表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢型アンドロイド・エリザベスX ~ ティータイムは宇宙要塞で ~  作者: 鷹山 涼
5章 進撃の社長 ~ アタック・オブ・マエザー ~
50/55

5章 第11話 マエザー、最後の一手

予定日よりもかなり遅れちゃいました、ごめんなさい。

 「せいっ! やっ! はっ!」


 クッコローネRが目にも止まらぬ速さで剣を連続で振ると、1人の男の装備していたパワードスーツが切り刻まれた。

 あくまでもパワードスーツだけを斬ったため男は無傷だが、パワードスーツ無しではもはやクッコローネRと戦う手段は無いだろう。


 「くそッ!」


 だが、それでも男もせめて一矢報いようと銃を発射する。

 プロの傭兵だけあって銃の扱いも手慣れているらしく、照準を合わせて引き金を引くまでの動作はスムーズだったが、それでも彼女にはかすりもしない。

 気がつけば、すでにクッコローネRは男の後ろに回り込んでいた。


 「……眠れ」

 「うっ……!」


 クッコローネRがパワードスーツが破壊されて露出した男の生身の首筋に、軽く手刀を叩き込む。

 大した力は込められていないように見えたが、それを食らった男は気を失い、ひざから崩れるように倒れこんだ。

 

 理屈はよく分からないが、達人が首筋をトンッて感じで叩くと、相手は呆気なく気絶すると古来から決まっているのだ。

 色んなバトル漫画とかでやっているから、きっとそういうモノなのである。



 「ぐぬっ……1人ずつでは勝ち目がない! 一斉にやるぞ!」

 「ああ!」

 「了解だ!」


 残りの3人の傭兵達は統率の取れた動きで駆け出した。


 「うおおおっ!」


 先頭の男が、あえて武器を持たずに突進する。

 捨て身でクッコローネRの動きを一瞬でも止めて、他の2人が攻撃を仕掛けるフォーメーションだ。


 先頭の男は何とかしてクッコローネRを捕まえようと両腕を伸ばした。

 だが、彼女はそれを潜り抜け、男の頭を踏んで高く跳躍した。


 「俺を踏み台にしたっ!?」


 動揺しつつも体勢を立て直そうとする男達だが、時すでに遅く、クッコローネRはもう攻撃を繰り出す直前であった。


 「はあぁぁぁぁぁーっ!」


 気合いの声と共に、彼女は空中で剣を何度も振るう。

 目にも止まらぬスピードで空間に無数の線が走ったかと思うと、次の瞬間、男達のパワードスーツはパラパラになって剥がれ落ちる。


 「これで終わりにしようか」


 クッコローネRは手のひらを手刀の形に構え、続けざまにそれを男達の首筋に向けて降り下ろす。

 パワードスーツのサポートを失った男達は、もうクッコローネRの動きに反応することすらできなかった。


 「ひでぶっ!」

 「あべしっ!」

 「たわばっ!」


 傭兵たちは廊下に倒れ、そのまま気を失った。




 「チッ……分かっちゃいたが、やはり強いな」

 

 少し離れた位置から戦いを見ていたオールバックの男、オール・バックマンが面倒そうに舌打ちした。



 「これでもう戦えるのは貴公だけだ。大人しく降伏する気は……」


 クッコローネRが降伏を勧めるが、その言葉が終わる前にパンッという乾いた破裂音が響き彼女の顔面を銃弾が襲う。

 だが彼女は瞬時に反応してその銃弾を手のひらで受け止めた。


 「む……話している最中に攻撃とは感心できないな」


 クッコローネRは、不機嫌そうな声でそう言いながらオールを軽く睨み付ける。


 「そいつは悪かったな、なにぶんこっちは傭兵なんで戦い方が下品なのは勘弁してくれや。……とはいえやっぱりハンドガン程度のオモチャじゃ役に立たねえみたいだな。……仕方ねえ」


 オールは持っていたハンドガンを床に放り出すと、両手を腰の後ろにまわす。すると彼のパワードスーツの腰部分の装甲が開き、2本の短い棒が飛び出した。

 そしてその棒を両手それぞれに握りしめて構えると、その棒の先端から長さ20センチほどのビームの刃が伸びた。


 ビームダガーの二刀流、それがオール・バックマンの本来の戦法なのだ。

 

