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救出作戦準備

拙作ですが読んで頂けると嬉しいです。

 その後、私達はすぐに行動を開始した。

 マリア先生は攫われた女性達が戻ってきたときに施す処置の準備をするため自身の診療所へと戻って行った。

 コドルさんには村人達への連絡をお願いした。

 その連絡内容は2つある。

 1つは、自分の身を守れる程度にはゴブリンと戦える者に集まってもらうこと。

 もう1つは、戦えない者は全員村の教会に集まってもらうこと。


「村人を全員を?」

「ああ、残らず全部だ。別に集める場所は教会じゃなくてもいいんだが、この村で1番大きい建物って恐らく教会だろ?」

「ええ、その通りです。ですが、どうしてですか?」

「ゴブリンの襲撃を気にしているの? 私達や戦える村人が村からいなくなったタイミングでそんな都合よく襲撃されるかしら。それとも、ゴブリン側は人間が仲間を救出しに来ることを予想して斥候に村を見張らせているというの? 手薄になった村を再度襲うために?」

 プリスは自分の考えを口にしながらそれらに懐疑的な反応をしている。

 彼女の考えた通りだとするとゴブリンはかなり頭が良いことになる。人間並とはいかなくても獣型のモンスターとは一線を画す。

 ウォリアはプリスの考えを否定した。

「あいつらもそこまで賢くはないと思うぜ。知能は人間の子供レベルだって言われているしな。村人全員に避難してもらうのは念のためだ」

「念のためが少々大袈裟じゃない?」

 私の質問にウォリアは歯切れが悪そうに答える。

「まぁその通りなんだがさ。うーん。こればかりは明確な根拠があるわけじゃないんだよな」

「勘?」

「勘ではないな。経験と実感、後は他の冒険者達から聞いた話なんかを合わせたものだ。だから根拠としてはどうしても弱い」

 私はそれを言い表す言葉を知っている。ジンクスだ。

「だが、高確率でそれは起こる。そう言った類の話さ。ゴブリンを相手にすると、なぜかこちらが想定した以上の最悪ケースが発生するんだよ」

 あいつら弱っちいから反動で運が馬鹿みたいにいいのかもな、とウォリアが吐き捨てる。


「ウォリアの言う通り、備えるに越したことはないと思います」

「分かりました。私はあなた方に全てを賭けます。人を使って手分けして対応しますが、何分村人全員となると時間が掛かりますので私はもう行きます」

 私は頷く。

「村で戦える者はそう多くありませんが、ひとまず私の家に集めます。それでいいですか?」

「ああ」

「では後ほど」

 コドルさんは足早に出ていった。


「じゃあ、私達も準備を始めましょうか。具体的な作戦も考えなくちゃいけないわ」

 メイとファイにも戻ってきてもらう必要があるな。

 そう考えているとタイミングよく2人が奥の部屋から戻ってくる。

「2人ともお疲れ様。ありがとうね」

「いえ、私は小さい子は得意なので大丈夫です」

 メイは年も見た目も1番子供に近いからね、という言葉が口から出掛かったのを必死に止める。

「私の魔法に興奮し過ぎて全然落ち着いてくれなかったのは少々困りましたが」

「メイちゃん、すごいんだよ。大興奮のハル君に魔法を掛けて一瞬でころっと眠らせちゃったんだよ」

 表現が少々過激なのはファイだからだろうか。

 直前まで大興奮の子供を眠り魔法で一瞬で眠らせる。それだけ聞くと安全性が疑わしく思えてならない。

 私の怪訝そうな顔を見たメイが慌ててフォローする。

「大丈夫ですよ。安全な魔法なので。脳にもダメージはそんなにないはずです。……多分」

 聞かなければ良かった! 脳とか、ダメージとか、具体的な単語が出てきてしまうとただの疑念が現実味を帯びて余計に心配になるじゃないか。まぁ、メイのやることなのできっと大丈夫だろう。

「それで……どうなったんですか? 何か深刻な話をされたんだと思いますが、村長さんはどちらへ?」

 相変わらずメイの察知力には眼を見張る。

「今は一刻を争うから詳しい話は全部片付いてからにしてほしい。やることは1つ。今から速攻で戦闘準備して、ゴブリン達の巣穴へ特攻かけて、攫われた人達を救出する!」

 私の『攫われた人達』という言葉に2人は反応する。

 それでも時間がないということを理解してくれたようで深くは聞いてこない。

「うん!」

「分かりました」

 私は2人からの信頼感を改めて感じて胸が熱くなった。



 時間がないので救出作戦のブリーフィングは速やかに短時間で終了させた。

 要点は3つ。


 私達と村人有志の一部がゴブリンの巣穴の探索を行い、見つけ次第救出のため突入する。

 村人有志の残りは村人を集めた教会の防衛に当たる。

 決して少人数で行動せず、常に全員で行動する。


 要点の最後3つ目は私からの提案だった。

 チームを複数に分けて手分けして探索した方が効率がいいという案も出たが、襲われた際のリスクが高いことを理由に説き伏せた。

 勿論それは事実であり、私がそれを提案した理由でもある。表向きはだが。

 本当の理由は仲間を個別に行動させて私の目の届かない場所に行かせないためである。

 これはゴブリンからの村人救出ミッションであると同時に、私達のスチル回収イベントを回避するという最重要ミッションでもあるのだ。

 それを知っている私ならば仲間達のピンチを事前に察知してうまく立ち回れるはずだ。

読んでくださりありがとうございました。

面白いと思って頂けましたら評価とブックマークをよろしくお願いします。



本話は少々短めになります。各話でページ数がバラバラな点はご容赦を。

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