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これから

 学食は、八百戦の影響で平日よりは少ないが、休日にしては賑わっていた。

 一つのテーブルを委員会で占拠する。

 休日と言う事もあり、メニューはお手軽なものが多かった。その中から灯也はハムカツ定食の食券を購入してカウンターに置くと、数分で注文したものが出てくる。

 さんざん暴れまわった後なので、当然空腹で席に戻る時間さえ惜しく感じていた。

 何とか欲望を抑え、席まで戻ると灯也以外には悠がいた。

「灯也君はハムカツにしたんですね。私はサバ味噌なんですよ」

「俺も悩んだんですけど、何か肉系が食べたくて」


 そう話しながら腰を落ち着ける。全員が帰ってくる前に箸を付けるわけにもいかず、目の前に美味しそうな昼食が置かれているのに食べる事が許されない苦痛に耐えながら待つ。

 一人また一人と戻ってきて全員が揃ったところで、頂きます。と箸を取る。

 しかし灯也はそこで気付く。自分以外はサバ味噌だったのだ。右を見ても左を見てもサバなのだ。

 サバの身をほぐしながら司書さんが衝撃的な事を言う。

「やはり一年は甘いな。名物をみすみす避けるとは」

 灯也は知らなかった。浅雨高校の学食で有名なのはサバの味噌煮だったのだ。平日では売り切れるか、食券を買えても長蛇の列、かなり運に寄る事が多いので大半が諦めるが、今日は休日で人は少ないので今日を狙わない理由は無い。


「功労賞に教えてくれないんですね」

「世界は厳しいのだ。学食も例外ではないよ」

 とてつもなく悔しい感情を秘めながら、せっかくの料理が冷めるのはもったいないので灯也はフライにかぶりついた。




 その日の夜、ぐったりとベッドに横になっていると、一通のメールが届いた。

 送り主は楓。

 文面を見ると、『今日はお疲れさま。怪我とか大丈夫? ちゃんとアフターケアしないとダメだよ』と書かれていた。


 灯也はすぐにメールの変身を作成する。

『怪我は大丈夫だよ。アフターケアも一応やったから大丈夫。気にかけてくれてありがとう』

 それを送信した。


 暫くすると楓から返信があり、それに対し灯也もまた返信し、他愛もない会話が続いた。

 しかし、灯也の活動限界が本格的に来たのか、急に眠気が襲ってきた。

 楓にも、もう眠ることを伝えメールを終える。

 灯也は息を一つ吐き、部屋の電気を消し布団をかぶる。

 すると、再度携帯が震えた。


 手で携帯を探り着信を見ると、今度の相手は綾女だった。無視するわけにはいかないので、メールを開くと、『明日も委員会があるから遅れずに来るのよ。返信は要らないわ』

 そう書かれていた。


 あんな戦いがあった翌日から、普通の学生としての日常が始まるのかと思うと、改めてスゴイ学校にはいってしまったと実感した。

 しかし、楽しいのも事実だった。

 明日からに備えてしっかり休もうと、携帯を閉じ目をつぶる。

 これから始まる高校生活を夢見て。                        了


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