高鳴りのままに
~王国 噴水広場~
はぁはぁはぁ...
思わず飛び出してきちゃったけど
ここが,夢にまで見た物語の地
「この国にもあったんだ...勇者様の伝説が!」
「ん?ウィル様 どうされたのですか?そんなに息を切らせて」
「え?あ...ちょっと,噴水を見に行こうと思って!」
いつも出かけるときに着ていたフード付きの外套を忘れていることに気が付いた
「ふふ,ここフェンディール王国の象徴ともいえる噴水だ たまに来たくなる気持ちはわかります」
「ですが,お1人でこんな所に...叱られても知りませんよ?」
心配そうに声をかけてくれたこの人は
町にある学校の校長先生だ
お父さんの友達でお城でもたまに見かけるし...
「これはまた叱られるかなぁ」
「内緒にしといてあげますよ」
「本当に!?ありがとう,おじさ――」
「お兄さんだ」
「あ..ありがとうございます,お兄さん!」
「ふぅ,危うく口がすべって今日の事を話してしまいそうだ」
「お兄さん!今日もかっこいです!」
「まったく,親に似たんだろうな あいつもお前くらいの時は良く城を抜け出してきて一緒に森のふもとの村までいったもんだ」
「そうだったんだ,お父様が」
最初の口調はどこにいったのか
その後も昔話を聞かせてもらった
「で,何しに来たんだ?慌てていた様子だったが」
「そうだ!ここに勇者様の伝説があるって聞いて確かめたくて走ってきたんだ!」
「なるほど...あるぜ,あの噴水の下にな 星の欠片が」
本当だったんだ…!この町に,この国に!あこがれの勇者様の生きた証が!
「この王国は800年前,勇者パーティが割った星のかけらが落ちたこの地を復興させる為に作られた国だ――」
「おっと,確かこの歴史は戴冠の儀を終えてから学ぶはずだ サーヤが居るだろう」
「長い年月が経ち一般的にはそこまでの事は教えられてないからな 風化していくのさ歴史もな」
それでこれまで知らされなかったんだ...そうだ!
リルにも教えてあげなくちゃ!!
「ありがとう,おじさん!僕ちょっと友達のところへいかなくちゃ!」
「お,おい!話は最後まで...ウィルーー!」