MMW-138
人間は、俺が思ってるよりしっかりしている。
そんなことを感じるのは、とある試合の最中だ。
MMWの調整を済ませ、あれこれと話し合ってから就寝。
そうして早速組まれた試合たち。
歓声は前のままに、戦士、そして飼い主たちの雰囲気が変わっていた。
少し前にも変わったといえば変わったのだけど、今回もまた大きく変化を感じたのだ。
「ずいぶんと、防御が堅いね」
「なあに、このほうが戦いやすいぜ」
『火力だけが大事とは、思わなくなったようだな。それに、生き残ってこそという気持ちもあるようだ』
リングと共に放つ射撃を、相手は回避し、あるいは盾で防ぐ。
そう、盾だ。無骨な、手持ち式の盾。
これまでは、両手に武装が当たり前だったのに、今回の試合では多くが盾を採用していた。
中には、腕に取り付けるタイプの盾を使う人もいた。
試合の合間の観戦でも、それを見ることができたのだ。
「大方、よそと戦うことがありえるって自覚したんだろうさ。んで、戦士もただ消耗するだけじゃいけないって上も気が付いた」
「そういうことかぁ……ま、いいけどね」
しっかりしてるというべきか、現金なものだなあというべきか。
試合でなかなか死ななくなったという点では、あちらのコロニーに寄ったともいえる。
いや、火力は高いままだから少し違うかな?
前にあったような、ただ撃ち合うだけの内容ではなく、攻め、防ぎあう試合展開。
つまらないと思われるかと思ったが、どうやら好評のようだった。
防げるようになった分、単純な火力では上がったんじゃないか? これ……。
「盾はさ、良いものだけど……問題もあるんだよねっと」
言いながら、その問題点をつつくべく行動開始。
これ自体は、前からリングと話し合いながら想定していた展開の1つだ。
基本的に、視界は大事である。
そのうえで、盾はどうしても視界をふさいでしまうのだ。
また、盾は安心を得る手段でもある。
つまるところ……。
「盾のあるほうは安全だって、意識が向かなくなるんだよねえ……」
敢えて2人して、それぞれの盾に向けて攻撃を集中。
動きながらのそれは、防がれるが衝撃は消えない。
角度の変わるその衝撃が、徐々に相手の姿勢を崩していく。
「光の……腕ぇ!」
ブレードを持っていない腕、そちらはフィールドアームに換装されている。
ウニバース粒子、そしてメタルムコアからのエネルギーが腕を覆い、さらに少しだけ伸びる。
人の持つ武器でいうところの、鈍器のように相手の盾にぶつかり、大きな衝撃を加えた。
予想外だろうその一撃で、相手の盾を持つ腕が大きく開き、機体の正面が現れた。
肩武装、両手、それらにターゲットし、射撃。
「当てようと思えば当てられた……うん、わかったみたいだね」
まだ動けるはずだが、無理に反撃することなく、降参の意を示してきた。
リングのほうも、相手を釘付けにしたうえで、壁際まで押し込むことに成功したようだ。
『あっちの敗因は、リングがこっちのおまけだと思ったことだろうな』
プレストンのつぶやきに頷き、リングに手を振る。
彼もまた、降参を勝ち取ったようだ。
俺の活躍ばかり目立つように見える中で、リングの実力は大きく上昇している。
守るものがあるというのは、よほどの原動力となるらしい。
暇があれば俺と模擬戦を繰り返し、昨晩も影響の出ない範囲でずっとあれこれしていた。
「俺が強いのはそうだけど、リングはそんな俺と組めてるんだからねえ」
試合会場に響く歓声やアナウンスの声をMMWの中で聞きながら、そんなことをつぶやくのだった。




