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甘えん坊幼馴染と過ごすイチャイチャ大学生活  作者: 久野真一
第7章 アルバイト始めました
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第70話 閑話-俺と幼馴染もたまには喧嘩する

 カタタタタタ。夏の夜長に、キーボードを打つ音が鳴り響く。俺はといえば、引き続き、バイトのために必要な技術をつけるために、サンプルプログラムを打ち込んでいる。隣のミユで、先日、λ□(らむだきゅーぶ)社で渡された資料を読みふけっている。


 二人とも、一言もしゃべらない。こんな状況になることは珍しくない。プログラムを書くときは、基本的に集中する必要があるので、無言になることが多い。とはいえ、かれこれ1時間も作業をしているので、少し疲れが出て来た。


「ミユ、ちょっと休憩しようぜ」

「それじゃ、あと5分くらいしたら」


 俺に目を傾けることもなく、そんな返事をするミユ。集中しているミユに声をかけると、こういう状態になることもままある。


 俺は、二人分のお茶を先に準備することにする。といっても、既に冷蔵庫で冷やしてある麦茶を注ぐだけだが。


「ふいー。疲れたー」

「お疲れ。いつもより集中してたな」

「資料がちょっと難しくて、頭の中に一気に詰め込まないといけなくて」

「頭の中に一気に詰め込めるのが凄いよ、おまえは」


 資料を読み解く方法は人それぞれだろうが、俺なんかは、少しずつ読んで、わからなかった部分に線を引いたり、メモを取ったりするオーソドックスな方法だ。対するミユは、まとまった部分を一気に読み進めるのが基本だ。メモを取ると気が散ってかえって非効率というのがミユの言い分だが、ひたすら目を動かすだけで、それだけの情報を頭に仕入れられるのが凄い。


「そういえば、最近、Vim(ヴィム)の最新バージョンが出たんだよー」 

「なんか進化したのか?古臭いエディタってイメージだけど」


 途端に、ミユがムっとなる。


「古臭いって何?Vimは今も現役なんだけど」


 Vimというのは、アプリを作るために使われるエディタの一つで、一部の人に熱烈な人気がある。俺なんかは、hjklで上下左右に動かす独特の操作性と、1文字に色々なコマンドが割り当てられているのを覚えるのが苦手なので、最近人気のVSCodeを好んで使っているのだが。


「いや、だって、VSCode使った方がずっと早いだろ。便利なプラグイン多いし」


 VSCodeは、Windowsを作ってるMicrosoft社が出しているだけあって、完成度が高く、加えて、色々な機能を「プラグイン」という形で、マウスクリックでインストールできる。


「Vimだって、色々プラグインがあるよ。ほら」


 ミユが画面を見せてくる。そこには、Vimのメジャーなプラグイン一覧、というのが書かれていた。


「でも、それって設定とかめんどくさくないか?VSCodeみたいに、公式のプラグインサイトとかないしさ」


 Vimのプラグインを入れる方法は以前調べたことがあるのだが、読んだ感想はとにかくめんどくさいというものだった。


「そんなことないもん!VSCodeよりも、色々カスタマイズできるもん!」


 いよいよミユがヒートアップしてきた。


「Vimなんてもう古いって」

「VSCodeなんて、GUI環境がないと使えないじゃない?」


 負けじとミユも反論する。


「いやいや、今どきGUI環境使えないところなんて多くないだろ」

「サーバにログインするときとか、いっぱいあるよ」

「そんなのXサーバ立てればいいじゃんか」

「都合よくXサーバがあるとは限らないよ」


 俺たちは一歩も引かず、話はどんどん逸れていく。そして-


「なんか、不毛な気がしてきた」

「私も……エディタ論争って不毛だよね」


 というわけで、1時間も言い争いを続けた挙げ句、全く実りがないことに気がついた俺たちは鉾を収めたのだった。

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