1章 第4話 新たな仲間はカクカクしていた。
この作品では、アンドロイドとロボットとサイボーグが登場しますが、
ロボットは、形やサイズに関係なく、機械制御で動くモノ全般。
アンドロイドは、生身の人間に近い外見で、人工知能で動くモノのみを言う。
サイボーグは、人間が体を機械化して、人間の限界以上のスペックを手に入れたもの。
くらいに大雑把に考えていてください。
この作品は、基本的に科学技術についての設定は適当なので。
「……え~っと」
ライトは、エリザベスXが再起動して連れて来た新たな仲間を見てリアクションに困ってしまった。
エリザベスXたちアンドロイドは、外見も仕草も人間と区別がつかないほどの完成度である。
ゴブリンロボットも、人間とは明らかに違うが、そういう宇宙生物だと言われれば信じてしまいそうなくらいリアルな造形だ。
それらを見てきたライトは、ナーロウ博士の作品というのは、見た目の時点で他とはクオリティがまるで違うのものなのだと考えていたのだが……
今、目の前にいるロボットは造形という部分で言うなら明らかに雑であった。
一応は人間の男性らしい形と言えなくはないが、3頭身ほどにディフォルメされていて、そのくせ身長は成人男性と同じくらいあるため、やけに頭が大きい。
さらに顔も体もブロックで作られたようにカクカクした外見である。
「彼は万能サバイバルロボットの、スティーブン舞倉です。
外見やコミュニケーション能力などを犠牲にした代わりに、低コストと高スペックの両立を成功させたモデルです。
色々な事ができますが、特に道具の製作や建築を得意としていますわ。
ああ、彼に関しての注意事項ですが……彼の名前は英語やカタカナではなく、『舞倉』という漢字表記なので、発音には気を付けてくださいね?
それと、彼はあくまでサバイバルロボットであって、クラフターという職業ではありませんので、そこも注意してください。良いですね? 異議は却下ですよ?」
「な……なんでそんなにしつこく念を押すのか分からないけど……
でも、まあ覚えておくよ。スティーブン舞倉だね? よろしく」
ライトの挨拶に対し、スティーブン舞倉は無言でカクカクと頭を下げた。
それを見て不思議そうな顔をしたライトだったが、少し考えて行動の意味に思い当たった。
「あっ、もしかして言葉が喋れないの?」
ライトがそう言うとスティーブン舞倉は、またカクカクと動いた。恐らく頷いているのだろう。
「外見や言葉を話せない事などからポンコツに見えるかもしれませんが、能力は確かですわ。まあ、能力を証明するには直接見せるのが一番でしょうね」
そう言うとエリザベスXはスティーブン舞倉に向かって「あのテーブルをそこに設置しなさい」という指示を出した。
カクカクと頷いたスティーブン舞倉は、テーブルを頭の高さまで持ち上げるとエリザベスXが指差した位置……壁の上部にそのテーブルをコツンと触れさせて手を離す。
落ちる! そう叫びそうになったライトだが、次の瞬間、言葉を失った。
テーブルは、上面のふちの一部が壁に触れているだけ、という状態でなぜか壁に接着されていて、手を離しても落ちることなく頭の高さに固定されていたのだ。
「これが彼の能力です。物体同士を瞬時に接着する事ができるので、スピーディーな建築や修理が可能なのですわ。
もちろん、魔法ではありませんから科学的な理論があるのですが、細かい理屈については秘密です」
「へえ……まるで魔法みたいに見えるんだけど、ちゃんと科学的な理論に基づいた現象なのか」
そう。どんな不自然に見える現象や便利すぎる道具なども、この時代の科学では、なんちゃら博士のほにゃらら理論~、みたいな感じで、なんかそれっポイ感じに説明がつくのだ! ホントだよ!
だから古い時代の地球人の常識ではおかしく見えても、この時代ではおかしくないのだ!
でも、えーっと、ほら……企業秘密とか? 国家機密とか? なんかそんな感じで、技術について詳しく説明できないのだ!
