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第44話 俺と幼馴染がプールに行く件について(2)

 バカップルごっこのせいで、周りから白い目で見られた俺達は、慌てて別のプールに退散。というわけで、次にやってきのが、泡がぶくぶくと湧き出ているプールだった。というか、お風呂?


 少し戸惑いつつ、浸かってみると、ほど良い湯加減で、体の芯まで温まるようだ。幸い、他の客は来ていないようで、ゆっくりとくつろげる。


「プールに温泉?って思ったが、意外といいな」


 つぶやきながら、肩を動かす。最近、暑すぎて部屋の中で過ごすことが多かったせいか、少々肩が凝っていたようだ。夜空を背景に、水着でお風呂というのも不思議な気持ちだが、悪くない。


「肩、揉んであげようか」

「いや、別にそこまでしなくても……」


 と言う間もなく、後ろから肩を揉まれる。おお、これはなかなか。


「相変わらず、上手いな。ほんと、仕事でやってけるんじゃないか?」


 前にも一度揉んでもらった事があるが、身体から力が抜けていくような感覚がある。


「さすがに無理だってば。でも、そろそろ、アルバイトとかしてみたいな」

「ミユもか」

「も?」

「いや、俺もちょっと考えててさ。考えてみれば、免許取るのも、車買うのもお金かかるだろ」


 幸い、仕送りで生活に不自由はしてないが、車に乗るなら話は別だろう。


「車は、先輩のを譲ってもらうことが多いって聞くよ」

「でも、ガソリン代とか、色々かかるだろうし。で、ミユはなんでバイト?」

「せっかく大学生になったんだから、色々挑戦してみたいなって」

「いいんじゃないか。プログラミングのバイトとかもあるらしいし」


 こいつの腕があれば、きっと簡単じゃないだろうか。


「それも考えたんだけどね。接客もいいかなって」

「接客!?」

「今、向いてないなって思ったでしょ」


 不満そうな声とともに、ぐぐっと力を入れて肩を揉まれる。


「ちょっと強すぎ。向いてない以前に、男のお客さん対応が心配なんだが」


 トラウマのきっかけになった事件は、あいつからの謝罪という形で決着はついたが、まだ部員以外で普通に話せる仲になった同期はいないはずだ。


「たぶんだけど、大丈夫」

「ほんとか?」

「最近は、男の子が近くに居ても、平気になってきたし」

「言われてみると、そうだな」


 確かに、以前みたいな過剰反応をする事は無くなっていた。しかし、


「でも、やっぱり心配だな」

「じゃあ、一緒の所でバイトしよ。それなら安心でしょ?」


 名案を思いついたとばかりに、ミユが提案してくる。


「それなら、まあ」

「じゃあ、決定ね。今度、バイト募集してるところ探そ!」

「はいはい」

 

 というわけで、一緒にバイトをする事が決定してしまったのだが、果たして男女2人で応募して雇ってくれるところがあるのかどうか。まあ、ずっと心配しても仕方ないし、近くで見守るしかないか。


「でも、心配してくれて、ありがとうね」


 いつの間にか隣にミユが来ていた。からかうのではなくて、至って真剣な表情で、お礼を言われる。


「それくらいはな。彼氏として当然の務めっつーか」

「彼氏じゃなかったら、心配してくれなかった?」

「いや、そういうわけじゃないけど」

「ちょっと言ってみたかっただけ。わかってるよ」


 そう言ったきり、しばらくの間、俺達の間に沈黙が流れる。たまにある、こんな沈黙は不思議と苦痛じゃない。なんて思っていたら、


「都ちゃんたち、どうしてるかな」

「ライン使えればいいんだけどな。きっと大丈夫だろ」

「せっかくだし、様子見に行かない?」

「うーん。まあいいか。俺も気になるし」

「よーし。じゃあ、探しに行こう」


 こうして、なんだか、急にノリノリになったミユとともに、2人の様子を見に行くことになったのだった。

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