剣の稽古
〜訓練場〜
ギンッガッズバッン
「ハァ!」
「クッ!」
本を取り上げられたショックから足取り重く訓練場に向かうと既に兵士たちの鍛錬の声が上がっていた
まずい…
こっそり覗き込むと,そこには凛と佇み兵士たちを温かくも厳しい目線で見守る蒼いヨロイを着けている黒髪の騎士…スヴェル騎士長だ。
「スヴェルさん!みなさん!おはようございます!!」
「ルゥ王子、おはようございます!」
「おはようございます!!」
「これはこれはルゥ坊ちゃん,おはようございます」
スヴェルさんがぼくを坊ちゃんって言う時は訓練が厳しくなる合図だ
「ご,ごめんなさい…ちょっとエルナさんと話し込んじゃって…」
「そうでしたか、まぁいいでしょう」
「あまり厳しい訓練をすると座学中に居眠りしてしまいサーヤ様のお叱りを受けますからな」
あはは…サーヤさんスヴェルさんにも伝えてるんだ
「それでは、今日は私がお相手させていただきます」
「え?!スヴェルさんが?!」
「はい、ルーウィル様こっそりと城を抜け出し城下町に遊びに行っておりますね?」
バレてる
でも、森に行ってることまではまだ気づかれて無い…よね?
「近頃では魔獣も増えてきているようなので、今日からはライに代わり私が」
遅れてきたこと怒ってるんだよね
「さぁ木剣を構えて下さい」
こうなったら…!
「はい!お願いします,スヴェルさん!!」
剣を構え、スヴェルさんと相対する
どうしよう…こわい。
「ルゥ坊ちゃん,そんなにも腰がひけていては戴冠の儀はおろか、ラビットにすら逃げられてしまいますよ」
「う…うわああぁ!」
恐怖に打ち勝つように声を上げ真っ直ぐにスヴェルさんに向かった
カンッカンッ
木剣のぶつかる乾いた音が鳴る
「ライとは日頃遊んでいたのですか??ルゥ坊ちゃん」
くそぉ…
「はぁああっ!」
ぼくは力一杯剣を振り下ろした
カーンっ
手に衝撃が走る
目を開けると両手には何もない
スヴェルさんによって木剣が弾かれたんだ
「一時も相手から目を背けてはいけません」
「さぁ、剣を拾って もう一度」
「は、はい!」