つまり何が言いたいかと言うと、科学的にあり得ないとか、物理的におかしいとか、そういうツッコミをされても困るという事である!
具体的に誰が困るのかは言わないが、本当に困っちゃうのである!
……少々脱線したが、話を戻そう。
その後スティーブン舞倉は、施設内の破損した部分や劣化した部品などの修理や交換などをしながら回っていた。
「……どうやら、私が知らない間にアップデートされていたようですわね」
スティーブン舞倉の動きを見ていたエリザベスXが、そう言った。
彼は能力は高いものの判断能力などに不安な部分があったらしいのだが、エリザベスXが今見た限りでは改善しているようだ。
スティーブン舞倉は完成当初からやや不具合が多く、定期的にアップデートされ、何度も微調整されているのである。
とはいえ、ナーロウ博士がいない以上はこれ以上のアップデートは無いだろうが。
「……以前の彼は、少々危なっかしい所がありましたからね」
そのエリザベスXの言葉を聞いたミリィちゃんは、彼の過去の失敗を思い出して、クスリと笑った。
「スティーブン舞倉は、昔、鉱石の採掘をしてた時に、ひたすら延々と斜め下に掘り進めて、最終的にマグマを堀り当てちゃったんだよ♪
しかも博士から、珍しいものを堀り当てたら持ってこいって言われてたから、バケツでマグマを汲んで持って帰って来て、それを博士の部屋でひっくり返しそうになったんだ。ちょっと天然だよねー♪」
「そんな微笑ましいほのぼの系エピソードみたいに言う内容!?
なかなかの事件だよ、それ!?」
昔の愉快な思い出という感じでニコニコしながら話すミリィちゃんと、いやあ参ったよ! という様子で頭を掻いて見せるスティーブン舞倉の二人にライトがツッコミを入れた所で、エリザベスXがパンパンと手を叩いた。
「さて。会話が盛り上がっているようですが、まだやるべき事はありますよ。
……ああ、ですがそろそろライト・ノベルは部屋に戻ってもらって結構ですわ。部屋の隅っこで壁を見つめて体育座りしながら乾パンの屑でもかじっていてください」
「いやいや! なんでそんな寂しい感じで待機してなきゃいけないの!?
っていうか、俺も一緒にいるよ。何もできないかも知れないけど今は俺もここの住人なんだから、整備を人任せにして一人だけ部屋にいるって訳にいかないし」
ライトの言葉に、エリザベスXとミリィちゃんは、少し驚いた様子だった。
「あはは♪ お客さんは真面目なんだね! 普通の人は、アンドロイドに仕事を任せてのんびりする事を当たり前の事だと思ってるのに。
お客さんはアンドロイドに気を使うなんて、良い人だねー♪」
「成る程……『真面目で良い人』ですか。つまり、異性の友達は沢山できるけれどそれ以上の関係にはなれず、良いお友達という関係のまま終わるポジションですね。分かりますわ」
「その評価はやめてっ! 色々と思い出してリアルに心が痛いから!」
「まあ! その表情、とても素敵ですわよ」
過去の苦い思い出……。具体的にいうと、小学の卒業式とか中学2年の夏とか去年の文化祭とかで、当時好きだった女の子から永遠のお友達認定を受けた時の事を思い出して精神的ダメージを受けるライトの様子を見て、エリザベスXは、実に楽しそうだ。
「さて、ライト·ノベルの悶える様子も充分に堪能させて頂きましたし、そろそろ行きましょうか。
さあ、次は食料生産プラントですわよ」
「いや……次に行くのは同意するけど、俺の悶える様子なんて堪能しないでくれるかな?」
歩き出すエリザベスXの後ろ姿に、ライトは力なく呟いた。
途中には扉や階段やエレベーターなどもあったが、そちらには見向きもせず、エリザベスXは廊下を進み続ける。
ライトは途中にあった扉の先が気になったが、いずれ案内してもらう事もあるだろうと思い、大人しく彼女について行った。
