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2章 第2話 青くて丸い!?

いつもより少し遅れちゃいました。

 「……んっ…… あれ? ここは……」


 目を覚ました彼女は状況が分からず、ボーっとした思考で周りを見渡した。 だが、何度見直してもその部屋に見覚えは無い。


 (ココどこ? えっと、確かボクは……)


 数秒考え、少女は自分が宇宙海賊に追われていた事を思い出した。


 「ボク、もしかして捕まったの? じゃあここは海賊のアジト!?」


 顔色を青くして立ちすくむ少女だったが、そこに機械的で冷たい……だけど少女にとっては温かく安心できる声が聞こえた。


 「ソノ声は……お嬢サマでしょうカ?」


 声が聞こえた方向をバッと振り返ると、少女の護衛であり、専属メイドであり、そして友人でもあるアンドロイドがそこに立っていた。


 「シルキィっ! 良かった! 無事だったんだね!?」


 「肯定しマス・私は無事でございマス。 おはようございマス・お嬢サマ」


 シルキィというアンドロイドは、そう言って笑った。

 人間と見分けがつかない程の造形を誇るナーロウ博士の作品とは違い、シルキィの笑顔はどこか作り物じみていて、人間が本能的に違和感を感じるものだったが、長らく共に過ごしてきた少女にとってはホッとするものであった。


 「シルキィが無事なのは良かったけど、海賊から逃げ切るまでは安心できないね。さあ、気をつけてここから脱出しよう!」


 「お嬢サマ。否デス・ココは海賊とは無関係……」


 「シッ! 大きな声を出したら見つかっちゃうよ! 少し静かにしてて。 大丈夫、シルキィはボクが守ってみせるから」


 少女はそういってグッと拳を握って気合いを入れた。

 彼女は前向きでまっすぐで……そして他人の話を聞かないタイプであった。


 「さあ、見回りが来る前にこの部屋から逃げて……あれ、ドアが開かない?」



 《お目覚めのようですね、フフッ……それは何よりですわ》


 「えっ!? だ、誰!?」


 突然響いた謎の声に少女が振り向くと、部屋にあるモニターには、バラの咲く庭園でソファーに腰かけてティーカップを口に運ぶドレス姿の人物が映っていた。

 エリザベスXだ。


 その姿はとても優雅に見える。 ……表面上は。

 だが実際の所は優雅とはとても言えないくらいにドタバタしていた。

 

 サイボーグの少女が目覚めた事に気づいたエリザベスXは、急いでソファーを運んで来て座り、ミリィちゃんの目と耳をカメラとマイクの代わりをして映像を収録。

 収録場所はライトの部屋で、バラの咲く庭園は合成して加工したものだ。

 紅茶の用意が間に合わなかったので持っているティーカップは空っぽである。


 エリザベスXは、彼女との初対面で自分を第一印象をラスボスっぽく見せるために演出を頑張っていたのだ。 悪役令嬢も楽では無いのである。



 裏ではそんなグダグダな状況になっているなどとは知らず、サイボーグ少女はモニターの中のエリザベスXから漂う大物感に圧倒されていた。


 「ううっ……モニター越しなのに凄い存在感だ……! きっとこの人が海賊のボスに違いないっ! で、でもボクは負けないぞ!」

 「否・お嬢サマ。デスからコノ方たちは海賊デハ……」


 《海賊? そんな小物と一緒にされては心外ですわね。私は悪役令嬢ですわ。

 今、私の下僕がそちらへ向かっていますから、無駄な抵抗はやめて大人しくしていることですわね。 オーッホッホッホッ!》


 高笑いと共に映像はプツンと消え、部屋は沈黙につつまれる。



 「ど……どうしよう…… 下僕がこっちに向かっている?

 海賊の下っぱと言えば、きっとゲヘヘッとか笑う、むさいエロオヤジだよね!?

