表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

136/205

MMW-135


「工場であり倉庫と言っていたが、どんなものが作れるか、カタログのようなものは出せるか?」


 移動中、何もせずに休息だけというのも時間がキツイ。

 そう思った俺は、話のタネにとこんなことを聞いてみた。


 表情のわからない人形、そのうちの1体は俺のほうを向いてその瞳を光らせる。


「何か映像を映せる媒体をお持ちでしょうか」


「セイヤ、これなら使えるのでは」


 普段、まさに武装なんかをカタログとして見るタブレット。

 ソフィアから差し出されたそれを、人形はそのまま受け取り……端子に指先を器用に変形させて突き刺した。


 何やらつぶやきと光の明滅があったかとすぐに光が消え、入力は完了したようだ。

 こちらに返してくれると思いきや、いきなり床から何かが出てきて、そこにタブレットを乗せた。

 なんていうか、昔の技術って無駄に器用というか、細かいな。

 

「確認を。兵器類はほぼありません。なにせ、復興目的ですので。資源そのものは少ないですが、資源を生産するための術は多いかと。データの転送と同時に、情報共有をしましたが……一番有用なのはこれでしょう」


 だんだんと流ちょうに話すようになった人形。

 こちらとの会話とかで学習してるんだろうか?


 そんな彼が選び出した項目は……。

 光り輝く、球体?


「おいおい、マジかよ。人口太陽? そんなもんがあったのか」


「太陽、あの教育で聞いた光り輝く星……だったか?」


 タブレットを覗き込んできたリングたちに、驚きが広がる。

 俺自身も、その輝きに半ば目を奪われていた。


 粒子の海で見た、きっとかつての地上の姿。

 その光景の多くにあった、天に輝く光。


(これが……太陽)


『あくまで人口、のようだが。だがこれが本物なら、色々と変わってくる。俺の記憶には、そういうものがどこかにあるとしかないから、詳細はわからないが』


 プレストンも覚えがないというソレ。

 大きさは、MMWの半分ほどだとあるけれど、一体どれほどの物だろう。


「ウニバース粒子を使用し、出力の制御が可能な当時でも最新式です。実装前に、地下に逃げ込むことになったようですが」


「なるほどね。目的地、俺たちのコロニーに着くまで色々聞かせてもらおうかな」


 そうして、コランダムコロニーがもうすぐ見えてくるというところで、リングたちに先行してもらうことに。

 考えてみれば、すぐわかることだけど……この施設、でかいのだ。

 先に知らせておかないと、緊急事態だとばかりに戦闘準備が行われる可能性が十分ある。


 俺はこれの操作に残る必要があるので、一度止めてみんなには先行してもらった。

 証拠になるだろうと、いくつかの機材は持って行ってもらうことに。

 残るのは、ソフィアと爺と俺という3人だ。


「ずいぶん大きなお土産になりますね」


「まったくだよ。最近、俺が持てないようなものばかりだ」


 悪いことではないとは思う。

 どれも、俺たちが生き残り、世界を広げるには重要なものばかり。

 怖いぐらいに、揃ってきている。


 空を見るために、しないといけないことがある。

 何かが、そう言っているかのような状態だ。


「若様、年寄りの意見としては、それは運命と呼べるものかと」


「運命、か。なんだか決まってるみたいで少し気になるから。自分たちの手で、未来は決めたい」


 モニターに映る、先行するリングたちを見ながらそんなことをつぶやく俺。

 爺がなぜか頷いたのが印象的だった。


 振り返れば、用がない時は無言の人形たち。

 立ったままの彼らと、施設を見てふと思った。


「この施設には名前はある?」


「特定の名前は付けられていませんが、複数生産されたはずで、共通した開発時の呼び方があります」


 それは?と問いかけた俺に返ってきた答えは、なぜか人形2体から同時の物だった。

 重なった声が教えてくれる呼び方、それは……。


「「箱舟、そう人類は呼んでいました」」


 不思議と、その声は妙に響いて聞こえた気がしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