表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空を目指して走れ~地下ロボ闘技場でトップランカーを目指す俺の記録~  作者: ユーリアル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/205

MMW-122



「あぶねえ!って、弾いた!?」


 それはとある試合での出来事。

 リングと、試合会場の驚きの声がダブって聞こえる。


 彼らの視線の先には、俺の機体。

 つい先ほど、俺がやったことが衝撃的だったのだろう。


『説明はしてあったが、実際に見るとびっくりするもんだな』


(そうだね、俺もまだ半分信じられないよ)


 フェイスレスの店から買い、交換した腕。

 ブレードのようにエネルギーの膜を展開する、フィールドアーム。


 その力で、弾丸を文字通り薙ぎ払い、弾くことに成功した。

 とはいえ、油断が招いた事態なので、あまりいいことではないと思う。

 倒したと思った相手がまだ動け、そんな相手の放った弾丸を腕ではじいたのだから。


「リング、何驚いてるのさ。いつも通りでしょ?」


「え? あ、ああ。今の俺たちには、当たり前だったな」


 試合中の通信は、試合会場にある程度伝わらせることができる。

 逆に、飼い主とかからの応援(罵声の時もあるのだが)も聞こえるわけで。


 以前は、追い詰められた時の声が聞きたいなんて暗い需要もあったらしい。

 ほとんどは、試合を盛り上げるためのやり取りに使われてるけどね。


「動きを止めたね。これが、不思議かな?」


 攻撃を止めてしまった2機のMMW。

 ちなみに、俺を不意打ちした機体は限界だったのか、動かない。


 敢えて、フィールドアームを誇示するかのように掲げ、ゆっくりと握りこぶしを作らせた。

 それはまるで、今からこれでお前を殴る、とでも言っているかのようだ。

 相手は、実際にそう感じたらしい。


 はじけるようにMMWが動き、ひたすらに実体弾を撃ち込んでくる。

 見えないけれど、操縦者の焦りが伝わってくるようだ。


「冷静さをなくしたら、終わりだぜ……」


 俺にだけ向く相手の攻撃を回避し続ける間に、リングからの攻撃が叩き込まれる。

 踊っているかのように揺れる相手に向けて接近し、機体をつかんだ。


「よっこいせっと!」


 そのまま、投げる。

 フィールドアームに交換して、考えた攻撃方法の1つが肉弾戦ともいえるものだ。


 直接MMWでつかむと、材質によってはこっちが傷んでしまう。

 けれど、フィールドでおおわれているのなら?


 大きな音を立て、地面にたたきつけられるMMW。

 一応、コックピットは固定器具があるし、普段から機体が倒れる事故は多いし、大丈夫。


 味方が投げられるという体験は初めてだったのか、もう1機は動きを止めてしまい、そこをリングに撃たれた。

 戦闘不能になるその1機を見つつ、俺は投げたMMWのコックピット付近に足を掲げ、通信。


「どうする? 無駄に壊す?」


 意味するところは、どういう負け方がいい?だ。

 相手の降参が聞こえ、ゆっくりとMMWの足を地面側におろす。

 ここで襲ってくるような相手は、このランクまで上がってこれないということだろう。


 試合終了の合図を聞きながら、試合の反省点を思い浮かべる。

 今回は、危なかった。

 戦闘不能にしたつもりだったけど、まだまだ。


『自分だったらそこであきらめるか、と考えるといいかもしれないな』


 プレストンの、確かな助言を聞きつつ、近づいてくる味方、リングのほうを見る。

 外から見るとわかるけど、リングの機体は全体的にごつくなっている。

 俺の代わりに、前に立つことも増えたからだと思う。


 全体的な火力も、そのほかの能力も上がってるし……うん、いいことだ。


「じゃあ、さっさと帰って休もうぜ」


「うん。お土産を何か買って帰ろうか。ほら、準備してくれてるしさ」


 控室としての場所に戻り、機体から降りてそんなことを言う俺。

 何かというと、ソフィアの関係者のことだ。


 あちらのコロニーに行った両親は、行方不明のままの扱いとして向こうに残った。

 戻るに戻れないというのはわからないでもない。


 で、その代わりにというわけじゃないけど、1人はこっちについてきた。

 あちらのコロニーで最初に応対してくれたグランデール家の関係者だ。


「ただいま」


「おかえりなさい、セイヤ。観戦に行けなかったのが残念です」


「仕方ないよ、そういうときもあるからね」


 出迎えをしてくれたソフィア。

 その笑顔にこちらも笑顔で答える俺。


 そんな俺に、差し出されるコップ。


「試合、お疲れ様です。こちらを」


「う、うん。ありがとう……飲みやすい……」


 自然と、飲み干したコップを差し出し、相手はそれを受け取った。

 まるで、教育でちょっとだけ見た執事って相手。


「若様には、健康でいてもらわねば」


「若様は少し……」


「いえいえ、お嬢様との関係を考えれば、若様とぜひ」


 言葉を選んで返事をするが、相手……そういえば名前も教えてくれない、はやんわりと断ってきた。


「そういえば、なんて呼べば?」


じいとお呼びください。名前を呼んでいただくなど、もったいないことです」


「……ソフィア?」


「昔からこうなんです。あきらめてください」


 助けを求めるも、無理だった。

 俺は名前を知ること、態度を改めてもらうことをあきらめ、ひとまず休息をすることにしたのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