 も、もしかして、お父さんのベッドの下にあった本みたいな事をされちゃうの!?」


 「お嬢サマ。男性のベッドの下を調べてはいけまセン。ソコはアンタッチャブルな場所であるト申し上げマス」


 「うう、エッチなのはイヤだよう。 抵抗するなって言われたけど、こうなったら抵抗しない訳にはいかないよね。

 ……よーし、やってやる! 武器が無いと思って甘く見ているかもしれないけど、ボクはサイボーグだから体そのものが武器がなんだ! 一矢報いてやるぞー! まずはレーダー起動!」


 少女の髪の毛がひょこっと持ち上がり、いわゆるアホ毛のような状態になる。

 少女が「むむむっ……」と唸ると、アホ毛はひょこひょこと上下に動いた。

 どうやらこれがレーダーらしい。


 「むっ! 接近する2つの熱源を察知……! もうすぐドアを開けるはずだよ、そしたら先制攻撃だ! ……3、2、1……」


 「ダメですお嬢サマ。いけまセン」

 

 「今だっ! ロケットパーンチ!」


 話を聞かないサイボーグ少女は、ドアに向けて拳を飛ばした。

 ちなみにこの時代では、ロケットパンチは多くの人が武装として使おうと研究し、実際に使ってその使い勝手の微妙さに気づいて使用を中止するという、

 『誰もが夢見てそして夢のまま終わるロマン武器』という扱いを受けている。


 そんなロマンの塊がドアに向けて迫って行き、そしてその時ドアが開いた。


 「えっと、こんにち……わあぁー!?」

 「っ! せいっ!」


 顔を覗かせたライトに絶妙なタイミングでロケットパンチが迫ったが、その後ろにいたクッコローネRが咄嗟に姫騎士チョップで見事に叩き落とす。

 サイボーグ少女の手は、床にべたんと叩きつけられた。


 「ボクの手が!? こ、このぉ!」

 

 サイボーグ少女が叫び、何かしらの攻撃をしようとしたようだが、その時にはすでにクッコローネRが剣を抜いて、その刃を少女に突きつけていた。


 「そこまでだ! それ以上の敵対行動は看過できんぞ!」


 剣を抜いたクッコローネRからは、ビリビリするような威圧感が放たれている。

 肉体的に強化改造されているとはいえ実際の修羅場をくぐった経験の少ない少女は、その威圧感にすっかり圧倒されてしまったようだ。

 力が抜けたようにへなへなと座り込み、泣きそうな顔をしている。


 シルキィも、主人を守るべく動こうとしたが、クッコローネRの動きに反応できず、結果としては何もできずに立っているだけであった。


 「うっ……うう、負けちゃったぁ」


 床に座ってガックリとうなだれている少女にライトが話しかけた。


 「ふう……いきなり攻撃してきたことにはビックリしたけど、大人しくしてくれたら乱暴な事はしないから怖がらなくていいよ。 落ち着いて話をしようよ」


 「……本当に? お父さんのベッドの下にあった本みたいな事はしない?」


 「しないよ! というか、お父さんのベッドの下は調べちゃダメだよ! 家族の空気が気まずくなっちゃうから!」



 

 ーーーー



 「うう、ごめんなさい……君たち海賊じゃなかったんだね。

 それどころか海賊から助けてくれたなんて……ボクはもう少しで恩人の頭を吹っ飛ばしちゃうところだったよ」


 少女は今、食堂にいた。

 落ち着いて話すために場所を移そうとしたのだが、全員で話をするにはライトの部屋では狭いため食堂に来たのだ。 

 談話室のような場所もあるのだが、彼女の食事を用意する事も考えて食堂にした。 

 

 「ごゆっくりどうぞ」


 そういってシェフが少女にカレーライスを渡した。


 「わあ、ありがとう! ボクお腹空いてたんだ。しばらく食べなくても平気な体だけど、やっぱりお腹が空いてたら落ち着かないし、頭が働かないよね!」


 「否デス。お嬢サマは満腹デモ空腹デモ関係なく基本的に落ち着きが無く・頭も働いていない・と指摘いたしマス」


 シルキィがさらっと毒を吐いたが少女はカレーを食べる事に夢中で気にしていなかった。


 

