表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/15

episode:07 『Zombie Killer Part2』


「大矢、覚悟は良いか?」


「――覚悟完了!」


分厚い鉄製の防火扉の前で、俺達は二人その時を待っていた。

既にフロア内部にはゾンビの群れで溢れかえっている。

俺達は今からそのゾンビを蹴散らし、外へと出て車両で各出入り口を封鎖しなきゃならん。

しかも、その後は再び店内に戻り、ゾンビの掃討をする。

そこまでやって、初めて彼女達の安全が確保されるって訳だ。


「――それじゃ、行きますか?」


「おう、健康不良日本男児、無礼るとどうなるか思い知らせてやろうぜ!」


俺と大矢は拳を突き合わせると、同時に防火扉に向かってヤクザ・キックをブチかました。





Devastated City Story

episode:07 『Zombie Killer Part2』





「「ウルァァァァァァァ!!」」


勢い良く飛び出した俺達を認識したのか、ゾンビ共は一瞬硬直する。

いい加減、こいつ等の習性も読めてきたってもんだ。

その隙を突いて、セミ・オートで89式をぶっ放す。


「大矢ぁ!俺が前を行く!お前は後ろを頼むぞ!」


「任せろ、相棒!行くぞ――」


「「マッスル・ドッキングだっ!」」


俺達が前へ進むと同時に、タイミング良く落とされていた照明が点灯し、フロア全域にゾンビが浮かび上がるかのように現れる。


<<今、照明を復旧した!ここから一番近い出口は南側出口だ。そこから出れば、車両が停まっている駐車場へと出る事が出来る!>>


「了解、これより向かう!」


「――なぁ、滝本ぉ!!」


「どうした、大矢ぁ!」


歩きながらも、89式を撃つ事は止めない。


「南って、どっちだぁぁぁぁぁ!!」






「――もう良い、お前は黙って俺について来い」





前後左右、止まる事無く押し寄せるゾンビの波を只管に裁きながら、僅か20Mを十分以上かけて突き進む。

まぁ、その、なんだ。やっぱり俺達は素人だから仕方ない。

ゾンビの死体と共に築き上げられた残骸の山は多めに見てもらうとしよう。


――タン、タン、タン、ガキィ


「チッ……大矢ぁ!リロードだ!」


「リロードするにはペダルを踏んで下さい――ってかぁ!」


弾が切れた俺と入れ替わる形で、大矢が素早く前に出る。

大矢がカヴァーしてくれている間に、俺は出来るだけ早くマガジンを交換し、ボルトを操作して薬室に弾薬を送り込む。


「――よし、OKだ大矢!このまま突っ走るぞ!」


「おう!一斉射撃だぁ!そこを退けコラァァァァァ!!」


セレクターを"単"から"連"に切り替え、入り口に密集するゾンビに向かって引き金を引く。

フル・オートで放たれた銃弾は、密集していたゾンビ共を一瞬にしてミンチに変えた。


「やべぇ、何この爽快感。癖になりそうだ」


「――滝本、流石にそれは引くわ」


「――冗談だ」


「何だよ、その間は!」


大矢と軽口を交わしながら、空になったマガジンを交換しながらゾンビの死骸を乗り越える。

――その時だった。


<<画面に何かが映った!注意してくれ!>>


「ん?親父さん、今なんて――」


「っ!?避けろ、滝本ぉぉぉぉぉ!!」


突然、大矢に体当たりを喰らわされ、二人そろってその場に崩れ落ちる。


「いてて……何が起こった、大矢ぁ!」


「犬だよ、犬!おら、さっさと立ちあがらねぇとドック・フードになっちまうぞ!」


俺は慌てて立ち上がり、寝そべったまま89式をぶっ放す大矢の視線の先に照準を向ける。


「――畜生、いつからここはラクーンシティに成ったんだよ、クソッたれっ!」


「チキショウ、早すぎる!弾があたらねぇ!?」


とてつもない速さで、走り回る犬。

二人そろって犬に発砲し続けるが、一向に当たる気配はない。


「あぁ、もう、なんて軌道しやがる!まさか、あの犬――リボン付きかぁ!?」


「だとしたら、もうお手上げだぞ滝本ぉ!奴の作戦遂行能力は一個師団並だ!」


「こうなったら、節約は止めだ!全弾ぶち込め!数撃ちゃ当たるって爺ちゃんが言っていた!」


「お前の爺さんは、とっくの昔に亡くなってんだろうが!しかも大戦中に!」


再び"レ"にセレクターを合わせ、犬に向かって引き金を引く。

――流石に、この弾幕には耐えられんかったか。

犬は健闘空しく、そのままミンチへと姿を変えた。


「ふぅ……これで、一安心――」


「とは、行かねぇみたいだぜ、滝本。奴等、弾が切れたのに気が付いたみたいだ」


今まで犬に集中していた弾幕が途切れたのを悟ったのか、遠くにいたゾンビ共が一斉にこちらに向かって疾走してくる。


「クソッ、リロードしてる時間はねぇ、拳銃で片をつけるぞ!」


「おう!」


89式を肩に掛け、拳銃に切り替えるために腰のホルスターに手を伸ばす。


「……しもうた」


「どうした、滝本ぉ!――クソ、早くしてくれ!一人じゃ捌ききれんぞ!」


「非常に言い辛いんだが――拳銃、親父さんに渡したの忘れてた」


「「…………」」


――アァァァァァァァァァァァ


「この大馬鹿野郎っ!さっさと89式に装填――ガキィ――ジャムったぁぁぁぁぁぁ!!」


「マジか!?大矢、早くスライド開いて弾退けろ!早く!」


「硬いんだよ、クソ――滝本ぉ!右だ!」


――何ィ!何時の間に接近してやがった!

ヤバイ、間に合わん――!?


大口を開いたおばさんのゾンビが視界一杯にまで広がる。

畜生、これで終わりかよ。最期がババアゾンビに喰われるって最悪だぞ!



――タァン……

――ボシュッ――


<<ひとぉぉぉぉつ!!>>


突然、無線に割り込んできた若い女の声。

この声、まさか――


「――泉美か!?」


<<――待たせたわね。私が援護するから、その間に装填して!――伊達に"サイレント・スコープ"やりこんでないって事、教えてあげるわよっ!>>


その間にも、走ってきていたガキのゾンビの頭が吹っ飛ぶ。


「……お前の彼女、もしかして前世は"ウルフ"って呼ばれてなかったか?」


「案外、別の世界では"サラ・コナー"かもしれんぞ?まぁ、何にせよ助かった。今の内に整えるぞ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