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プロローグ

拙い文章と内容ですが、読んで頂けると嬉しいです。

本日の21時頃に続けて1話を投稿予定です。




 わからせおじさんーーーそれは生意気なメスガキをわからせる(意味深)ことを生業とする中年男性のことです。


 彼の名前は若良瀬太郎(40)。

 わからせおじさんに憧れ、わからせおじさんを目指し、わからせおじさんを自称する奇特な男です。つまり残念な人ですね。



 わからせおじさんの朝はとても早いです。


 日の出よりも早く目覚め、乾布摩擦から1日を始めます。

 春夏秋冬、晴れも、雨も、雪の日も毎日欠かすことはありません。

 乾布摩擦が終わればフルセットの筋トレを行い、その後ジョギングに出ます。毎日10kmをしっかりと走り込みます。

 因みに、わからせおじさんの頭部は見事にハゲ上がっています。

 迸る汗で頭部が輝いていますね。最高に気色悪いです。


 どうしてここまでストイックに体を鍛えるのでしょうか?

 わからせには健康と体力と精力が必要不可欠だからとわからせおじさんは語ります。

 一般的な社会人としては素晴らしい考えですね。目的の方向性が斜め下へぶっ飛んでいますが。



 わからせおじさんは食生活にも大変気を使っています。


 バランスの良い食事をしっかりと3食摂るとか、塩分や油分を控えるとか、そんな普通なことには気を配りません。健康も大切ですが、殊にわからせおじさんにとってはそれ以上に重要なことがあるのです。

 それは体型の維持です。

 急にモデルや俳優のようなことを言い出していますが、そこはわからせおじさんです。方向性は常人とかけ離れています。

 わからせおじさんたる者、だらしない中年男性体型を維持しなくてはならないということです。具体的にはぽっこりと突き出たお腹の維持ですね。

 そのため夜中にアルコールと油物と炭水化物を摂りまくります。

 加えて強烈な体臭を醸し出すために肉類やニラやニンニクを食べることも忘れていません。


 わからせおじさんは何よりメスガキに侮蔑される姿を目指しているのです。

 世間的には近づきたくない人第1位ですね。



 わからせおじさんは日々鍛錬に余念がありません。


 鍛錬とは勿論メスガキをわからせることです。

 精神統一の後、今日も意気揚々と自室のパソコンの前に座ります。

 わからせおじさんは膨大な数のメスガキわからせ作品を所蔵しています。

 その中からその日の気分に応じて5人以上のメスガキをわからせることを1日のノルマとしています。

 それは身の引き締まると同時に、わからせおじさんにとって1日で1番幸せな時間です。


 因みに、わからせおじさんはメスガキ一筋です。その他のわからせ物には見向きもしません。

 一途なところにはほんのちょっぴりだけ好感が持てますね。



 さて、そんなわからせおじさんには1つ悩みがあります。


 それは、現実世界で理想のメスガキに出会ったことがないということです。

 わからせおじさんは未だ現実世界ではメスガキをわからせたことがありません。

 そうです、わからせおじさんはわからせ童貞だったのです。

 この場合は3次元わからせ童貞が正しいでしょうか。

 因みに、わからせおじさんは勿論魔法使いでもありますよw。


 あるとき座禅を組んで精神統一をしていたわからせおじさんに天啓が降りてきました。


 わからせおじさんとメスガキは表裏一体。

 闇と光、魔王と勇者の如き関係。

 即ち、メスガキがいなければわからせおじさんは存在せず、わからせおじさんがいないからメスガキは存在しないのではないか、と。


 はい、意味が分かりませんね。

 ですが、わからせおじさんはそう確信しました。

 つまり、理想のメスガキに出会えないのは自分がわからせおじさん(真)ではないからだ、という結論に至ったのです。


 わからせおじさんは現在40歳です。わからせおじさんとしては最も油が乗っているベストコンディションな年齢です。そうらしいです。知りませんが。

 わからせのステージを上げ、わからせおじさん(真)になるには今しかありません。


 わからせおじさんは自らに荒行を課しました。

 それは、これまでに自身が辿った道を再確認して、出会ったメスガキわからせ作品を振り返り、そこに登場するメスガキに感謝することでした。


 わからせおじさんは最近購入したばかりの新作メスガキわからせ作品のパッケージを手に取り、それをパソコンに入れて起動させることなく、そのまま目を閉じて精神統一を始めました。


 一体何をしているのでしょうか?

 わからせおじさんは脳内でメスガキをわからせているのでした。

 メスガキと出会い、交流し、侮蔑され、そして、わからせる、という一連の流れを脳内で想像し行います。それは作品の内容をただ思い出す行為ではありません。作品に出てくるメスガキを自らの中に想像力で生み出す行為です。これはそのメスガキを完全に理解していないとできないことですし、大変な集中力を伴う行為でした。

