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空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


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MMW-130



(暖かい……これは、なんだ?)


 さっきまで、MMWに乗っていたはず。

 だというのに、今の俺は光の粒だらけの場所に、浮いている。


 足元は真っ白だと思ったら、よく見ると違う。

 細かい光の粒が集まり、まるで砂地のようになっているのだ。


 一歩進むごとに、砂煙が舞うように光が舞っていく。

 そんな光の粒を手でつかむと、ほんのり暖かさを感じた。


 降り注ぐ光と合わせて、暖房とは全く違う、体の芯から温まるのを感じた。


「違いがわからないけど、ウニバース粒子か?」


 周囲が全部そうだからか、全く気が付かなかった。

 口にして、すとんと納得が広がっていく。

 俺は、ウニバース粒子の砂地の上で、ウニバース粒子を浴びている。


「機体から降りたってことはないはず……となると……」


 ここは、ウニバース粒子の流れ、波の中。

 とんでもな仮説だけど、それが一番しっくりくる。


 そう考えたとき、視界に変化があった。


 まるでどこかに移動するかのように、粒子の流れが動き出す。

 その向こうに、何か見えてきた。


「あれは、星? 星だ。教育で習った、この星の姿」


 かつて、人は地上、空、そしてさらにその外である場所へと出て行ったという。

 見えているのは、そんな星の外からの姿だと感じた。


 映像は、星に近づき、どんどんと地上へと近づく。

 見えてきたのは、見たこともないようなほどの木々、草花。

 明るい大地、あるいはこれが雨というのだろう、水が降り注ぐ光景。


「人類が失ったという、大自然、環境……だよな」


 立ったままなのに、特等席で見ているような気がする感覚。

 自然と、この映像が遠い過去のものだとわかる。

 なぜなら、映像通りなら人類は逃げ込む必要がないからだ。


 その考えが届いたかのように、映像が切り替わる。

 見たこともない動くもの、たぶん動物ってやつだ。


 星全体に、そんな動物たちと、見たことのない木々、植物たちがいる。

 そして……いつしか人らしきものも。


 映像はすごくカクカクしていて、たぶん時間も飛び飛び。

 よくわからないままにどんどん変化していき、ついに見覚えのあるものが。


 そう、MMWだ。


 人類は、地上でもMMWを運用していたのか。


「MMWと車両とかの戦い……でもおかしいな」


 争う2つの陣営、その片方にはいわゆる歩兵の姿がない。

 そんな疑問も、すぐに解消した。


 歩兵のいないほうに、異形の兵器が出始めたからだ。

 機械で出来た、獣と虫。


「人類は、機械獣と虫に追いやられた? でもどうして……ああ、そっか」


 人類側にも機械獣と虫がいるのを見て、それを理解した。

 つまりは、人類は何かを間違えたかで、機械に裏切られたのだ。


 あるいは、人類がいることが何かしらの目的に問題があると判断されたか。

 例えばそう、星の環境を維持、回復するには人類は邪魔だと。


「地上、荒れてたもんな。まるで地下世界のように」


 あれだけあふれていた自然は、映像の後半では見る影もなかった。

 緑は失われ、水は汚れ、海とか言う巨大な湖は汚染されていった。

 雨は毒となり、青い青い空は……その色を濁らせた。


 それでも、まだ青い時があるのは、救いだった。


「ウニバース粒子は、ずっと昔からこの星にあったんだ。むしろ、星の外にもかな?」


 こればっかりはわからないけど、たぶん合っている。

 問題は、どうしてこんなものを俺が見ているかだ。

 何より、ずっとプレストンの声がしない。


「どうやって帰ったら……ん?」


 光の流れから、拳大の塊がいくつか出てきた。

 こちらに向かってくるそれを、俺は疑問に思わず受け取り……食べた。


 そうしたほうが良いと、思ったからだ。


「うぐっ、熱い……でもこれは!」


 事故で腕中にできた模様のような何か。

 飲み込んだ光がそれに色を注ぐかのように体中をめぐり、そしてしみ込んでいく。

 高揚感と、爽快感が同時に体を満たしていくのを感じる。


「戻ろう……また、来る」


 自然とそう口にし、振り返った俺はジャンプする。

 すると、光の砂地に飛び込むように足先から沈んでいくのを感じた。


 息苦しさは全くなく、光が視界を染め上げ……世界に色が戻った。




「セイヤ、見惚れてるのか?」


「え? あ、うん。そうだね」


 通信で届くリングの声に我に返る。

 会話の内容から、あの場所に飛んだ直後のようだった。

 だというのに、とても長い時間、向こうにいたような気がする。


『戻ってきたか。ほんのわずかだが、ここに魂がいなかったぞ』


(そっか……うん、後で話すよ)


 心配そうなプレストンに答え、俺は操縦桿を握る。

 手に感じる力は、あの場所に行く前とは、全く違う手ごたえだった。



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