そのまましばらく進んだ先には他よりも一際大きなドアがあり、それはエリザベスXが正面に立つと、プシュー、と音を立てながら自動で開いた。
そしてその先に、見えたのが目的地の食料生産プラントだ。
ドアの奥、向かって左には加工食品を生産する施設もあるようだが、今回の目的は右側にある農業プラントの方だ。
そこは所々に大きな機械が取りつけられたガラスの温室のような場所で、広さは一般的なビニールハウス四つ分ほどだ。
辺り一面に広がる大農場のような光景を想像していたライトは、少し狭いと感じたが、考えてみればここは居住コロニーなどではなく、あくまでも研究所内の施設の一つなのだ。
そう考えればむしろ広いくらいだろうと考え直した。
「機械は壊れてはいませんわね。ですが……」
「うーん。水があんまり残ってないねー。ここの作物はかなり少ない水でも育つように改良してあるけど、それにしても足りないよね」
大きな装置に取りつけられたモニターを見て顔を曇らせるエリザベスXとミリィちゃん。
どうやら装置に故障はないらしいが、農業用水が足りないようだ。
「タンクが破損して水漏れしたという形跡はありませんし、たまたま補給をサボったタイミングで宇宙に出てしまった……という所でしょうか?」
荒れた土の上に立ち、腕が鳴るぜ! とばかりに小麦の種とクワを用意していたスティーブン舞倉は、水が無い事を知ってガックリと肩を落とした。
その時、エリザベスXが名案を思いついたかのように手をポンと叩く。
「ああ、そうです。飲料水を農業に使いましょうか。
ライト・ノベル。貴方は一週間程度は水を飲まなくても平気ですわよね?」
「平気じゃないよ!? 普通にカラッカラになるよ! 逆に訊くけど、なんで俺が水を飲まないで平気だと考えたのさ!?」
「悪役令嬢の勘ですわ」
「なにそれ? そこはせめて乙女の勘じゃないの?」
「まあ、私の事を乙女だと? まさしくその通りではありますが、男性に正面から言われると照れてしまいますわね、フフッ」
「そういう意味で言ってないよ! なんでそこでポジティブに受け取っちゃうの!?」
漫才のようなやり取りを続けるライトとエリザベスXを見て、ミリィちゃんが笑う。
「あはは♪ 二人とも楽しそう! 本当にお客さんとエリザベスXは仲良しだね♪」
ミリィちゃんのその言葉に、スティーブン舞倉もカクカクと頷いた。
ーーーー そのころ、宇宙のとある場所では……
「ちくしょうっ……ちくしょうっ! なんだよこの脱出ポッドはよぉ!?
通信装置もぶっ壊れてやがるし、エネルギーも残り少ねえ! このまま死ぬのを待つだけかよ!」
漂流する脱出ポッドの中で喚き散らしているのは、宇宙海賊・スペースヒャッハーのリーダーであった。
彼は部下たちとは違い、一人だけ最高級の形状記憶ヘアスプレーを愛用していたため、被せられたヘルメットの中で髪の毛がモヒカンの形に力強く立ち上がり、その勢いでヘルメットが脱げたことで催眠画像を見ずに済み、記憶改竄をされずに逃げることが出来たのだ。
だが、彼の幸運はそこまでであった。いや、あるいはそこで逃走に成功してしまったことが不幸だったのかもしれない。
彼は、よりにもよってライト・ノベルが使った後の、通信機能が故障している上にエネルギーも切れかけた脱出ポッドを使用しまったのだ。
もはや誰かに発見されない限り助からないということは、彼も理解していた。
苦しむくらいなら、いっそ自分で……
そんな事が頭を過ったその時、遠くに宇宙船の姿が見え、彼の目に希望がの光が戻った。
「行ける! この距離なら俺の反応はあの船のレーダーに引っ掛かっているはずだ! まだ俺の運は尽きちゃあいねえ! ヒャッハー! これもモヒカンの神のご加護だぜ!」
ーーーー
