表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月天の使徒  作者: 4ox
4/8

[4]少女と黒い妖精①

読んで下さっている方々、

ありがとうございます

とても励みになっております。

今回もどうぞよしなに

「……私が?」


「そう。香奈が」


「…………あの人形機体に?」


「そう。『AM』に」


「乗るぅ!?」


「乗るんだ」


目を丸くする。とはこういう事を言うのだろうか。

私があの人形………えーと、『AM』に乗る?

どうして私が急に乗る事に?

どうしてそれをお兄ちゃんが告げる?

そもそも『AM』って何?J.A.N.A.T.って何?お兄ちゃんが何?乗るって何?


「香奈。落ち着いてくれ。状況が飲み込めないのは分かる。それに、それも承知で頼んでいるんだ」


はっと我に帰る。

…………いまボケーっとした変な顔してなかった?


「だが結論は急いでほしい。香奈ならおそらく乗りこなせると俺は思ってる。信じてほしい」


お兄ちゃんはそう言うと、カバンから別の厚い書類の束を取り出した。


「『AM』と、J.A.N.A.T.、それから『AM』に乗る上で知って置くべき事をあらかた纏めておいた。また明日ここに来る。それまでにそれを読んで、結論を出しておいて欲しい。無理強いはしない。香奈の兄貴からのお願い程度に思ってくれて構わない。それじゃあ、よろしく頼む」


それだけ言い残すと、お兄ちゃんは急いで出ていってしまった。


「『AM』に、乗る…………」


それは、考えもしなかった出来事。選択し得ないはずの出来事。

だが、


「あんな顔、初めてみた…………」


それを告げた兄の顔は、幼い思い出に残る趣味を楽しげに語るモノとは一線を画した、凛とした真っ直ぐなモノだった。




* * * * * *





その夜、私は兄から貰った書類をひととおり読み終え、机に伏していた。


『AM』、対異特化型古代駆動巨大兵器、オートモービル。M.O.が開発される何百年も前に存在した古の遺産。

『AM』の開発元、開発年代は不明、『AM』のエンジンに相当するエネルギー供給機関『グランドライヴ』の原理も不明。その殆どが地中から出土と言う形で発見されるが、古代の技術では製造不可とされ、地中に存在する理由も不明。

『AM』は現在世界に12機存在する。J.A.N.A.T.が所有するのは『シルフ』『レプラコーン』『バンシィ』の三機。

各『AM』は、それぞれ武装に個体差があり、『グランドライヴ』を有し、同一規格である程度に共通点がある。


J.A.N.A.T.、日本対ネイガス殲滅機動部隊。防衛省直轄の、『AM』を以てネイガス(後述)の侵略を阻止すべく活動している部隊。兄はここの戦略支援官だそうだ。


ネイガス、異門ゲートと呼ばれる転位門から出現する堅牢な装甲を有した機械生命体。人を捕縛する姿が確認されている。『AM』はこのネイガスに対抗するために産み出されたとされている。現在、『グランドライヴ』からのエネルギーを用いてのみ、決定的なダメージを与えられている。


───こんな所か。

つまり兄は私に『エイリアンから日本を守る手伝いをしろ』、いや寧ろ『守ってくれ』と言っているのか。


「……………はぁ…………」


溜め息をついた。

それもそのはずだ。馬鹿にしていた兄が想像もつかない職に就いているし、自分はその最前線に立たされようとしているし、日本を救え?荷が重いにも程がある。

これが良く知ったかつての兄の言葉なら「へぇーすごいじゃん。私は救世主かー」と茶化したものだが、こんな本格的な書類まで持ち出されては茶化す訳にはいかない。


侵略者から日本を守る。


嫌いな響きではない。

兄の言った『守る』という言葉もあながち間違いでは無かったようだ。


「でもなぁ…………」


とは言っても、昨日の今日まで世間一般のしがない女子高生の私が、人形ロボットに乗って国を守る、だなんて。アニメやゲームの主人公じゃあるまいし。はい乗ります、なんて二つ返事を返すわけにもいかなかった。


「うーむ……………………」


結局その日は、一晩中考えても答えが出ることは無く、翌日私は寝不足気味のまま学校に向かうはめとなるのだった。


学校についても相変わらず答えは出ない。

このまま一人で悩み続けても結論は出ないだろう。かと言っても、「私、ロボットに乗って日本を救わないかって誘われているんだけど……」とでも言おうものなら、電波扱い、中二病扱い

は免れまい。

昨日からこの調子が続くと、時おり自分は何に悩んでいるのかと思うまでもあった。


「私はどうすればぁぁっ…………!!」


「…………とりあえず食堂行く?」


祷里の言葉で我に帰った。時計の針は既に頂点を過ぎている。どうやら半日近く上の空だったらしい。昼までに結論を出さなきゃいけないのに…………昼までに…………………昼?


「もう昼!?」


「だからそうだって。寝不足ぅ?珍しい事もあるもんだねぇ」



* * * * * *



「それで、結論は出てないと」


「……………………はい」


直後、再び岩泉に呼び出され、兄と共に昨日の部屋にいた。


「まぁしょうがない。軽々とはい乗りますって言われても、それはそれで不安な部分もあるしな。結論を急がせて悪かった」


実際に兄と会えば何か結論が出るかとも思いはしたが、そう簡単にはいかなかった。

未だに私が悩んでいると、突然兄は柏手を打った。


「そうだ。それなら1度、J.A.N.A.Tに来てみればいい。俺から話をつけておこう」




きりが悪いですが、

今回はここまでです。

次回も早めに投稿します

どうぞ宜しくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