私とユウキについての話 消失ショート8
ホントは二個目にこの話を書いたのですが、何となくここにしました。
私が仕事から疲れて帰ってくると、部屋にいたはずのユウキが居なくなっていた。
まただ。家出だ。また家出だ。もうこれで何度目の家出になるんだろうか?
ユウキはしょっちゅう家出をする。暇さえあればしょっちゅう家出しているような印象すらある。ユウキの奴は趣味の様に家出を繰り返す。いや、私を困らせるのが趣味なのかもしれない。
ユウキの家出。私にはその原因がわからない。ユウキは一緒に暮らしているのに私に不満を一切、打ち明けたりしないからだ。
仕方なく私はカバンだけ部屋に置いて、ユウキを探すために再び外に出た。着ているスーツを早く脱ぎたかった。仕事で疲れた体を少しでも休めたかった。暑いお風呂にも入りたかった。お茶を飲んで一息付きたかった。
しかし、悠長な事は言っていられない。
ユウキがもうすごく遠くまで行ってしまっているかもしれない。その事を考えると私は落ち着かなくなる。
それはユウキが私にとって、居なくてはならない存在だからだ。私が何かを始める時いつも背中を押してくれていた存在だからだ。ユウキは私にとって、目に入れても痛くない、そんな存在だからだ。
私は最近、自分が何か悪いことをしてしまっただろうか?と考えながらユウキを探した。 ユウキが家出してしまう様な事をしたのだろうか?もう二度とユウキに合えないのは嫌だなと思いながら、私は必死でユウキを探した。半泣きになりながら私はユウキを探して歩いた。
ユウキは近所の公園に居た。私が普段、駅の方に行くときよく通る公園である。ユウキを見つけて立ち止まったとき、私は初めて自分が息を切らして肩で息をしていることに気がついた。
ユウキはブランコに腰掛けて、寂しそうにほんの少しだけ揺れていた。顔は下を向いて足をブラブラとさせていた。
私は自分が泣いていないことを確かめて、息を整えるために深呼吸を何度かしてから、ユウキの方にゆっくりと近づいていった。
ユウキは私の足音に気がついて顔をあげた。その顔がなんとも酷くしょぼくれていて、私はそれを見て思わず吹き出してしまった。その瞬間、驚いたことに自分が何だかとても元気になったような気がした。
私はつい嬉しくなって、ユウキの頭を撫でた。こう、なんというかワシャワシャっと乱暴に撫でた。ユウキは少しだけバツの悪そうに、気恥かしそうにしていた。
「帰りにアイス買ってあげるから、そろそろ家に帰ろうよ。ユウキ」
アイスの単語にユウキがパッと顔を輝かせたので、私はそれでやっとホッとした。
何で「消失」について書いたのか思い出せない・・・。