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すこしの勇気
まにあえ――!
ゆっくりと流れる時間の中
僕は必死に手を伸ばしリルに向かって飛び込んだ
迫りくる獣の爪,驚いてこちらを見ているリル,,,
届け―!
鋭い爪が彼女に到達しようとしたとき
僕の指が先に彼女にふれた
咄嗟に飛び出した僕はそのまま彼女を押し倒す形になった
よかった,まにあった――
倒れそうになる彼女が驚いたような表情をこちらに向けている,,,
あぁ,本当に綺麗な髪色だなぁ
ライトに照らされた眼の色は碧がかっている,知らなかった
あれ?リルの耳,,,そんなにも尖がっていたっけ?
…大丈夫だよ,リルもうかっこ悪いところ見せないから
その瞬間
腹部に強い衝撃を受け
振り抜かれた獣の爪によって大木に体を叩き付けられえた
「ガ八ッ!」
口の中いっぱいに鉄の味がひろがった
息ができない
「ウィル!!!!」
大木の根元に横たわったウィルに
リルが駆け寄った
「ウィル!どうして、、、!ウィル!!」
「リ,,,ル,よかった,ぶじで,,,」
あぁ,泣かないでリル
早く,逃げて,,,
「坊ちゃま!!」
消えそうな意識の中エルナさんの声が聞こえた――。