嘘つきな私の『本当』
私は、鈴木 世奈。15歳。友達はいない。作る気もない。だって私は『嘘つき』だから…
私は鈴木 世奈。
「…嘘だよ。」
私はいつも嘘をつく。
「なんで嘘をつくの?」
なんて…全て真実だけで成り立つわけないでしょう。
人は「嘘には理由がある。」なんて言うけど…理由があるから嘘をつくんじゃない、ただ嘘に理由をつけてるだけ。
まぁ、あえてつけてる理由はだいたい、自分を守るため。
私も自分を守るためと称して嘘をついている。
でも、実際は自分でもなんのために嘘をついているのか分からない。
最初はあったはずだ。
でも今は分からない。忘れるほど前から嘘をついてきた。
そんな私にも『本当』がある。
その『本当』を言える人は存在しない。
家族ですら言うことはない。
なぜなら私の嘘は家族から始まったからだ。
私は小さい頃の記憶がない。全く覚えていないのだ。
私が覚えている範囲では、愛された記憶がほとんどない。
1人でいる事が多かった。
何故か分からないがいつも1人で泣いていた。
家にいるのに、家族といるのに…私は孤独だった。
子供ながらも孤独をおぼえた私は…『本当』を隠した。
『本当』は私の全てを壊してしまう気がした。
自分の強い思い込みかもしれない。だけど…怖くてたまらなかった。
誰でもいいから助けて欲しかった。
悩んで、苦しんで、もがいてもがき続けて……私が出した答えは『本当』を隠す『嘘』だった。
きっとこれが始まりなんだろう。
昔というほど昔ではないが、最初は『小さな嘘』だった。
しかし、その『小さな嘘』は時が経つにつれ『一人歩き』を始め、大きな変貌を遂げ帰ってくる。
そのたびに『嘘』に『嘘』を重ね、今ではもう何がなんだかわからない。
そして私が今どうしたいのかも、どうすればいいのかも、わからない。
そんな時私の心がそっと囁く…。
〝誰か…助けて〟
この声が聴こえると自然に涙が溢れ出る。
私の心は私が想像している以上に、ボロボロなのかもしれない。
でも、どうすればいいかわからない。
〝もう嘘をつかなければいい〟
という気持ちと、
〝今更嘘を無くす事なんて出来ない〟
という気持ちが
ごちゃ混ぜになって、内側から私を壊していく。
〝痛い〟〝助けて〟
心が叫んで私の思考回路を奪っていく。
「誰か…助けて…」
誰にも聞こえない声で、口から出た言葉はSOSだった。
それは誰にも届くはずはなかった。
教室の窓際で1番後ろ、唯一の1人席。
“キーンコーンカーンコーン”
いつの間にか下校時間になっていた。
私が教室を出るのは、いつも1番最後。
最後だと、同じ学校の生徒にあまり会わずにすむからだ。
〝本でも、読もうかな〟
本を取り出そうとしたとき…
「あの…鈴木さん。」
正直ビックリした。
私の噂は学校中に広がっている。
そのため、今まで話しかけられた事は、ほとんどない。
無視するか、しないか迷ったが、一応しないことにした。
「私になにか。」
「あ…うん…」
「あの…さっき、鈴木さん……」
「なんだ?」
「『誰か…助けて…』って…言ってたよね?」
「っ!?」
聞こえていた!?いや、そんな…なぜ!?
「…そんなこと、言っていない。」
「…それは『嘘』だよね。」
どうして、どうしてなんだ…もうボロボロで、人と関わったら『本当』が出てきてしまいそうな位、弱っているのに…
「……っ」
そう思っているうちに、涙が次から次へと溢れ出る。
「…鈴木さん。」
「…っ違う!?…これは…」
急に手を引かれた。
「大丈夫。…俺に話してみて、鈴木さんの『本当』を…」
「私っ…私はっ…」
「自分の『本当』が怖い。」
「…うん。」
「それで…」
驚くほど素直に自分の『本当』を打ち明けていった。
「…そうか。…ずっと、苦しんでいたんだね。」
「…ずっと、苦しかった。」
「…親に愛して欲しかった。人に愛して欲しかった。」
「大丈夫。鈴木さんは、これからたくさんの人に愛されて生きていくんだよ。」
嬉しかった。感謝してもしきれないくらいだ。
少し落ち着いてから、私は大変な事に気付いた。
〝…私、彼の名前…知らない。〟
常に1人だった私は、友達など居らず、生徒の名前など1人も知らないのだ。
〝同じクラスなのに、名前を知らないなんて…どうやってくけばいいんだ!?〟
「あっ…俺、内田 優騎」
「なん…で…」
「えっ?まだ、名前いってなかったから。」
「あっ…俺のことは“優騎”って呼んでね。」
「…『優騎』。」
「あの…ありがとう。」
「…いえいえ、俺は好きな子に笑って欲しかっただけだよ。」
「…っは!?」
「…すっすすすすっ好きな子!?」
「うん。」
「これからは俺が、たくさん愛していくから。」
「よろしく!『世奈』。」
「『世奈』…」
「あっ…いやだった?」
「…ううん……嬉しい。」
私はやっと心から笑えた気がする。
この先何があっても、私は『本当』を恐れたりしない。
「…さようなら。『嘘つきな私』…」
ー完ー
始めて小説をつくりました。まだ、小説とは言えないかもしれません。まだ15歳の私には、経験が少ない為あまり上手くはつくれませんが、これを読んで、楽しんでいただければと思います。
これは、実話を少しアレンジしたお話です。
この考え方は、私のものなので、理解できない…という方もいると思います。
この考え方を理解して欲しいわけではありません。
ただこんな考え方をする人もいる…ということを知って頂きたいと思いました。
このお話に少しでも、興味をもってもらえたらと思います。
ありがとうございました。