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草薙の一振り

 緑化委員会が本気で向かってきたら、強化をしている灯也でも勝てるかわからない。そこで重要になってくるのが二つ目の能力。タイミングさえ間違えなければ今の灯也の切り札になりえるものだった。

 第二ラウンド、あっという間に灯也の周りには十人の緑化委員会。蹴りも拳も届かない距離を取り、誰もが隙無く剣を構え灯也の一挙手一投足に注意を払っていた。


(一年生相手に先輩たちが十人がかりで囲むのか。怖すぎるだろ)

 灯也は内心で愚痴る。

 さて、どうするか。と悩み視線を微かに左に動かした瞬間、死角になった右側から動く気配がある。

 直ぐにそちらを向くが遅かった。

 距離を取ったままの女子生徒が、灯也に向けて剣をふるう。

 物理的に剣が当たる距離では無いが、直感的に灯也は腕を交差させ上半身のガードを固めると、そのガードの上に衝撃が走る。


「ぐっ……。痛ってー!」

 両足に力を込め、飛ばされかけている身体を地面に繋ぎ止める。

 今のは紛れも無く剣の性能による飛ぶ斬撃。緑化委員会の校憑による付与は、剣とそれに伴う斬撃。剣の一振りで周囲の草を薙いだ神話『草薙の一振り』の疑似化。

「お、良くガードが間に合ったな」

 と男子生徒の声が投げかけられるが、灯也には声の主を探す余裕が無い。また気を取られれば斬撃が飛んでくる。恐らく今の灯也の技量では防御できるのは後三回が限界だろう。

(もう一度、斬撃が来た瞬間に二つ目の能力を出現させるか)

 灯也はそう決めて、次に誰が攻撃を仕掛けてくるかを見る。わざと隙を作って斬撃を誘おうかとも考えたが、各上にそんなものが通じるわけが無い。と切り捨てる。


 二つ目を攻撃媒体として使用するには、必ず相手の斬撃が必要になる。しかし、手元に物を出現させなければならないので警戒される。そうなれば当然戦闘の長期化になる。初陣の灯也に長期戦をこなすだけの精神的余裕はない。その為には、一つの判断ミスも無く行動する事が必須だった。

 緑化委員会も二・三年だからか、過信することなく様子を見ている。

 互いに動かないまま一分程経過。


 だが、それが唐突に終わった。隙が出来たのか、攻撃の合図のサインを見逃したのか灯也本人にはわからなかったが、斬撃が左右と後方から三つ同時に飛んできた。

 咄嗟のことにジャンプで回避してしまった。

 通常、身動きができないジャンプによる回避は、無防備な身体を晒す結果にしか繋がらない。

 そして、空中にいる灯也に向けて一閃が放たれた。


「くそっ!」

 ダメージをそのまま貰うわけにはいかない為、ガードを固めるが後方へ飛ばされ地面に落ちて転がる。

「訓練で散々吹っ飛ばされたから受け身は完璧だな」

 自分自身を皮肉りながら体勢を立て膝まで戻す。

 緑化委員会は、飛ばされた灯也に留めを刺すため斬撃を数個放ちながら走る。

 狙いは逸れることなく一人に向かう。低い位置から襲う斬撃は、かなりの量の土煙を巻き上げながら灯也に命中する。


「確実に相手が倒れているのを確認するまで気を抜くなよ」

 了解、と九人の応答があり慎重に敵に近づく。

 土煙が晴れるのを待っていると、中でキラリと輝く光が見えた。その瞬間、煙を断ち切るように草薙の一振りが緑化委員会を襲う。


 今度は緑化委員会の二人が後方へ飛ばされた。

「全員警戒! 相手が確認できるまで動くな!」

 茶色の煙幕の向こうに灯也の姿を見つけるが様子が違う。右手に掌よりも少し大きいくらいの丸い鏡を持っていた。


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