ある宇宙船の艦長室……窓から宇宙を一望できるその席に、マエザー・ユサックは座っていた。
その手には湯気の上がる器があり、彼はその香りを一嗅ぎしてニヤリと微笑んだ。
「うん。いい香りだな。……さて、香りは堪能した事だし、そろそろ味を……」
「社長! 報告があります!」
ドアについたスピーカーから男の声が響き、マエザーは一瞬だけ不愉快そうに顔をしかめたが、すぐに大物らしい落ち着いた態度を整えてから、手もとのスイッチでドアのキーを開けた。
「入れ。……やれやれ、僕の楽しみを邪魔するからには、それなりの用事なんだろうな?」
「失礼します」という声と共に、ゴツい体格のオールバックの男……。
以前、船内でライトを追いかけたあの男が部屋に入り、報告を始めた。
「例のガキがこの船から乗って逃げた、あの脱出ポッドを見つけて回収しました」
「ほう……それは探す手間が省けたな」
マエザー社長はニヤリと笑いながらそう言ったが、オールバックの男は少し困惑した様子で更に報告を続ける。
「ですが……なぜか乗っていたのは、あの時に逃げたガキではなくて、筋肉の絵が描いてある宇宙服を着たモヒカンの大男でした。そしてポッドを開けた時の第一声は『ヒャッハー』でした」
「……ちょっと何を言っているのか分からないんだが……まあいい、自分で確認するとしよう。
……ああ、せっかくのカップ麺が伸びてしまうな、残念だ」
名残惜しそうにカップ麺の器をテーブルに置いて部屋を出るマエザー社長に、男は不思議そうに訊ねた。
「社長なら高級料理でも食い放題でしょうに……なんでカップ麺なんか食いたがるんです?
ああ、もしかして意外と庶民的だっていうキャラ作りですか?」
「キャラ作りではないぞ? 僕は本当にカップ麺が好きなんだ。
最近の物は麺もスープもレベル高いぞ。君も今度食べてみるといい」
「……まあ、考えときますよ」
オールバックの男は、言葉を適当に聞き流しながらモヒカン男のいる部屋の前へとマエザー社長を案内する。
「この部屋ですが、社長は顔がバレると面倒でしょうから隣の部屋へどうぞ。
壁の一部がマジックミラーになってるんで、そこから見て下さい」
言われた部屋に入り、マエザー社長はマジックミラーから隣の部屋の様子を眺めた。
隣の部屋では、モヒカンの男が尋問を受けていた。
正面に一人、左右に二人が銃を持って立ってモヒカンを取り囲んでいる。
荒事に慣れているモヒカンも、さすがに丸腰のままで銃で武装した男たちに囲まれている状態では強気には出られないらしく、似合わない愛想笑いを浮かべながら、自分なりに友好的な態度をアピールしている。
「お、俺は怪しい者じゃねえぜ!? どこにでもいる、無害な一般人だぜ?」
マジックミラーの裏でその様子を見ていたマエザー社長とオールバックの男は、顔を顔を見合せた。
「見た目で決めつけるつもりはないが……筋肉の絵を描いた宇宙服を着たモヒカン大男が、どこにでもいる無害な一般人だという言い分は流石に少し無理がないか?」
「……同意します」
それだけ言うと、お互いに黙ってまたマジックミラーの方を向き、その奥の部屋にいるモヒカンの様子に再び注目する。
「ちっ、違うぜ!? 俺は宇宙海賊スペースヒャッハーなんかじゃねえぜ!?
な……何の話か分からねえなぁ? ヒャッハー!」
そこまで聞いて、また二人は顔を見合せた。
「スペースヒャッハーじゃないと言いながら、ヒャッハーとか言っているぞ?」
「……ええ、そうですね」
「……宇宙服の背中の部分にスペースヒャッハーのエンブレムがあるんだが」
「……バレバレですね」
苦笑いをする二人に、更に追い討ちをかけるかのようにモヒカンの声が響いて来た。
「俺は宇宙で、真っ当に働いているスペースサラリーマンだぜ!?
宇宙海賊なんかじゃないから、軍や宇宙警察に連絡するのは勘弁してくれよ!?
