MMW-115
俺は戦士だ。
地下闘技場でMMWに乗って戦う、戦士。
その……はずなんだが。
「最近、試合で戦えてないねえ」
「命がけなのは変わらないんですけどね。本当、心配してますよ」
それは確かに、ソフィアの言う通りだ。
偉い人との話し合いをひとまず終え、一息ついている俺。
細かいことはまだ残っているけれど、大筋は終わったところだ。
ベリルコロニー、そしてコランダムコロニーへと順番に報告。
当然、片方だけで何か決めることができないレベルのことなわけで。
それぞれの代表、リーンベルたちとベルテクスたちが集まって会談だ。
(ベリルコロニーのことを確かめたいからと、ベルテクスが移動してきたのは意外だったね)
そんな副代表同士の会談の結果、ひとまずより詳細な調査からであろうとなった。
俺も含め、再び施設……希望の穴と呼ぶことにしたらしい場所へ。
そこでの再調査の結果、物資の持ち出しは俺以外の持ち出しには自由には許可が下りない。
ある程度は持ち出せるが、無制限とはいかず……と。
食料相当や電気、水などの生活物資の工場?は正常に再起動できた。
戦力としては、MMWの工場は無し、機械獣と小さめの機械虫の工場はいくつも、といったところ。
「こちらに引っ越しさせるかで、だいぶ悩んでましたね」
「人選もそうだし、こっちじゃMMWが作れないのが痛いよ」
物資の生産拠点としては非常に優秀。
ただ、俺か、俺と同等の権限を持つ管理者がいればだけれども。
許可を出すためには、もっとルールを決めてからのほうが良いと俺以外も考えている。
そのための会合なのだが……。
なんで代表者は来ないんだ?と思う。
どちらも副代表、という立場なのが、ついさっきまで謎だった。
理由がわかってからは、仕方ないなと思うが。
副代表であり、代表が表に出てこない理由、それは……眠っているから。
「人選といえば、どちらも代表はもう100年以上眠っているそうです」
「じゃあベルテクスとかも、声を聞いたことはないレベルかあ……」
ソフィアの言うように、コロニーの代表は眠り続けているらしい。
地下に逃げ込んだ時の、生身の人間、その直系がコロニーを立ち上げたという。
が、どうも地下世界が合わなかったようで、体調を崩しがちに。
いよいよ生存がそのままでは怪しいということで、冷凍睡眠で寝ているのだとか。
散らばった形の技術が集まり、環境を整えられるようになったら復活をということのようだ。
「俺たちは平気なのが、なんだかおかしいよね」
人形、機械としてのナンバーはあるが名前はないらしい、がそれも教えてくれた。
再生された人類、あるいはその子孫は不思議と地下世界に順応しているのだとか。
なんだか、らしい、とか聞いた話ばかりですっきりしないことだらけだ。
「私は、セイヤは同じ人間だと思っていますよ」
「ありがとう。ソフィアも、管理者だったら話が早いのにな」
「それは……遠慮しておきます」
笑いながら言えば、笑顔が返された。
俺も笑いながら、ひっどいなあと返し、笑いあう。
管理者、権限のことはあまり考えたくはない。
結局、俺が許可を出せるのはあくまで管理者の遺伝子そのものか、直系の子孫だけだということがわかったのだ。
「今のところ、コランダムコロニーもベリルコロニーも、誰が誰だかは情報がない……」
「そうですね。ではセイヤをもう1人、ともいきません。なにせ、その場合はセイヤと同じようになるわけではないからです」
かといって、コロニーの人員を1人ずつ検査するというのは現実的ではない。
じゃあどうするか?ということになっているのが、現状だ。
ひとまずは、生活物資の輸送を双方のコロニーで行うことになり、その護衛が組まれることに。
俺がこの場所、希望の穴に住む必要は、ないようだ。
「だよね。それに、ずっといなくてもいいのは気楽だよ。あの人形……のおかげだ」
俺が命令した、人類に協力するというのは有効。
ただ、偏った協力は禁止というのが自動的に設定されているようだった。
提供した物資は記録され、偏りが極力無いように調整されるらしい。
「会話できるのに、人間じゃないのは不思議です。それと、機械獣の提供……」
「それが一番の問題なんだよねえ」
ちらりと、部屋の隅にいる機械獣を見る。
またがって走ってくれそうな、そんな1匹の機械獣を。
無言でこちらを向く機械獣をなでながら、その時のことを思い出す俺だった。