 「食べながらでも良いから聞いてね」


 そう言ってミリィちゃんが自分たちが何者かを説明し、時々ライトが補足説明した。

 皆がナーロウ博士のアンドロイドである事を教えるかどうかは少し迷ったが、どうせマエザーが公表すれば世間に知られる事だし、あまり好んでやりたくはないが、もし問題が起きれば記憶をいじってしまうこともできるので正直に話す事にした。


 最初はエリザベスXが説明したがったのだが、エリザベスXは色々といらない誤解を生む説明をしそうだということで、常識的なコミュニケーション能力を持つライトとミリィちゃんが中心になって会話を続けていった。

 

 自分たちは海賊ではないと伝えると、少女は安心しつつも申し訳なさそうにしていが、そんな少女の姿を見て、むしろライトのほうが申し訳なさを感じていた。

 なぜなら、シルキィというアンドロイドには、エリザベスXによって爆弾が仕掛けられているからだ。

 研究所の中、ましてや周りに自分たちがいる状況で爆発させる事は無いと思うが、人質をとっているという現状に変わりはない。


 ライトはその事も伝える事にした。

 

 「えっと……ゴメン、実はシルキィには爆弾を仕掛けてあるんだ。

 キミが俺たちにとって危険な人物じゃないって分かれば、すぐにでも解除させるから」


 「ああ、ライト・ノベル! 貴方はなんて恐ろしい事を……!

