表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月天の使徒  作者: 4ox
1/8

[1]青年とAM

なろう初投稿です

よろしくお願いします

もう2000年以上前の事になるのか。九州の奥地、かつてこの地を納めた大名だか何だかが戦具の材料として開拓した、星野金山。西暦も3000を突破した今においては既に金鉱としての価値は無くなっている。

にもかかわらず、自分は今この地で、掘削機のハンドルを握っていた。


社長に事例を言い渡されたのは3週間前。普段通り新築一軒家の地盤の基礎工事をしていると、現場主任から急いで会社に戻れと言われ、タクシーを捕まえ会社に戻り、戻るなり社長室に呼ばれ、こちらから何かと聞く前に突き出された1枚のA4用紙。


───全く、俺が何をしたんだ。


東京から九州に来て何十度目かの溜め息を吐く。支社の人達はいい人ばかりだが、疲れは溜まる。早くホテルに帰りたい。欲を言うなら東京に戻りたい。


ふと、掘削機の振動が大きくなった。

何かにぶつかったのか?

掘削機の音が変わった。地盤をガリガリと削る音から、刃が止まってモーターが空回りするようなそんな音。

最初はライフライン系の配管に当たったかとも思ったが、そうでは無いらしい。


「掘削機止めろ!!」


作業員の男の声だ。

ハッとして掘削機のエンジンを止め、掘削機を後退させた。

何があったのかと聞こうとした時、先程の男が叫んだ。


「見つかったぞ!!お目当ての『AM』だ!!」


「えー……えむ…?」

えーえむってAMか?午前見つかるって何だ?

不思議そうな顔をしていると、AMとやらを見に来た男が話しかけてきた。


「あんた知らんのか?『AM』だよ。『アーマーモビール』。ほら、降りて見てみろよ」


男に促されるまま掘削機を降りて前にいく。


「…………は?これが…………?」


「俺も実物見んのは初めてだよ。かぁ~!すげぇなこりゃあ」


ここは何千年前の金鉱跡のそのまた深くだ。モビールなんてものが有るわけが無い、"はず"なんだ。


「俺はお伽噺の中にでもいるのか…………?」


巨大な人の形をしたそれは、土にまみれた双眸でこちらを見下ろしていた。



* * * * * * *



「えー、以上が日本大改革における新区画制度の、つまりこの第三区東京が成立した事のあらましになります。続いて第三区の変遷のコーナーにうつりまーす!」


「あー……めんどい………」


ツアーガイドのテンションがやけに高い。

第一、高校生にもなって校外学習で博物館に来なければいけないのか。

普通の校外学習と言えば、近郊の横浜や鎌倉などに行って美味しいものを食べたりお洒落なお土産を見たりして廻るのではないか。何が楽しくてこんな外国人観光客しか来なさそうなトコに来なければならないのか。日暮香奈ひぐれかなは溜め息を吐くばかりだ。


新区画制度と呼ばれる新しい区画制度が開始されたのは香奈が生まれる何十年も、前の事だ。人工の増減等から都道府県制が見直された結果だという。他にも当時に、多くの改革が行われ、それらは纏めて日本大改革と呼ばれている。


──そんなものは小学生でやったっての。


「かーなっ。退屈そうだねぇ。歴史はお嫌いですか~?」


再び溜め息を吐きそうになった時、小さなサイドテールを揺らして松前祷里まつざきいのりが顔を覗き込んできた。祷里とは小学生からの付き合いで、環境が変わった今でも無二の親友だ。クラスが一緒と知った時は安心したのを覚えている。


「歴史が嫌いなんじゃなくて─」


「あ、香奈は勉強自体嫌いかぁ。赤点だし」


祷里がけらけらと笑う。全くこいつは………


「小学生から何度も来てるでしょここ。昔っから何にもなくて退屈なんだよね」


「あーそれねー。高校生になって来るとこじゃないよねーここ」


祷里も同意見のようだ。退屈な内容に、見づらい配置。薄暗い照明も合まって陰鬱そうで肌に合わない。


「あ、二人でバックレて何か食べ行くぅ?」


「賛成したいけど後でね」


終われば現地解散になる。そしたらファストフードなりカフェなり自由だ。

そうこうしてるうちに、前の集団に置いていかれそうになったので二人で急いで合流した。


ガイドの人が話している最中も、みんな「終わったあとどこ行く?」など話している。退屈なのはみんな一緒だ。そう思えば多少なりとも退屈さも──


「無くなる訳ないよね………」


香奈は三度溜め息をつき、腕時計を見、見学時間の半分も過ぎていない事に再び溜め息をついた。


次も頑張って書きます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