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第38話 幼馴染と水着を選びに行く件について

「来週末は海に行こう!」


 例によって、部室で(しゅん)さんが吠えた。


「さすがに、また自転車でというのはちょっと……」

「私も、遠慮しておきます」


 大洗(おおあらい)への自転車旅行はそれはそれで楽しかった。

 しかし、さすがに一夏に二度は勘弁だ。


「いやいや、ちょっと待て。今回は普通に海で泳ごうって提案だ」


 慌てて、俊さんが付け足す。


「それなら、日時によっては。場所はどこなんですか?」

「大洗だ」

「……」

「……」


 先日、花火大会に出掛けたばかりの俺たちは少し渋い顔になる。


「俺たち先週大洗行ったばっかりなんですが」

「別の場所ならいいんですけど……」

「うーむ。それは困ったな」


 額に指を当てて、思案顔になる俊さん。


「プールじゃ駄目なんですか?都内だと色々あると思いますけど」


 とはミユの弁。俺も、賛成だ。


「うーむ。海を楽しみたいんだが、それもありか」

「俺も海で泳ぐのにこだわりないですし。そっちの方が賛成です」


 というわけで、俺達三人は都内にある屋内プールに遊びに行くことになった。


 その夜。


【俊先輩から、聞きましたよ。プールに行くんですよね!】


 とのメッセージ。差出人は(みやこ)だ。


【そうだが、ひょっとして来る気か?】

【もちろんです!俊先輩ともっと仲を深めたいですし】

【そうか。まあ、頑張ってくれ】

【ちょっと水着探しに付き合ってくれませんか?】

【そういうのは、ミユに頼めよ、ミユに】

【じゃあ、二人一緒で構わないので、お願いします】

【じゃあ、とりあえず聞いてみるわ】


「ということらしい」


 相変わらず、俺の膝枕でごろんとしているミユに言う。


「都ちゃん、頑張るねー」

「あいつがここまで積極的にアタックするとはなあ」

「都ちゃんにも春が来たって事だよ」


 他人事のようにそんなことを話し合う。


「しっかし。俊さんが都と付き合い始めたらどうなるんだろうな」

「どうって?」

「俊さんが都とイチャイチャしてる姿って想像できるか?」

「リュウ君、それは失礼だよー。いくら俊先輩だって……」

「おまえも十分失礼だろ」


 しかし、やはり想像しづらい。マイペースが服を着て歩いているような人だし。


「で、どうする。行くか?」

「せっかくだしね。行くよー」

「俺もうまく行って欲しいしな。わかったよ」


 というわけで、都に返信する。


【ミユはOKだってさ】

【ありがとうございます!これは気合入れないとですね】

【言っとくが、俊さんの水着の好みとかわからんからな】

【そこは男性目線でお願いします】


 男性目線、か。都なら、少し露出が控えめなのが似合うだろうか。そんな事を考えていると、ミユが俺のことをじーっと見つめているのに気がつく。


「どした?」

「リュウ君はどんな水着が好きなのかなーって」

「ミユは……そうだな。スポーティな感じのがいいんじゃないか?」

「私は、ちょっと露出高めのがいいかなって思ってるんだけど」


 ちらちらと視線を送ってくるミユ。


「露出高めって?」

「ビキニタイプのとか。リュウ君を悩殺したいんだけどなー」

「これ以上悩殺せんでいい。これ以上」


 悩殺ビキニを着たミユを想像して、首を振る。

 プールで下半身が反応してしまいそうなのは勘弁だ。


「とにかく。せっかくだし、リュウ君に選んで欲しいなー」


 駄々をこねだすミユ。


「いや、しかしだな……」

「彼女に好きな水着着せるチャンスだよ?」

「わかった。ちゃんと選ぶから」


 こういう風におねだりされるとどうにも弱い。


「約束だよ?」

「ああ、約束な」


 こうして、親友の都とミユの水着を選ぶことが決まってしまったのだった。

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