MMW-126
「どうだ……?」
『成功したようだ。推定だが、味方であるという短い通信が定期的に飛んできている』
そう、先日わかったことだが、機械獣もしゃべるらしい。
正確には、命令の受諾やそういった短く、単純なものへの返事が主だが。
生身では俺以外はわからないだろうし、MMWに乗ってないといけない。
特定の周波数?とかいうやつでのやり取りだ。
そうなると、逆に俺はなんでわかるのかって気がするけど……うん。
「よし、お前は連れてきた機械獣と一緒に周囲の警戒をするんだ」
まだ命令には慣れていないため、口にすることで力に明確な意思を込める。
普段なら光のブレードになるようなウニバース粒子の動きが、命令となってMMWの手のひらから伝わる。
通信で肯定の返事を返し、機械獣が動き始める。
「ふう……いいみたい。外の様子はどう?」
「変な感じがまたした以外は特にないな。で、どうだ。人はいそうか」
リングに言われ、建物を見るけど……見える範囲にはいない。
かといって、この程度の建物で年単位で暮らせるとは思えない。
いや、1人2人ならいいだろうけど、老いて死ぬ、というのは無理だろう。
(物はあるけど、少なすぎる)
戦士として、ソフィアと一緒に駆け抜けてきて、感じること。
それは……人はただ生きるだけでは生きていけないということだ。
食事とかはもとより、何よりも刺激、未来への何かが無いと心が死ぬ。
そう考えると、この建物は何のために作られたのか。
「いないね。というか……暮らした形跡が無いよ?」
地下でもあれば別だろうけど、それこそ無理がある。
やっぱり、事前に予想したように一時的な休憩所なんだろうか?
その割に、利用された感じがないのだが……。
「じゃあ簡単ですね。あの機械獣が作って、終わったから眠ったんですよ。やっぱり、もう一機もらってきましょうよ」
「そんな器用だったのかしら、あの機械獣。ウチにもほしいわね」
「……なるほど?」
なぜか、機械獣をペットに欲しがるソフィアとエルデ。
ありえないことを言って、場を和ませようとしてるように思ったが、俺は否定しなかった。
MMWを操作し、先ほどの機械獣のもとへ。
俺が管理者だとわかるようで、動きを止めてこちらを向いた。
『言われてよく見ると、武装以外のアームというか、補助アームがかなりあるぞ。折りたたまれてるが』
「二人とも、当たり。この機械獣、たぶん工作用だよ」
考えてみれば、希望の穴だって人形はあの1体だった。
じゃあ、他の何が施設を構築、維持してた?って話だよね。
果たして希望の穴で作られた機械獣なのか、この機械獣の受けた命令を読み取れれば……。
「! そう簡単にはってことか」
機械獣からの合図的なものと同時に、気配が近づいてきた。
数は、以前見たような数より少ない。
「戦闘準備! 来るよ!」
「出番だな、任せろ!」
素早く戦闘の準備を行い、全員で武器を構え……見えた、虫だ!
「虫だ、敵!」
もしかしたら、機械虫も人類の技術なのかもしれない。
けれど今は、敵だ。
みんなと一緒に攻撃を行いつつ、ふと思う。
地下に逃げ込んだ人類がすべてか?と。
「考えるのは後か……切り込む!」
弾の節約にもなるので、合間を縫って接近戦。
いつぞやのように、意思を込めたブレードはなぜかよく効いた。
一番大きな個体を両断したところで、相手の動きが悪くなるのを感じた。
(この集団の指揮個体ってことかな?)
なぜか防御も低下しているようで、すぐに残りも片付くことに。
以前と変わらない結果からすると、こいつらも決まった命令を受けた小さな集団ってことだろうか?
機体を止めたところで、機械獣が駆け寄ってくるのを感じた。
そういえば、こいつらは攻撃を……ああ、命令が違ったね。
警戒はしろといったけど、一緒に迎撃しろとか、自由に戦えとかそういうのはしなかった。
『要調査というか、まだまだ使いこなすのは難しいな』
(まったくだよ……)
残骸の調査をしつつ、そう頭の中で反省する俺だった。




