MMW-136
「戦士セイヤ、まだ試合をしたいかね?」
「そりゃ、したいに決まってるさ。じゃないとランクが上がらないんだろう?」
コロニーのすぐ近くに施設、箱舟を停止させ、外に出た俺たち。
先に話を通してくれていたリングたちと、コロニーから来た一団、ベルテクスたちと外で向かい合う。
最初にベルテクスが発した言葉が、これだった。
思わず、俺も正直に返したが、相手はなぜか笑い始めた。
「これが笑わずにいられるか、と誰もが思うだろう。外から見ただけでも、とんでもないものだ。コロニー、いや……人類の生き方が変わってもおかしくない」
「……そんなに?」
俺には、まだ実感がないところだったりする。
人口太陽のことを言ってるんだと思うけど、そんなに影響があるものなんだろうか?
『そりゃあな。スターレイの下に少しだけ木々が生えていただろう? 人口太陽を使えば、この地下に森が作れるんだ』
(森……じゃあ、地上みたいに)
俺の思考を、プレストンが肯定する。
なんとなくだけど、すごさがわかってきたような気がする。
それでも、ランクを上げないといけないのは変わらないのだ。
「そんなにだとも。だが、戦士セイヤの目的とはずれるということだ。いいだろう。恒例だが……一定以上の実力が無ければ参加は認めないという条件で、試合を組めるだけ組むことにしよう。ただまあ、まずは報告と休養だ」
言われ、俺もあの戦った相手のことを思い出した。
きっと、多少はリングたちが知らせてるだろうけど詳細はまだだろう。
勝手に箱舟に入ると何が起こるかわからないと告げ、コロニーへと戻る。
視線を多く感じたけど、不思議と不快な物はなかった。
視線を向けると、なぜか歓声が上がる。
「ふふ、セイヤが認められているんですよ。上位ランカーのように」
「そういうこったな。目ざといやつはお前が色々やってることにちゃんと気が付いてるのさ」
二人に言われ、そんなものかな?と思いつつ頬が緩むのを感じた。
俺が認められるということは、そのままソフィアの評判、評価にもつながると思ったからだ。
思わぬところで、うれしいことがあったことに喜びつつ、ベルテクスたちとの会談に向かう。
ちなみに人形たちは箱舟の中だ。
話が終わってから、どうするか決める予定である。
このまま、前に会談した場所に行くかと思ったが、試合会場の1つに向かうようだった。
少しでも早く、落ち着いた場所で話を聞きたいのだという。
いつの間にかそばに来ていたリッポフや、商会の面々の案内を受け、俺たちも部屋に。
これまでのコロニーには無かった、希望の穴からの物資だろう飲み物なんかが並んだ部屋。
「出発してからのことを、順々に教えてもらえるだろうか?」
ベルテクスの態度が、以前のような戦士相手の物ではなく、ソフィアたち……飼い主のものになっていることに気が付いた。
それは、きっと……俺がそれだけの価値を持ったということなんだろう。
「そうだね。順番にしないと、俺たちもまだしっかり把握してないからさ」
リッポフたちが設置した機材は、記録装置だという。
むしろ、そういうのが欲しかったので特に苦情を言うこともなく、俺は思い出しながら話し始める。
何もない荒野の旅路、機械獣の整備した泉の話、そして再びのスターレイからの波。
原因が、他のコロニーからと思われる集団による破壊行為だったこと。
彼らに襲われ、撃退したこと。
そうして、帰りに偶然箱舟を見つけ、起動して移動してきたこと。
話していくと、ずいぶんと濃密な話だ。
当事者の俺たちですらそう感じるんだ。
詳細を一気に聞かされたベルテクスたちは……ああ、うん。
「まさに、運命か」
「俺、運命って言葉は好きじゃないな。自分の手でつかみたい」
少しの間、呆けたような姿だったベルテクス。
俺の言葉に、彼ははっと表情を戻し、頷いた。
「うむ。それは間違いない。では……一番大きな話から決めよう。箱舟、だったね」
コロニーの実質的な責任者の顔に戻ったベルテクスとの、実りある会話が始まった。