 理解が不完全だと想像に違和感が生じ、小さな違和感でも積もり積もれば、想像で作り上げたメスガキを崩壊させてしまいます。こうなってしまえば、わからせは失敗です。

 1人でもわからせを失敗すれば、1作目からやり直します。

 これはメスガキへの大きな愛がなければできない荒行でした。


 荒行を開始したばかりの頃は1人のメスガキをわからせるのに2時間を費やしていました。

 それが、荒行を開始して1ヶ月が経過しようという頃には、1人のメスガキをわからせるのに10分も掛からなくなっていました。

 想像の中での時間の圧縮率が尋常でなく高まっている証拠です。


 やがて、荒行の終わりが見えてきた頃、わからせおじさんはラストスパートとして48時間耐久わからせ缶詰を決行しました。ここからはほとんど不眠不休での正に荒行でした。


 そして、残りのメスガキわからせ作品が片手で数えられる程になった頃、わからせおじさんは、はっとして立ち上がりました。

 頭はガンガンと痛みます。体はフラフラです。

 しかし、その目は確かに見ていました。

 それは白く光り輝く小柄な姿でした。

 決して想像ではなく、目の前に、確かに、あったのです。

 わからせおじさんは戸惑いつつもそれに向かって手を伸ばしました。


 次の瞬間、わからせおじさんの脳内に電流が走りました。

 そして、そのまま思い切り床に倒れ込んだのでした。


 異変に気が付いた同居家族が救急車を呼び、わからせおじさんは病院に緊急搬送されました。

 

 脳溢血でした。



 XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX



「看護師さん。私の体は今まで通り動くようになりますか?」

「以前にも言いましたが、それは若良瀬さん次第ですよ」

「はぐらかすということは芳しくないのですね」

「今の状況を悲観されているのなら、あの大手術からまだ2ヶ月しか経ってないんですよ。これからリハビリも始まりますし、頑張りましょう。頑張れば今より体も動くようになりますから」

「……そうですか」

「そうだ! 若良瀬さん、今日は天気が良いですから外へお散歩に行きませんか?」

「よろしくお願いします」


「どうですか? うちの病院の中庭は評判がいいんですよ」

「いいですね。子ども達も楽しそうだ」

「あっ! あの子達、安静にしていないといけないのに、もう!」

「ははは、子どもは素直で元気なのが1番ですよ」

「ふぅ。さて、この木の日陰は私のお気に入りの場所です。どうですか? 涼しくてお昼寝にはぴったりなんですよ」

「気持ちいいです。病室も清潔で快適ですが、やはり常に屋内に籠もっていると少し滅入りますから。しばらくここで風を感じたいですね」

「でしょう?」

「少し、1人にしてもらっても?」

「それは、えっと。……分かりました。あまり長く風に当たっていると体によくないですから15分後くらいに迎えにきますね」

「ありがとう」

「……いい看護師さんだ。私の心情をよく察してくれる」


「ううううううっ……」

「ぐぅぅぅうううううああああっ!」

「ううううっ! ……私はこのまま、終わるのか! 何もできず! 何も残せず!」

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁっ」


「おじさん、どうかしたの? お腹痛いの?」

「うわっ!?」

「きゃ!」

「ああ、ごめんよ。ちょっとね。驚いて大きな声を出してしまったね」

「ううん、あたしの方こそごめんなさい。急に話しかけたらびっくりするよね。ママにもよく怒られちゃうんだぁ」

「じゃあ、お互い様だね。君はしっかりとごめんなさいができて偉いね」

「えへへ」


「おじさん、もしかして泣いていたの?」

「ははは、恥ずかしいところを見られたね。私と君の秘密にしてくれるかな?」

「うん、分かった。やっぱりお腹が痛かったの?」

「ううん。痛いのはここかな」

「お胸?」

「ああ、そんなとこだよ」

「おじさんは何をしているの?」

「!?」

「どうかしたの?」

「ああ、いや。何でもないんだ。そうだね、おじさんは何をしているだろうか……」

「私はね、お散歩。おじさんは……分かった、休憩でしょ?」

「そう、かもしれないね」


「変なことをお願いしてもいいかな」

「いいよ、何?」

「おじさんに向かって『ザコ』って言ってくれないかな?」

「ザコ? ふふ、変なの。ザコって言えばいいの?」

「ああ」

「えっと、……ザコ」

「……うん。もっと言ってくれるかな」

「ザコ、ザコ」

「うん、うん」

「ザコ、ザーコ、ザコ」

「うん、……うん」

「ザーコ! ザーーコ! ザーーーッコ!」

「くうううううううっ!」

「おじさん! どうしたの!? 苦しいの?」

「ぐぐうううぅぅぅぅっ!」

「ど、どうしよう。そうだ! 看護師さんを呼んでくるね」 

「ああああ」

「ああ、私は本当に何をしているんだ。あんな普通の女の子に、何を言わせているんだ。これではあの子にも、メスガキに対しても、とんでもない侮辱行為だ!」

「ああ、ああ、そうだ! 私はあのとき、本当のメスガキに出会えたんだ!」

「どうやったんだ? くそっ、あのときの記憶が曖昧だが、私は極限まで集中していたはずだ。なら、今こそ再び、あのメスガキに相見えるために……あああああああああっ」

「あっ! がっ……くぅ」

「…………」


「若良瀬さん! 大丈夫ですか? 若良瀬さん!」

「おじさん、おじさん!」



 XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX



 哀れ、わからせおじさんは再び脳溢血を起こし、手術をするも今度は帰らぬ人となりました。


 こうして、わからせおじさんこと若良瀬太郎(40)は、その短くも歪で濃厚な生涯に幕を下ろしたのでした。


 わからせおじさんの来世にご期待ください。


 ふふ……なんてね。

読んでくださりありがとうございました。

面白いと思って頂けましたら評価とブックマークをよろしくお願いします。



プロローグの地の文はナレーションのイメージです。

CVは早○沙○さんです。嘘です。ごめんなさい。

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