 『爆弾を解除して欲しければ……ゲヘヘ』と言って彼女に迫るつもりですわね?」


 ああ、恐ろしい……っとオーバーリアクションで恐れおののくエリザベスXと、その反応を見て、「や……やっぱり、それが狙い!?」と言って自分の体を手でかばう少女。


 「迫らないし、ゲヘヘとか言わないよ!? ていうか爆弾を仕掛けたのはエリザベスXだよね!? 俺がやった事にした上にゲス男の濡れ衣まで着せないでよ!」


 「フフッ、冗談ですわ。 話が終われば爆弾はすぐに解除いたしますし、ライト・ノベルはヘタレですからそんな鬼畜の所業はいたしませんわ。

 彼はチラチラと横目でイヤらしい視線を送ってくる程度の無害なムッツリスケベです」


 「……うん。信じるよ」


 少女はエリザベスXの言葉を信じてみる事にしたらしい。

 元々この少女は単純でまっすぐな性格をしているため、結構簡単に他人を信じるタイプなのだ。



 「……その『信じる』ってのが、爆弾を解除するという言葉を信じたのか、俺がヘタレのムッツリだと信じたのかによって今後の俺の気分が大きく変わってくるんだけど」


 「あ、カレーおかわりしていいかな?」


 ライトの呟きはスルーされた。




 「ごちそうさま! ……あ、そう言えばボクも自己紹介したほうがいいよね?」


 カレーを4皿食べ終えて満足した少女は、今までライトたちに自分の名前すら教えていない事に今さら気づいた。



 「えっとね、ボク、ドーラ・エーモン」


 ちゃらららっちゃら~♪


 その自己紹介を聞いた瞬間、なぜかライトの頭に青くて丸くて短足なロボットのシルエットが浮かんだ気がしたが、頭をブンブンと振ってそのイメージを頭から追い出した。

 深く追及するとヤバい気がしたからだ。

 それに、他に気になった事もあった。


 「キミはライブゲート社の宇宙船に乗ってたよね? それで名字がエーモンって事は、もしかしてホリィ・エーモン社長の関係者かな?」


 ライトはストレートに訊ねた。

 このドーラと言う少女には、変な駆け引きをするよりも、直接的な言い方で話した方が良いと感じたからだ。

 するとドーラも、少しだけ悩んだ素振りを見せたあと、頷いた。


 「うん、ボクはホリィ・エーモンの娘だよ」


 「ああ、やっぱりそうなんだ。 ……あれ? ホリィ・エーモンって、もう八十歳くらいじゃなかったっけ?」


 ライトは首を傾げた。

 ドーラはどう見ても十代にしか見えない。 ホリィ・エーモンが六十歳を過ぎてから作った子供という事も、なくはないが、もしやドーラの年齢が……


 「……ねえ、もしかして、年齢の事を考えてる?」


 ライトはギクリとした。ちょっとおバカな感じがしても、女とは勘が良いものなのだ。


 「ボクは十六歳だよ? サイボーグは歳を取らないんだもん。 だからボクは五十年以上前に生まれた十六歳の女の子だよ?」


 いや、五十年以上前に生まれたなら年齢も五十歳以上だよね?

 そうツッコもうと思ったライトだが、周囲から強烈な視線を感じて言葉を止めた。


 ドーラだけではなく、エリザベスXもクッコローネRもミリィちゃんも、目が笑っていない口元だけの笑顔でジッとライトを見ていた。   


 ライトの背中にじっとりとイヤな汗が滲む。


 (そ……そうだった! みんな五十年以上前に生まれたんだった! 変に年齢の事に触れたらヤバい! なんか分かんないけどヤバい気がする!)


 女性の年齢にツッコミを入れる危険性に気づいたライトは、ギリギリ軌道修正する。


 「あー、うん。 そうだよねー。何年前に生まれても、関係ないよね。

 うん、キミは十六歳なんだね? わかったよ、アッハッハ……」


 「うん、分かればいいんだよ」

 