 「……行くぜ」


 オールがグッと足に力を込めて踏み込むと、カシャンという音とともにブーツの裏からローラーが飛び出して、いわゆるローラーブレードの形状に変わった。

 そしてパワードスーツの背中についているジェットを吹かして高速でクッコローネRへと接近する。


 「うおおおっ!」


 オールは叫びと共に猛スピードで両手のビームダガーを操り、クッコローネRにひたすらに斬りかかる。


 「これはっ……」


 繰り出されるビームダガーの連続攻撃を剣で捌きながらも、クッコローネRは驚愕していた。

 今のオールの動きは、そこらの戦闘アンドロイドを軽く凌駕するスピードだったのだ。


 たしかにパワードスーツの性能を考えれば理論的には可能な動きではあるが、あくまでも理論的にだ。

 普通の人間の身体能力・反射神経では、スペックをフルに解放したパワードスーツなど使いこなすことなど出来はしない。

 だが、明らかにオールはパワードスーツの性能を理論値まで引き出した動きをしている。


 「むっ……!」


 素早いナイフの連撃を防ぎ続けるクッコローネR。

 攻撃は全て防ぎきっているものの、なかなか反撃のチャンスを掴めない。


 いかにオールがパワードスーツを使いこなしていたとしても、それでもスピードもパワーもテクニックもクッコローネRの方が上だ。

 だが、彼女は明らかにオールを相手に苦戦していた。



 相手が一般の兵士レベルなら手加減は簡単だ。

 オールの部下の傭兵たちも並の兵士よりは強いのだが、彼女からすれば誤差の範囲だ。


 だがこのオールは本物の強者だ。この男を傷を負わせずに倒すとなるとクッコローネRでもなかなかに難しかった。

 もちろん大怪我をさせても良いならどうにでもできるだろうが、それは禁忌事項だ。



 (どうするか……。先に武器を破壊するか? いや、だが実体の無いビームダガーでは刃を叩き折ることもできないか。

 ううむ……なんとか一瞬でも動きを止めることができないものか……)


 「戦闘中に考えごとか? あまりオレを舐めるなよ」


 オールはクロスさせたビームダガーでクッコローネRの剣を挟みこんで押さえ、その隙に胴体へひざ蹴りを叩き込んだ。


 「クッ……!」


 パワードスーツのスペックとオール自身の歴戦の戦闘技術が合わさって繰り出されたそのひざ蹴りは、トラックの衝突にも匹敵する威力を生み出した。

 ……だが、並みの人間が食らえば一撃で異世界転生してしまうであろうその破壊力が、結果的にオール自身の首を絞める事となったのだ。


 バンッ、という音と共にクッコローネRの鎧が破裂し、辺りに破片を撒き散らす。

 彼女の鎧には爆発反応装甲が仕込まれており、強い衝撃を受けると自動的に爆発して受けた衝撃を相殺するのだ。

 ちょっとやそっとのことでは起動しないはずなのだが、それだけオールのひざ蹴りの威力が高かったということだろう。


 そして、この機能が勝負を決めることとなった。



 クッコローネRの服装はドレスと鎧が一体になった物だ。鎧が爆発すれば当然ドレスの部分も弾け飛ぶ。

 ……つまり、この爆発反応装甲が起動すると、クッコローネRは自動的に下着姿となってしまうのだ。



 「……っ!?!?」


 固まったように棒立ちになるオール・バックマン。

 その姿はクッコローネRを苦戦させた強者とは思えないほど隙だらけだった。



 実はこの男は、夜の歓楽街を支配していそうな強面は外見をしていながら、女性にまったく慣れていないシャイボーイだったのである。

 それも、テレビドラマでキスシーンが流れただけで恥ずかしくなってチャンネルを変えるほどのレベルだ。


 そんなシャイボーイが、男子中学生の妄想を具現化したかのようなクッコローネRのナイスバディな下着姿を至近距離で見てしまったらどうなるだろうか?

