるリング。

 俺に同じ動きができるだろうか?と考えてしまうほどだ。


「やるね、リング」


「まあな。うれしいぜ、セイヤ。ちゃんと遠慮せずに攻撃してくれた」


「リングのお願いだからね」


 実際にはまだ動くが、本番の威力だとダメになったと判断したのだろう。

 散弾を防いだ側の腕を切り離し、リングが構える。

 このままの距離で撃ち合っていけば、手数の差で俺が勝つ。


 でも、それではあまり意味がない。


 今度は、正面以外から突進し切りかかる。

 防がれたら別の角度から、それも防がれたら……。


 何度目かの再びの衝突……と思いきや、タイミングを外された。

 驚きの間に、リングの振るうブレードが光り、片腕が飛んだ。

 片腕、フィールドアームでないほうが人間でいう肘のあたりで切断されたのだ。


「油断したな、セイヤ。さすがに見えてくる」


「ははっ、だからってできる人はあんまりいないんじゃないかな」


 言いながら、さらに残った腕でブレードを振るう。

 それからは切って、撃ってと繰り返し、時間が過ぎる。

 10分で区切りと言いながら、この1回で終わりそうな損傷具合だ。


 そうして、お互いに削り切れないままに時間が過ぎ、合図が鳴る。

 ぴたりと動きを止め、どちらかとなく笑い出した。


「やっぱり、リングは強いね。これならランク2まで落ちることはもうないんじゃない?」


「だといいがな。セイヤも、もういつ上がってもおかしくないと思うぜ。よし、このままあいつらから買い物とするかあ!」


 もう一戦するには、お互いの機体は損傷しすぎた。

 そのことをソフィアたちにも告げ、ちょうどよくいるリッポフ商会やフェイスレスたちと、商談に移るのだった。

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