 ライトは女性陣からの視線が柔らかくなったことに安堵した。



 「じゃ……じゃあ別の質問をするけど、有名企業の社長の娘さんが、小さな宇宙船で、しかも護衛が一人しかいない状態でいたのは何でかな?」


 「……うーん、ボクもよく分かんない。 ある日、お父さんが突然、ボクとシルキィを宇宙船に乗せたんだよ。 叔父さんの家に匿ってもらえー、って言ってさ。

 だから叔父さんのいる『獣人惑星モフ・フモッフ』に行こうとしてたんだけど、途中で海賊に襲われちゃったんだ」


 ライトとドーラの会話を聞いていたエリザベスXは、「ふむ」と何かを考えるように呟いたあと、ドーラに話しかけた。


 「いくつか質問をさせてください。 まず、モフ・フモッフの状況が私の知る時代とどの程度同じか知りたいのですが……。

 モフ・フモッフは獣人タイプの生命体が支配している惑星で、地球人タイプの生命体とはつかず離れず程度の距離感で交流している……という認識で良いですか?」


 その質問に、ドーラは「んー、分かんないや」と首を傾げたが、シルキィが「その通りデス」と答えた。人並みに世界情勢を知っているライトも、頷いている。


 「次に、ドーラ・エーモン。貴女にはライブゲート社の資産を扱う権限はありますか?」


 「うーん……ボク自身に権限は無いけど、お父さんにお願いすれば少しくらいは会社を動かしてくれると思うよ?」


 ドーラがそう答え、シルキィも「社長は親バカデス・お嬢サマのためでアレバ平気で公私混同もしマス」と同意した。


 「なるほど。……では次の質問です。モフ・フモッフにライブゲートの工場なり販売店なりはありますか?」


 ドーラは、「どうだったっけ?」と首を傾げた。……どうやら彼女は実家の会社の事にあまり興味がないようだ。

 頭の中がほんわかぱっぱしている主に代わって、シルキィが答える。


 「肯定デス・ライブゲート社はモフ・フモッフ内のアンドロイド産業において・シェアNo.1を誇っておりマス」



 「合格ですわね」


 そう言ってニヤリと笑ったエリザベスXは、その直後しっかりとドーラを正面から見つめた。


 「契約をいたしましょうか、ドーラ・エーモン。

 私たちが貴女をモフ・フモッフまで送り届けましょう。もちろん到着までの間の部屋と食事も用意いたしますわよ。

 見返りに私たちが望むのは、物資の補給です。ライブゲート社の在庫から回していただければ良いのですから、貴女でしたら難しい話ではないでしょう?」



 エリザベスXの提案を聞いたドーラはしばらくの間、うーん、と考えていたが、笑顔になって「いいよ!」と答えた。

 その様子は、『考えがまとまった、というより、考えるのが面倒になっただけという風に見えた』と、後にライトは語った。




 しばらくして、まだ本調子ではないドーラが早めに部屋で休んだあと、農業プラントにいるエリザベスXの元にライトが訊ねて来た。


 「エリザベスX、ちょっと訊きたいんだけどいいかな?」


 「おや、改まって何を知りたいのですか? 私の貴方への好感度でしたら、知人以上ビジネスパートナー未満……という位ですわよ」


 「なんか微妙に低いな!? そ、その件についても話し合いたい気はするけど、今訊きたいのは、ドーラの事だよ。 

 俺も目的地まで送ってあげたいと思ってはいたけど、俺たちは追われてる身だからうかつな事はできないって考えてたんだよ。

 だからエリザベスXも慎重に行動するかなって思ってたんだけど、わりと積極的に協力を提案してたから、どういう考えか知りたくってさ」

 

 「あら、私が危険を覚悟で善意からドーラ・エーモンを助けようとしている……とは考えませんの?」


 「うん、考えない」


 「あら酷いですわね。まあその通りですが」


 エリザベスXは、フッと一瞬笑ったあと、言葉を続ける。


 「単純に好都合だからですわ。 どうせ研究所ごと移動するつもりでしたし、物資の補給も必要でした。安全性に関しても、獣人の領土ならば地球人は外交上の問題で軍事行動は取りにくいでしょうから、少なくともマエザーの襲撃の可能性は低いでしょう」



 地球人タイプの人類と獣人タイプの人類がこの宇宙で出会ってから一世紀ほど経ち、紆余曲折を経てそれなりに平和的な関係を築いては来たが、だからと言ってしっかりと一枚岩になっている訳ではなく、危ういバランスで成り立っている部分も多い。

 そのため、エリザベスXの言う通り獣人の領土でマエザーが攻撃してくる可能性は低いだろう。


 「それに、恐らく地球人側としては私たち『ナーロウ博士の遺産』を獣人側に渡したくはないでしょうから、私達を発見したという情報がすぐに獣人側に渡ることはないと思います。

 なので、しばらくの間は獣人の領土にいるほうが安全です」


 エリザベスXの説明を聞いていたライトは「そっか、納得したよ」と言って頷いた。


 「ああ、それとモフ・フモッフに着いたら貴方にはしばらくの間、地上に降りていてもらいます」


 「えっ? それはいいけど、どうして?」


 「一度、この研究所の生命維持装置のメンテナンスもしておきたいのです。

 別に研究所に居てもいいですが、メンテナンス中は空調と酸素供給がストップします。

 ……研究所に居ますか?」


 「いやっ! それ、死ぬよね!? 降りる! 降りるよ!」


 

 久しぶりに研究所から出られると聞いてライトはワクワクしていた。

 ……もしかすると、しばらく研究所にこもっていた自分を気遣って、外に出る機会を用意してくれたのかも知れない。

 ライトはそう思ってエリザベスXを見つめた。


 「……なんですか、その視線は? もしや私に欲情でもしましたか? 背筋がゾワッとするほど気持ち悪いので、見ないでくれませんか? まぶたを鉛で溶接しますわよ」


 そういって、手をシッシッ、と動かすエリザベスX。


 (……うん、俺を気遣ってくれてるとは思えないな)


 顔をピクピクと引きつらせるライト。



 彼は、エリザベスXがライトの肉体と精神の健康データをマメにチェックをし、それを考慮して予定を決めているという事実をまだ知らない。 


次回も金曜日の投稿予定です。

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