王国の朝
「うわああああ!」
ドサッ!
ぼくはあたりを確認する
柔らかい日差し、鳥の声、隣にあるのはふかふかのベット
…ズキズキする頭
どうやらベットから落ちてしまったみたいだ
「失礼致します!何事ですか!?」
「だ、大丈夫だよ!」
「そうですか、私はてっきり昨夜遅くまで読んでいた勇者物語の夢でも見てベットから転げ落ちたのかと心配しました」
真剣な顔つきでこちらを見ていた彼女が
少しの沈黙の後、悪戯な笑みを浮かべながら近づいてきた
「おはようございます、ルーウィル王子♪」
「あはは おはよう、エルナさん」
ぼくが生まれた時からお世話をしてくれている
エルナさんだ
「やっぱり、ほんとに好きですね~勇者物語」
ぼくの大好きな本を拾い上げながらエルナさんが続ける
「同じくらい熱心に勉学に励んでくれたらって、サーヤ様がおっしゃっていましたよ?」
「またお勉強中に居眠りしてたんだとか…」
「それは――!」
「それは?」
「うっ…エ エルナさん今日もステキな髪色ですね!」
「うふふ、ありがとうございます♪ルゥ坊ちゃんも今年で9歳、来年には戴冠の儀を控えてるんですからしっかりしていただかないと!そんな言葉では私は誤魔化されませんよ?」
優しい陽に負けないくらいふわりとした髪を耳にかけ、嬉しそうに微笑んでいた表情がパッと厳しい顔つきに変わった
「ごめんなさい」
「素直なのはルゥ様の良いところです♪勉学に剣術、魔術と励んでください!」
「訓練場でスヴェル様が今か今かとお待ちしていますよ、私は朝食を準備していますのでお稽古頑張ってくださいね」
はぁ…いつかぼくも物語の勇者様みたいに勇敢でみんなに慕われるような王様になるんだ!
そのためには、苦手なお勉強も頑張らないとなぁ。
「言い忘れてました、この本は私が責任をもって預かっておきますね♪」
「そんなぁ~!」