 しかも鎧が弾けた時の反動で上下に激しく揺れている。……どこがとはあえて言わないが、ビッグサイズの何かが揺れているのだ。


 

 「う……あっ、これは……」


 オールは思考停止したように数秒間立ち尽くした後、やがてあたふたとしながら視線を逸らした。



 「い、今だ!」


 クッコローネRは素早く剣を繰り出してオールのパワードスーツを破壊したあと、首筋に手刀を叩きつけて気絶させた。


 「う……ぷるん……ぷる……ん」



 ぷるんぷるん。

 それが凄腕の傭兵・オール・バックマンが倒れる前に口にした最後の言葉であった。



 「うう……勝利には違いないが、喜ぶ気にはなれん」


 クッコローネRは、足元に倒れ込む強敵を見つめながら、何とも言えない顔で呟いた。


 ーーーー




 「さあ、早く部屋に~、入って~」


 エルメスTがのんびりした口調で急かす。

 ライトは素直に目の前の部屋へと飛び込んだ。

 すると最後尾にいた五所川原Jが続いて部屋に飛び込み、扉をロックする。


 「ふう……、ひとまず安心かな? みんなありがとうね」


 ライトは安堵の息をつきながら、視線だけで周囲を見渡す。そこはこの研究所の中枢と言える部屋……ライトが初めてこの研究所で目覚めたときに、休眠状態だった機能を再起動させるためにエリザベスに案内されて来たあの部屋だった。


 「いらっしゃいませ! 今、飲み物を用意いたしますので、奥の席へどうぞ」


 先に部屋へと戻っていたシェフがライトを迎え入れる。


 「ありがとうシェフ、でもコンピューターが並んでる部屋で飲み物を飲むのは怖いから遠慮しておくよ。こぼしたら大変だし」


 ライトは笑いながらシェフの申し出を断った、

 シェフが少し残念そうに「そうですか……」と言って後ろへ下がると、それと入れ替わるようにピョコンと小さなシルエットがライトの前へ飛び出す。


 「ライト兄上ー! 会いたかったのじゃー!」


 ノジャロリーナSは満面の笑みを浮かべながらライトに勢い良く飛びついた。

 彼女は狐の獣人を模しているはずだが、どちらかというと飼い主を出迎える飼い犬っぽいムーブだ。


 ライトは自分にしがみつく彼女の頭をよしよしと撫でた。

 今のライトはパワードスーツを着ているのでどうしてもぎこちない手つきになってしまっていたが、それでも彼女は嬉しそうにトレードマークの狐シッポをパタパタと振っている。

 まだ戦いは終わっていないという事を忘れてしまうような、なんともほのぼのした空気が部屋に広がった。


 するとそこに近づく人影がある。


 「……お久しぶりですわね、ライト・ノベル。ご機嫌いかがですか?」


 冷たさの中にも茶目っ気を感じるその声に、懐かしさを感じながらライトは言葉を返した。


 「久しぶり……ってほど日にちは経ってないはずなんだけど、確かになんか凄く久しぶりな気がするね」


 「全く、しばらく会うことも無いと思って送り出したというのに、すぐさま捕まってしまうとは手間をかけさせますわね。

 しかも敵を引き連れてやって来るとはいい迷惑です」


 「う……それは本当にゴメン。何も言い返せないや」


 「はあ……しばらくはライト・ノベルのつまらないモブキャラ顔を見なくても良いと思っていたのに、こんなにすぐに再会することになってしまうとは……全く不愉快ですわね、どうしてくれるのですか? ライト・ノベル」


 エリザベスXはいつものような憎まれ口を叩くが、それを見たエルメスTやミリィちゃんがクスクスと笑った。

 五所川原Jもニヤニヤとしているし、なにより文句を言われている本人であるライトもなんだか困惑した表情だ。


 妙な空気にエリザベスXは怪訝そうな声を出す。


 「……一体なんだというのですか?」



 エルメスTがニコニコしたまま理由を説明した。


 「うふふ~。自覚してないのかしら~? 憎まれ口を叩いてるけど~、あなた今、すご~く嬉しそうに笑っているわよ~?

 ライトくんに会えたのがよっぽど嬉しかったのね~」


 「のじゃー! 妾の手鏡を貸してあげるのじゃ、自分で確認してみるのじゃー!」


 指摘されたエリザベスXはノジャロリーナSが差し出した手鏡を受け取り、覗き込む。

 ……すると、自分でも見たことの無いような柔らかな笑顔が映っていた。

 悪役令嬢の『あ』の時もない、清楚な乙女のような微笑みだ。


 「………………」


 パリンッ!