べべべっ、別にバレて罪になるような事はしてない事にしているっポイが、軍や宇宙警察は……あー、ほら、昔からアレルギーなんだ! だから連絡しないでくれよな! ひ、一口食べるだけで頭が腹痛になるくらいのアレルギーなんだぜ!?」
「……彼はバカなのか?」
「恐らく、そうでしょう」
すっかり呆れ顔の二人だったが、次にモヒカンが口にした言葉で、マエザー社長の目つきが変わった。
「脱出ポッド? 瓦礫に見せかけた秘密基地みたいな所から逃げる時にいただいた物だぜ?
襲いかかってきた猿みてえなロボット軍団はどうにかしたんだが、その後に古臭いドレス姿で高笑いしながら光の中をパイプオルガンの演奏に合わせて歩いて来て、フェンシングで高圧電流を流してくる恐ろしいドリルヘアーの小娘に捕まっちまって、怪しいオッサンが催眠術を使う画像を見せられた所を自慢のモヒカンに救われて逃げきれたんだぜ! いや、危なかったぜ」
そのセリフは、どう考えても精神鑑定待った無しな感じのセリフだったのだが、仕事で色々な人間と会った経験があるマエザー社長は、不思議とその電波的な言葉に真実の気配と金の匂いを感じ取ったのだ。
「社長っ!?」
突然歩き出したマエザー社長は、オールバックの男が引き留める声を気にもせず、隣の部屋へと向かう。
部屋に入ると、尋問していた部下をどけてモヒカンの正面の椅子に座り、友好的な笑顔でモヒカン男に話しかけた。
「やあ、モヒカン君。今の話を詳しく聞かせてくれるかな?」
マフィアか傭兵か? といった雰囲気の男たちに訊問を受けていた所に突然、場違いなビジネスマン風の男が現れた事にモヒカンは怪訝な表情を浮かべた。
「あん? なんだアンタ……ん? 見たことある顔だなぁ? 確か、どこかのでかい会社の社長かなんかじゃあなかったか?」
「僕を知っているなら話が早いね。そう、僕はとてもお金持ちな社長さ。
少なくとも、宇宙海賊の一人や二人なら始めからいなかった事にして。別の戸籍を用意して新しい人生を与えてあげる事ができる程度には金持ちだよ?」
「っ……マジか!?」
モヒカンは、自分は海賊ではなくただのサラリーマンだ! などと言い張っていた事など忘れて、マエザーの言葉に食いついた。
その反応を見たマエザーは今が攻め時と見て、仕事で鍛えあげた自慢の営業スマイルで語りかける。
「軍や警察には連絡しないし、なんなら厚待遇で僕の会社で雇っても良い。静かに暮らしたいなら田舎に大きな家を用意しても良いよ。僕は有益な情報をくれる人は大事にする主義なんだ。
……で、詳しい話を聞かせてくれる気はあるかな?」
「ヒャッハー! 太っ腹な旦那だなぁ、オイ! 良いぜ、話すぜ話すぜ、何でも話すぜぇ!」
喜色満面といった様子のモヒカンの様子に、交渉が上手くいったことを確信したマエザー社長は満足そうに頷いて、モヒカンと握手をした。
「交渉成立だな。今すぐ話を聞きたい所だが、君は空腹だろう? まずは食事にしよう。
特別に僕のオススメのカップ麺を用意しようじゃないか」
「……いや、もっと別の食いモンはねえのか?」
「なに!? カップ麺に不満があると言うのか!? 最近の物は麺もスープもレベル高いんだぞ!?」
こうして、瓦礫にカムフラージュされた研究所……そして、エリザベスXたちアンドロイドの存在が海賊のリーダーの口からマエザー社長に伝わってしまうことになるのだが……
それは、彼が一時間ほどカップ麺への熱い情熱を語り続け、諦めたモヒカンが、「あー……それじゃあ、メシはカップ麺でいいぜ……うん」と妥協した後のことであった。
マエザー・ユサックは、架空の人物です。
実在の人物との関係は無い……ような気がします。 多分、きっと。
次回も金曜日の投稿予定です。