 エリザベスXは無言で手鏡を握り潰した。


 「のじゃー!? 妾の手鏡がぁー!?」


 泣きわめくノジャロリーナSを無視し、エリザベスXはクルリと後ろを向いて自分の顔を引っ張ったり叩いたりしたあと、何事もなかったかのように振り返る。

 引っ張った所が少し赤くなったりしていたが、大体いつもの表情に戻っていた。


 「……どうやら顔の人工筋肉が不具合をおこしていたようです。ええ、別に嬉しくて笑っていたわけではありませんよ。

 ……後でしっかりとメンテナンスをしなくてはいけませんわね」


 「え~? でも~別に不具合なんて~……」


 「いいえ、今のはただの不具合です。良いですね?」


 「わ、わかったわ~……」


 尚も何か言おうとするエルメスTだったが、エリザベスXの妙な迫力に屈して口を閉じた。

 そこに場の空気をぶった切るように禍流真Wが割り込む。


 「おしゃべりを楽しんでいるところ悪いが、あのマエザーとかいう男がすぐそばまで来ているぞ。相手をしてやらなくていいのか?」



 「あら、禍流真W。傍観者を気取る事の多い貴方が、自分から意見を言うとは珍しいですわね。ですが、敵に気づいたなら意見を言うだけでなく、自分が率先して迎撃に出るくらいのサービス精神を示してくれてもよろしいのですよ?」


 「ふん。オレがそんなサービス精神旺盛に見えるのか? ……それにオレの制限を知っているだろう? この状況でオレに期待されても迷惑なだけだ」


 「ああ、そういえばそうでしたわね。確かに今は貴方が力を発揮できる環境ではありませんわね。……相変わらず能力も性格も面倒くさい男ですわ」



 2人の会話に、横で聞いていたライトは首を傾げた。


 「カルマの能力って光学迷彩とかだよね。なにか今は使えない理由があるの?」


 禍流真Wは、ライトの前で光学迷彩をホイホイ使っていた。今さらその能力に制限があると言われてもしっくり来なかった。


 するとそのライトの疑問にミリィちゃんが説明を始めた。


 「あはは♪ 禍流真Wは不利な状況とか、格好いい見せ場とかでしか実力を発揮できないんだよね」


 「え?……そ、それはまた特殊な制限だね」



 イキリ主人公型アンドロイド・禍流真Wは、いざという時になるまで動かない、そして他の皆が困ってから『やれやれ……面倒だがオレがやるしかないか……』とか言いながら動き始めるというちょっとウザいタイプの主人公キャラクターをモデルにして生み出されたため、ここぞという見せ場でしか実力を発揮できないという制限を持っているのだ。


 そのため、先ほどの単身でライトを救出するという任務には適任だったが、ライトが仲間と合流を果たし、戦況も有利に傾いてきた今のような状況では、能力はほぼ使えないのである。



 「……仕方ありませんわね。では私が対応いたしましょうか。ライト・ノベルは部屋から出ないでくださいね」


 そういってエリザベスXが扉を開けて一歩廊下に出ると、ちょうどその時、廊下の向こうからマエザーが走って来た。


 連れていた部下は途中でゴブリンロボットに捕縛され、もうマエザーは1人きりだ。

 彼1人ではもう勝機も無いであろうに、その目にはまだ力強い光が宿っている。



 「……やあ、久しぶりだね、エリザベスX。ご機嫌はいかがかな?」


 「あら、お久しぶりですわね、マエザー・ユサック。わざわざライト・ノベルに聞き出してまでここまでやって来るとは、そんなに私に会いたかったのですか? そこまで想ってもらえるとは光栄ではありますが……私、ストーカーは嫌いですので、すぐに帰って下さるかしら?」


 「ストーカーとは心外だね。どうしても手に入れたいと思ったものをどこまでも追い続けるというのは、当然の事じゃないかい?」


 「追い続けられた方はいい迷惑なのですけれどね。……まあいいですわ、帰らないというのなら実力行使するまでです」


 エリザベスXは愛用のフルーレを構えた。



 「うーん、僕としては平和的な交渉で片付けたいところなんだけどね。……まあ、必要なら暴力だって使うさ」


 「あらあら、それは勇ましいですわね。ですが貴方1人で私に勝てるとでも?」


 「いや、以前こっぴどく負けているし、残念だが君に勝てる気はしないね。……だけど僕が戦うのは君ではないよ」



 マエザーはエリザベスXの後ろの扉……ライトがいる部屋へと続くその扉に向かって大声で話しかけた。


 「ライト君! そこに居るんだろう!? 僕は君に決闘を申し込む! もうこの研究所を寄越せとまでは言わない!

 だが僕が勝てば、君やこの研究所には僕のビジネスに協力してもらうぞ! 負ければ僕はもうこの研究所の事を諦める!」



 「オホホホ、なにを言い出すかと思えばバカな事を……ここで私が貴方を叩きのめしたあとに記憶操作してしまえば終わりだというのに、わざわざライト・ノベルが戦う理由がありませんわよ? それでは賭けの条件が釣り合いませんわ」


 エリザベスXがバカにしたように笑うが、マエザーはそれを無視して更に扉へと語りかけ続ける。


 「聞こえているだろう? ライト君。君はこのままでいいのかな? さっきはあの騎士の女性に戦わせ、次はエリザベスXか。

 君も男だろうに、女の子に戦わせて自分は隠れているだけというのはどうなのだろうねぇ? ちょっと情けないとは思わないかい?」


 マエザーはわざと意地悪そうなニヤニヤ笑いを浮かべてそんな事を言った。



 この研究所を管理しているのはエリザベスXたちであってライトではない。

 だが、ライト自身にその自覚はないが、この研究所のアンドロイドたちはライトを最重要人物として認識しているため、ライトがマエザーに協力すると本気で決めたならば、エリザベスXたちはその決定に反対することは無いだろう。

 

 人間が下した決定というのは、アンドロイドにとってそれだけ重いものなのだ。

 だからマエザーは安い挑発をしてでもライトに決闘を受けさせ、その決闘の正当な報酬として自分に協力するように要求しようとしていた。

 それが現状でマエザーがこの研究所を手に入れることのできる唯一の手だと考えたからだ。



 だが、ライトは元々喧嘩っ早いタイプの性格ではないし、このままエリザベスXに戦わせれば確実に勝てるという事くらいは理解しているため、マエザーの挑発を無視しようとした。

 だが……。


 「……ああ、女の子ではなかったか、()()はアンドロイド……所詮は機械仕掛けのただの道具だったね。

 危険な仕事を道具に押し付けて安全な所に居るのは当たり前だ、君は悪くないよ。うん、実に正しい道具の使い方だ」


 

 その言葉を聞いた瞬間、ライトは頭が沸騰したようにカッとなり、扉へと向かう。


 「ライトきゅん!? だ、ダメだよ!」

 「エリザベスXに任せておくのじゃー!」


 五所川原JとノジャロリーナSが呼びかけるがライトは止まらず、扉を開けて廊下に出ると、マエザーを睨み付けた。



 「訂正してくれ。彼女たちはアンドロイドだけど、決してただの道具なんかじゃない! 体は機械かも知れないけど、俺にとっては可愛い女の子だよ!」


 「な……ライト・ノベル!? 部屋から出るなと言ったのに、突然出てきたうえに何を恥ずかしいセリフを言っているのですかっ!?」


 珍しく本当に動揺したように表情を崩すエリザベスX。

 ただ、動揺した理由はライトが部屋から出てきたからなのか、それともライトのセリフのせいなのか。

 

 

 「……フッ」


 マエザーはライトの視線を不敵な笑みで受け流す。

 その仕草からはいつもの数倍の風格が感じられた。

 (なお、元の風格が少ないため、数倍してもそこまで圧倒的なオーラは無い)


 「やっと出てきてくれたね、ライト君。……君が勝てば僕は訂正でも謝罪でも賠償でもしてあげるよ。どうだい? 決闘に応じてくれる気になったかな?」


 カッとなって飛び出してきたライトではあったが、今になって心の奥の冷静な部分が、『落ち着け。やめておけ』と呟き始める。

 ……だが、もうライトは止まるつもりは無い。


 そして、はっきりと口に出して宣言した。



 「……ああ、決闘でもなんでも受けてやるさ! 勝負だ! マエザー・ユサック!」




 こうしてライトは、エリザベスXたちへの侮辱を謝罪させるため……男のプライドのため……。

 ……そして、『そろそろ見せ場を作らないとマズイ、本当に影が薄くなるぞ』という作者の事情のために、マエザーとの決闘を受けたのだった。

やはり最近はどうしても執筆ペースが上がらないです。……スランプですかね?


現状、一週間に一話を書き上げるのも難しい状態なので、すみませんがしばらくは不定期更新にさせてもらいます。 申し訳ありません。

一応は目安として10日前後に一話くらいは投稿するつもりです。


うーん、早く調子が戻ってくれれば良いんですけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